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  • 張薰云

AIブーム、バブルか革命か - 半導体大手が語る未来像と課題

AIブーム、その規模と影響力

インターネットが5000万ユーザーを獲得するのに7年かかったのに対し、生成AIはわずか5週間で同じ成果を達成した。この驚異的な成長速度は、AIバブルの可能性を示唆すると同時に、世界を一変させる潜在力も秘めている。NVIDIAの最新決算は、AIブームが販売と新技術開発を確実に後押ししていることを示している。


この状況下、日月光投資控股(ASE Technology Holding)のティエン・ウーCEOは、グーグル、サムスン電子、TSMCの重役陣とともに台北国際半導体展(SEMICON)で対談を行った。ウーCEOは「悪魔の代弁者」を自称し、観客に代わって率直な質問を投げかけた。


AIアプリケーションの規模と影響

グーグルのハミドゥ・ディア応用AI工学副社長は、AIが医療、教育、メディアなどの産業に根本的な変革をもたらすと予測する。「これは我々の生涯で目にする最大の転換点となるでしょう」と彼は述べた。アフリカの故郷でAIチャットボットの使用を目にしたディア氏は、将来的には全ての子供がAI教師を持ち、新薬開発もAIの導入により飛躍的に進歩すると予想している。


サムスン電子のジョンベイ・イーメモリー事業部門社長も同意見を示し、「専門家やエンジニアは(AIの)影響を控えめに評価していますが、私はこれが全人類に新たな革命をもたらすと考えています」と述べた。TSMCのY.J.モー共同COOは、顧客からのフィードバックに基づき、今後数年間でAIアクセラレータ市場が年平均50%の成長率を容易に達成すると予測している。


AI民主化の光と影

ディア氏は、大手テック企業が事前学習済み大規模言語モデルを公開したことで、AI技術の参入障壁が下がり、世界中の人々が恩恵を受けられるようになったと指摘。「これこそがAI民主化です!」と評価した。


一方、ウーCEOは「我々は人類に貢献しているのか、それとも格差を拡大させているのだろうか?」と問いかけた。モー氏は、産業革命時と同様に、AIの発展に伴い一部の職業が変容または消滅すると予想。これは避けられない過渡期であり、AIの発展に伴うリスクと考慮すべき点だと指摘した。


AIの倫理的課題と規制の必要性

韓国で7000人以上が調査対象となったディープフェイクによるデジタル性犯罪の問題を例に挙げ、イー氏は適切な規制と使用ガイドラインの必要性を強調した。「自動車事故と同様、どんなものにもリスクはあります。我々はバランスを取る必要があります」と述べ、1967年の国連宇宙条約を例に、責任ある技術開発のための法的枠組みの重要性を説いた。


AIのキラーアプリケーションとエッジAIの台頭

モー氏は、今後1-2年以内にPC、スマートフォンなどの端末でキラーアプリケーションが登場し、次の買い替え需要を喚起すると予測。イー氏は、クラウドAIの課題(インフラ不足、データ量不足、高消費電力)がユーザーをエッジAIへ向かわせると指摘。プライバシー意識の高まりや、自動運転、人間とコンピュータの対話など即時性が求められる場面で、エッジAIの需要が高まると予想している。


AIロボットの実現性と投資戦略

ディア氏は、NVIDIAのジェンスン・ファンCEOが言及したAIロボットの実現には少なくとも5年、場合によっては10年かかると予測。各分野に特化したロボットの大規模応用には、さらに時間を要するとの見解を示した。


最後に、各社のAI投資戦略について、ディア氏はグーグルの内部エピソードを紹介。10年前の音声検索機能開発時に自社チップ(TPU)の開発を決断し、現在では第6世代まで進化。アップルもグーグルのTPUを使用するなど、

長期的視点での投資の重要性を強調した。


イー氏も「業界全体がAIに賭けています。我々は忍耐強く、適切なタイミングで負担可能な量を投資していく必要があります」と述べ、長期的な視点での投資の重要性を強調した。


TSMCも2024年の資本支出を微増させる方針を示し、AI需要の強さを背景とした投資姿勢を明確にしている。

エッジAI: 端末で直接AI処理を行う技術。クラウドを使わずにスマホやIoTデバイスで処理するため、より速く効率的。自動運転など即時性が求められる場面で注目。
TPU(Tensor Processing Unit): GoogleのAI専用チップ。機械学習やディープラーニングに特化し、CPUやGPUより効率的。AI開発や処理の高速化に貢献。

編集/高畷祐子


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