8年ぶりにトランプ氏が米大統領に再選されたが、前回は当時の蔡英文総統との「トランプ蔡通話」が両岸を揺るがしたのに対し、今回はトランプ氏のホワイトハウス復帰に際し、現職の頼清徳総統はツイートで祝意を示し、駐米代表処を通じて祝電を送るにとどまった。ホワイトハウスの元国家安全保障担当補佐官のロバート・オブライエン氏が直ちに頼清徳氏のツイートをリツイートしたものの、「トランプ頼通話」が実現しなかったことは残念であった。しかし、トランプ氏は台湾の隣国である中日韓の指導者たちとは電話会談を行った。彼らは一体何を話したのか。
日本の石破茂首相
石破茂氏は首相就任間もないが、11月には衆議院で首相指名選挙を迎える。自民党が先の衆院選で過半数を失ったため、石破氏は野党の挑戦を受け入れざるを得なくなり、立憲民主党の野田佳彦代表との間で稀に見る決選投票に持ち込まれ、次期首相を決めることになると予想されている。石破氏の権力基盤は揺らいでいるものの、日本時間7日午前にトランプ氏と5分間の短い電話会談を行った。
石破氏は「トランプ石破通話」後、首相官邸で記者会見を開き、「日米同盟をより高いレベルとステージに引き上げる」ことで一致したと強調した。石破氏はまた、早期の会談実施で合意したことを明らかにし、「トランプ氏は友好的な印象だった」「率直なコミュニケーションができ、本音で話せる人物だ」と述べた。安全保障問題について踏み込んだ議論はできなかったものの、良好な協力関係を期待し、トランプ政権下でさらなる日米同盟の強化を望むとした。石破氏は今月のペルー・ブラジル訪問の機会を活用し、帰路に米国に立ち寄ってトランプ氏と会談する予定で、「できるだけ早期の接触に全力を尽くす」と強調した。
韓国の尹錫悅大統領
自民党の「派閥裏金」スキャンダルが発覚し、派閥解散、岸田文雄首相の辞任、衆院過半数の喪失という衝撃的な展開となり、石破氏はいまだ首相の座を安定させられていない。韓国の尹錫悅大統領も最近苦境に立たされており、妻の金建希氏を含む側近らの一連のスキャンダルにより、本人と与党「国民の力」の支持率が過去最低を記録し、尹氏は7日、国民に謝罪する記者会見を開いた。
しかし尹氏も7日午前、当選した米大統領トランプ氏と電話会談を行い、「早期会談」について合意に達した。韓国通信によると、「トランプ尹通話」は約12分間続き、両氏は韓米日協力、韓米同盟、北朝鮮のロシアへの軍事支援などの問題について意見を交換した。尹氏はトランプ氏の当選を直接祝福し、「MAGAのスローガンで大勝利を収めたことをお祝いする」と述べ、韓米同盟のさらなる深化と、安全保障・経済など全ての分野での緊密な協力継続への期待を表明した。トランプ氏は両国の造船業協力の必要性を強調し、この問題について韓国側と協議したい意向を示したという。
中国の習近平国家主席
8年前の「トランプ蔡通話」がどのように実現したかは定かではないが、現在の頼清徳政権はトランプ氏と直接通話できないようだ。一方、中国の習近平国家主席は電話でトランプ氏に直接祝意を表明し、韓正国家副主席は共和党の副大統領当選者J.D.バンス氏に祝意を伝えた。サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、習氏はトランプ氏の勝利宣言から1日以内に祝意を表明しており、これは4年前にバイデン氏の当選を祝福した時よりも早かった。
中央テレビのニュースによると、習氏は祝電で「歴史が示すように、中米は協力すれば互いに利益を得られるが、対立すれば共に損失を被る。安定的で健全かつ持続可能な中米関係は両国の共通の利益であり、国際社会の期待に沿うものである。双方が相互尊重、平和共存、協力・ウィンウィンの原則を堅持し、対話とコミュニケーションを強化し、相違を適切に管理し、互恵的な協力を拡大し、新時代における中米の正しい付き合い方を見出し、両国と世界に利益をもたらすことを希望する」と述べた。中国外交部報道官は「中国の対米政策は一貫している。中国は引き続き相互尊重、平和共存、協力・ウィンウィンの原則に基づき、二国間関係を見つめ、処理していく」と表明した。
編集:佐野華美
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