極秘訪米、賴清德政権下で初の"特別チャネル"会談
フィナンシャル・タイムズ紙は、複数の関係者の話として、台湾の吳釗燮国家安全会議秘書長と林佳龍外相が今週、ワシントンDCを訪問し米国側と会談を行ったと報じた。これは賴清德総統が5月に就任して以来、初めての高官訪米団となる。
"特別チャネル"の歴史と重要性
この会談は、米台間の特殊な外交対話である「特別チャネル」の一環だ。2021年、当時外相だった吳釗燮がメリーランド州アナポリスで米国官員と会談したことが初めて公になった。2023年2月には、吳釗燮と当時の顧立雄国家安全会議秘書長(現国防相)がバージニア州北部の米国在台協会(AIT)ワシントン本部で会談を行っている。
会談の背景と意義
今回の会談は、中国が賴総統の対北京・対米関係の手腕を注視する中で行われた。一部の米国官僚は、外交経験の乏しい賴総統を蔡英文前総統より予測困難とみなし、懸念を抱いているという。
我元ホワイトハウス高官のエバン・メデイロス氏は、この特別チャネルを「現代世界政治において最も繊細かつ重要な仕組みの一つ」と評している。
中国の軍事活動激化への対応
2022年のペロシ前下院議長の台湾訪問以降、中国は台湾周辺での軍事活動を強化している。中国は台湾周辺海空域でミサイル発射を含む大規模軍事演習を実施した。
元米国防総省高官のランディ・シュライバー氏は、中国軍の活動が進化していると指摘する。特に台湾東部でのより多くの夜間演習や空中給油など、活動の質と量が向上しているという。
この極秘会談は、米台関係の重要性が増す中で行われ、今後の東アジア情勢に大きな影響を与える可能性がある。両国の緊密なコミュニケーションが、地域の安定にとって極めて重要となっている。 編集/高畷祐子