今週日曜日に投開票が行われる衆議院選挙に向け、各政党が精力的に選挙活動を展開している。自民党では、石破茂首相ら幹部が全国を回る中、党内で人気の高い選対委員長の小泉進次郎氏も15日の選挙戦開始以来、全国各地で候補者の応援演説を行っている。21日には東京都内で昼前から夜まで6カ所での遊説を行い、どの会場も演説を聴こうとする聴衆で溢れた。午後の演説では、最近の中国による台湾周辺での軍事演習にも言及した。
東京1区と18区は、自民党と立憲民主党(旧民主党)が激しく争う選挙区である。東京1区では、立憲民主党から今期で任期満了となる前副議長・元民主党代表の海江田万里氏が、自民党からは山田美樹氏が立候補している。選挙区割り改定により新たな戦いの場となり、過去の選挙では両党が勝敗を分け合ってきた。東京18区は、菅直人元首相の選挙区で1996年以来当選を重ねてきたが、菅氏の引退に伴い、自民党は39歳の新人福田かおる氏を擁立し、立憲民主党は前武蔵野市長の松下玲子氏を立てている。
「風傳媒」は激戦区である東京1区(千代田区、新宿区)と東京18区(武蔵野市、小金井市、西東京市)を訪れ、小泉進次郎氏の都内での演説における「高い人気」ぶりを取材した。午前中、吉祥寺北口の広場には大勢の聴衆が集まり、小泉氏は正午頃に到着し、新人候補の福田氏の応援に駆けつけた。選挙スタッフと福田氏の演説の後、小泉氏が登壇すると、大きな歓声が上がった。冒頭、小泉氏は福田氏が自分との協働を心待ちにしており、自身も彼女との協力を楽しみにしていると述べた。
「政治とカネ」問題の払拭へ 小泉氏が候補者の応援に奔走
今回の衆院選での応援演説で、小泉進次郎氏は日本メディアから、自民党の「政治とカネ」の影を払拭する役割を担っていると評された。午前中の演説で小泉氏は、対立候補が「政治とカネ」の問題を利用して福田氏を誹謗中傷していると指摘したが、これらの問題は福田氏とは無関係であり、責任は自分のような自民党幹部が負うべきだと強調した。支持者に対し、福田氏への不当な批判を控えるよう呼びかけ、有権者に周囲の人々へ、福田氏は正直な候補者で、無関係な問題に巻き込まれるべきではないと伝えてほしいと訴えた。
午後3時過ぎ、小泉氏は高田馬場駅前にも訪れ、同じく激戦区に立候補している山田美樹氏の応援に立った。再び「政治とカネ」の問題に触れ、自民党選対委員長として、山田氏を比例名簿に掲載しないという決定を下したことは自身の仕事の一つだったと説明した。この決定を山田氏に伝えた際、彼女は快く受け入れたという。自民党は過去の「政治とカネ」の問題により、今回の衆院選で厳しい選挙情勢に直面し、深い反省が必要だが、同じ過ちを繰り返さないと約束した。国民からの批判は認めつつも、自民党の改革を信じてほしいと訴えた。
「3つの課題解決を」安倍氏襲撃、社会犯罪、中国の台湾軍事演習
小泉進次郎氏は高い人気を誇り、姿を見せるたびに聴衆から熱烈な歓声と拍手が沸き起こった。挨拶では写真撮影に感謝し、撮影だけでなく拡散も呼びかけた。度重なる暴力・襲撃事件を受け、街頭演説は厳重な警戒態勢が敷かれ、警視庁、地元警察、SPが厳重に警備し、会場入場時には金属探知機による検査が実施された。小泉氏は演説で、選挙の安全、経済・社会問題、防衛・自衛隊に関する課題という3つの問題解決の必要性を強調し、詳しく論じた。
まず、「会場の厳重な警備態勢をご覧になったと思う」と述べ、これは安倍晋三元首相が街頭演説中に襲撃され死亡した事件や、岸田文雄前首相への爆発物による襲撃事件が背景にあると説明した。数日前には自民党本部も火炎瓶による襲撃を受け、民主主義の根幹である選挙活動が脅かされている。暴力で言論の自由を封じ込めようとする動きに対し、政治家として暴力の連鎖を断ち切る必要があると強調した。さらに、攻撃に直面しながらも信念を貫き、理想のために戦う党員たちの精神を称賛した。
続いて経済問題について、中小企業の賃上げ支援や、教師、医療従事者、介護・福祉職など賃金が上がっていない業種への細やかな支援を考える必要性を指摘した。経済問題に加え、最近の社会犯罪について、国内外からの指示による犯罪や、携帯電話による違法な情報伝達、闇バイトなど、予測困難な攻撃源による生活不安の広がりを指摘した。国民の安全を守るため、経済対策と防犯対策を並行して進める必要があると訴えた。
国際情勢については、中国による台湾周辺での軍事演習や、北朝鮮とロシアの同盟関係への懸念、中東情勢の不安定化など、世界が重大な課題に直面していると指摘した。このような世界情勢の変化の中でも、自衛隊は忠実に任務を遂行し、日本の領海・領空・領土を守っている。憲法に明記されていない中でも、自衛隊員は職務に誇りを持ち、その犠牲と献身に感謝すべきだと述べた。しかし、このような状況下で、今後若者が自衛隊に入隊を希望するのかという問題を提起した。
「政権担当能力は自民党だけ」と小泉氏が強調
これを受け小泉氏は、この不公平な現状を変える責任は自民党にあり、政権運営能力を持つ政党でなければならないと強調。日本の衆院選は週末に終わり、その後にはアメリカ大統領選も控えている。トランプ氏が再選されるにせよ、ハリス氏が就任するにせよ、今後は課題の多い時代になると指摘。そのため、このような情勢下で政権運営の責任を担えるのは「我々自民党・公明党しかない」と述べ、この発言に会場から大きな歓声と拍手が沸き起こった。
朝日新聞の19、20日の全国約36万人の有権者を対象とした電話・ネット調査では、自民・公明の与党が過半数を維持できるかが不透明で、自民党は改選前の247議席から約50議席減る見通しとされている。
産経新聞社が21日にFNNと共同で実施した情勢調査では、自民党の議席が大幅に減少し、公明党との連立与党で過半数を割り込む可能性が指摘されている一方、立憲民主党は議席を大幅に伸ばす見通しとなっている。
編集:佐野華美
台湾ニュースをもっと深く:風傳媒日本語版Xをフォロー👉 @stormmedia_jp