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編集部

石破首相の所信表明演説:経済再生を強調、中国の「武力による現状変更」を批判


石破茂首相が4日、国会で所信表明演説を行った。演説内容は外交安全保障、経済政策、社会福祉など広範な分野に及び、石破内閣の施政方針と今後の方向性を示した。石破氏は日米同盟の重要性や日本経済の将来性を強調し、また中国の武力による現状変更の試みを批判した。


一、外交安全保障:日米同盟を基軸に

演説の冒頭、石破茂氏は「日本と日本の未来を全力で守り、政治資金問題で失われた信頼を取り戻し、信念と共感をもって安全で安定し繁栄した日本を再建する」と強調した。まず外交・安全保障政策に触れ、新政権がこの問題を重視していることを示した。戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している日本について、石破氏は以下の政策を提示した:


日米同盟の強化:石破氏は、日米同盟が日本の外交・安全保障の基軸であり、インド太平洋地域と国際社会の平和と繁栄の基礎でもあると述べた。日米同盟の抑止力と対応力をさらに強化すると約束した。


友好国との協力強化:石破氏は韓国、オーストラリア、G7諸国などの同志国との協力強化を強調した。特に日韓関係については、前首相岸田文雄氏が韓国の尹錫悦大統領との間に築いた信頼関係を基礎に、さらに日韓協力を発展・強化し、日米韓の緊密な協力を進めると述べた。


中国の挑戦への対応:石破氏は、東シナ海・南シナ海での中国による武力を用いた一方的な現状変更の試みが深刻化していると指摘した。「戦略的互恵関係」を推進し、各レベルでのコミュニケーションを積み重ねると同時に、日本は主張すべきことを主張し、中国に責任ある行動を強く求めると述べた。


自衛隊の強化:石破氏は日本自身の防衛力を徹底的に強化すると述べ、特に自衛官の重要性を強調した。首相を長とする関係閣僚会議を設置し、自衛官の生活・勤務環境や待遇改善を専門的に研究すると発表した。


経済安全保障の推進:石破氏は技術流出防止策の推進や、サイバー攻撃を事前に防ぐ「能動的サイバー防御」の導入検討を加速させると述べた。

二、経済政策:「投資大国」を目指し、賃金成長を実現

経済政策については、石破氏は日本経済を活性化し国民生活水準を向上させるための一連の目標と施策を提示した:


デフレ脱却:石破氏は「経済優先、財政は二の次」の方針を継続すると強調し、デフレ脱却を優先すると述べた。これは前首相岸田文雄氏の表現と一致しており、市場に経済政策の継続性を示すシグナルを送る意図がある。


賃金水準の引き上げ:石破氏は全国平均の最低時給1500円の実現時期を2030年代半ばから2020年代に前倒しすると約束した。消費回復のためには賃金上昇率が物価上昇率を上回る必要があると強調した。


「投資大国」の推進:石破氏は「資産運用立国」から「投資大国」への転換を提唱し、産業への大胆な投資を奨励した。この政策は経済成長と国際競争力の向上を目指している。


経済対策の策定:石破氏は物価上昇の影響を強く受ける低所得世帯への支援を含む経済対策を早急に策定すると述べ、消費回復の促進の重要性も強調した。

三、社会政策:人口減少への対応、地方創生の推進

石破茂氏は日本が直面する人口減少などの問題に対処するための一連の社会政策を提示した:


「静かな危機」への対応:石破氏は人口減少を「国の根幹に関わる問題」「静かな危機」と表現し、積極的な対策を講じると述べた。


働き方改革の推進:子育て支援のため、短時間勤務制度や勤務間インターバル制度などの働き方改革施策の普及を提案した。


地方創生の促進:石破氏は「地方こそが成長の主役」と強調し、地方創生交付金を当初予算で倍増すると約束し、地方経済の活性化を図る方針を示した。


防災庁の設置:石破氏は日本の自然災害への対応力を強化するため、専門の防災庁の設置を進めると述べた。また、「災害関連死ゼロ」という目標を掲げ、避難所の条件改善を計画している。


社会保障改革の推進:石破氏は多様な人生選択に対応できるよう、より柔軟な社会保障制度を設計すると約束した。


四、その他の重要政策

エネルギー政策:石破氏はAIの普及による電力需要の急増に対応するため、安全性を確保した上で原子力を利用し、同時に脱炭素化を進めエネルギー自給率を高めると述べた。


憲法改正:石破氏は自身の任期中に憲法改正の提案を実現したいと述べ、この問題について国民的議論が展開されることを期待すると述べた。


沖縄政策:石破氏は引き続き沖縄の基地負担軽減に努め、経済強化を支援すると約束した。


五、政治信頼の再建

石破氏は演説の中で政治への信頼回復に何度も言及した。これは自民党派閥の政治資金スキャンダルにより国民の政治への信頼度が低下したことが背景にあると考えられる。政治資金使用の透明性を高め、不適切な報告に関わった議員に反省を求めると約束した。


石破茂内閣支持率、過去最低を記録

石破内閣は発足したばかりだが、日本経済新聞と東京テレビの最新の世論調査によると、石破内閣の支持率はわずか51%で、岸田氏就任時の59%を下回り、2002年以降現在の調査方法を用いて得られた内閣発足時の支持率としては最低となった。これは石破茂氏の政策推進に困難をもたらす可能性がある。


日本のメディアは、石破政権の主な課題として、現在の国際情勢下で日本の安全と利益をいかに守るか、いかに効果的に経済を活性化し国民の生活水準を向上させるか、そして人口減少などの長期的な社会問題にいかに対応するかを挙げている。さらに、国民の政治(そして自民党)への信頼を回復することも大きな課題となるだろう。


編集:佐野華美


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