台湾初の国産潜水艦、いよいよ海上試験へ
台湾国防部の顧立雄部長は18日、メディアとの懇談会で、台湾初の国産潜水艦「海鯤号(Narwhal)」(艦番号711)の海上試験(SAT)が2025年3月末から4月初めに開始される見通しを明らかにしました。現在、海鯤号は係留試験(HAT)を実施中で、契約通り2025年11月の引き渡しを目指しています。
総額2兆円超の量産計画、8隻体制で戦略的抑止力強化
顧部長によると、行政院(内閣)は既に潜水艦量産計画の予算を承認しており、2025年から2038年にかけて約2840億台湾ドル(約1.3兆円)が計上されています。この予算には建造費のほか、港湾施設、訓練施設、将兵宿舎、プロジェクト事務所、武器システムなども含まれています。
量産は「2+3+2」の3段階で進められ、第1段階の2隻は海鯤号と同じ仕様、第2段階の3隻は改良型になる予定です。顧部長は「原型艦の海鯤号に加えて7隻の量産艦、合計8隻の潜水艦体制が戦略的抑止力を生み出し、奇襲や隠密性の効果を発揮する」と強調しました。
MK-48魚雷の分割納入で完成時期に変更
2025年度国防予算書によると、海鯤號の完成時期が当初の2025年から2029年に延期されています。これについて顧部長は、主要武器であるMK-48 Mod6 AT魚雷が分割納入されるためだと説明しました。海軍参謀長の邱俊榮中将は、「国際情勢や供給チェーンの問題により、魚雷の納入が分割されることになった」と補足しています。
潜水艦救難艦の整備計画も進行中
邱参謀長は、将来の8隻体制を見据え、2027年には潜水艦救難艦の詳細な計画が立案される予定だと明かしました。また、水中救援能力については、既に同盟国と相互救援メカニズムを締結しており、救援時間や過程に関する仕組みも確立され検証済みだとしています。
海鯤号完成前の予算計上の理由
海鯤号の海上試験完了前に量産艦の予算を計上している理由について、顧部長は「潜水艦建造の初期段階には入札や契約締結などのプロセスがあり、潜水艦建造能力を維持し、下請け業者が各国からの輸出許可を確実に取得できるようにする必要がある」と説明。海鯤号の引き渡し後に予算を計上すると、関連する進捗に重大な影響を与える可能性があるとしています。 編集:高畷祐子
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