中国発AAA級ゲーム、世界市場で快進撃
中国初のAAA級(高コスト、大規模、高品質)ゲーム『黒神話:悟空』が8月20日に全世界で発売され、わずか3日間で1000万本の販売を記録した。全プラットフォームでの最大同時接続ユーザー数は300万人に達し、1本約1,280台湾ドル(約5,700円)で計算すると、推定売上高は128億台湾ドル(約570億円)を超える。
ゲーム内容:西遊記をベースにしたアクションRPG
『黒神話:悟空』は、中国の古典文学『西遊記』をベースにしたアクションロールプレイングゲーム(ARPG)だ。プレイヤーは「天命人」と呼ばれる孫悟空のような主人公を操作し、ゲーム世界を冒険しながら伝説の謎を解き明かしていく。ゲームの高品質グラフィックスと斬新なゲームプレイは、多くのプレイヤーを魅了し、「一匹の猿がPC市場を救った」と評されるほどの影響力を持っている。
台湾市場でのPS5版発売遅れに懸念の声
しかし、台湾ではSteamやEpic Games Storeなどのデジタル版は購入可能だが、PS5版は未だ発売されていない。当初はPS5のPlayStation Network(PSN)ストアで「ウィッシュリスト」に追加できたが、現在は商品ページすら表示されない状況だ。
台湾PS5ユーザーの対応策
台湾のPS5ユーザーが『黒神話:悟空』をプレイするには、香港や日本のPSNアカウントを作成し、それぞれの地域のプリペイドカードを購入してゲームを買う必要がある。あるいは、PCでSteamやEpic Games Storeから購入するしかない。
政治的理由による規制の憶測も
台湾のゲームコミュニティでは、政府による政治的介入や技術的な妨害の可能性が憶測されている。情報セキュリティの懸念や他の政治的要因により審査が通過していないのではないかという声も上がっている。
台湾当局の説明:手続き未完了が原因
しかし、台湾のデジタル発展部産業署は政治的理由を否定。「両岸人民関係条例」と「ゲームソフトウェア等級管理弁法」に基づき、中国のゲームは台湾の代理店を通じて運営される必要があると説明。台湾代理店は代理店契約書、運営声明書、サーバーフロー検査報告書、ゲーム内の資金と個人情報の流れに関する報告書など、完全な書類を提出する必要があるという。
手続き完了後の発売に期待
デジタル発展部によると、台北市コンピュータ協会が運営するデジタルエンターテインメントソフトウェア分類照会サイトで、台湾代理店「タイタンエンターテインメント」が7月31日にゲーム情報を登録済み。台北市コンピュータ協会は代理店に対し、中国ゲームの代理手続きに従って申請するよう要請したが、代理店はまだ代理証明書類を提出していないという。
デジタル発展部は「この件に政治は関係なく、純粋に関連手続きが完了していないだけだ」と強調している。必要書類の提出後、審査手続きは1ヶ月以内に完了する見込みだ。
中国ゲーム産業の台頭に注目
『黒神話:悟空』の成功は、中国ゲーム産業の急速な成長を象徴している。今後、世界市場での中国ゲームの存在感がさらに増すことが予想される中、各国の規制対応にも注目が集まりそうだ。
編集/高畷祐子
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