マーティン・ベーカー社の射出座席、台湾空軍パイロットを救う
台湾空軍第二航空団のミラージュ2000-5戦闘機パイロット、謝沛勳大尉が10日の夜間訓練中に緊急脱出を余儀なくされた。幸いにも無事救助されたが、その成功の鍵を握ったのが英国マーティン・ベーカー社製の射出座席だった。同社の公式ウェブサイトによると、謝大尉は同社の射出座席によって救助された7,730人目のパイロットとなった。
半世紀近く現役、F10QA型射出座席の実績
マーティン・ベーカー社の資料によれば、台湾のミラージュ2000-5戦闘機に搭載されているのは「Mk10 F10QA」型射出座席だ。1976年の登場以来、4,000基以上が生産されてきたこのモデルは、多くのパイロットの命を救ってきた。昨年、台東県知本沖で墜落したミラージュ戦闘機事故でも、黄重凱中佐が同型の射出座席で脱出に成功。黄中佐は同社の射出座席によって救助された7,671人目のパイロットとなった。
台湾空軍主力機種にも採用、信頼性の証
マーティン・ベーカー社の射出座席は、台湾空軍の主力機種にも広く採用されている。国産戦闘機F-CK-1「経国号」や新型高等練習機T-BE5A「勇鷹」にはMk12型が、退役したF-5E/F戦闘機にはMk16型が搭載されていた。Mk16型は今後、勇鷹への転用が予定されている。
最新鋭F-16にも採用予定、世界標準の安全性
注目すべきは、台湾が年末に受領予定の最新鋭F-16C/D Block 70戦闘機にも、マーティン・ベーカー社の最新モデルMk18型射出座席の搭載が予定されていることだ。このMk18型は、韓国のKF-21戦闘機にも標準装備として選ばれており、その信頼性は国際的に認められている。
マーティン・ベーカー社の射出座席は、台湾空軍の安全性向上に大きく貢献している。唯一の例外は、アメリカのコリンズ・エアロスペース・システムズ社製「ACES」を採用している現行のF-16V戦闘機だ。今回の事故を通じて改めて射出座席の重要性が認識され、今後の台湾空軍の装備選定にも影響を与える可能性がある。 編集:高畷祐子
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