欧州重視の姿勢鮮明に、対米包囲網を形成か
中国外交部は2日、人的往来の促進を目的とした査証免除政策の拡大を発表した。8日より、スロバキア、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、アイスランド、アンドラ、モナコ、リヒテンシュタイン、そして韓国の一般旅券所持者に対し、査証免除措置を試験的に実施する。
星島日報の分析によると、今回の措置で対象となった9カ国のうち、韓国を除く大半が欧州諸国であることから、米国への接近を牽制する狙いがあるとみられている。
入国者数、大幅増加で政策効果が顕著に
コロナ禍後、中国はすでにフランス、ドイツ、イタリアなど約60カ国に対して査証免除を実施している。一方、米国に対しては144時間(6日間)の通過査証免除にとどまっている。この政策は即効性を示し、今年第3四半期の外国人入国者数は818.6万人に達し、うち査証免除による入国は488.5万人と、前年同期比78.6%増を記録した。
日韓で異なる対応、地政学的思惑が影響か
注目すべきは、同じアジアの先進国でありながら、今回の査証免除拡大で韓国が含まれ、日本が除外された点だ。韓国は初めて中国の査証免除対象となった一方、日本は感染症流行前に享受していた一方的な査証免除が停止されたまま、経済界からの再開要望にも進展がみられていない。
日中間の複数の懸案事項が影響
専門家は、この背景に地政学的要因があると指摘する。福島処理水問題で一定の合意に達したものの、日本産水産物の輸入再開時期は依然として不透明だ。さらに、尖閣諸島をめぐる海洋権益の争いや在中日本人の安全問題も継続している。加えて、歴史問題や台湾問題といった構造的な課題も存在することから、中国側が外交カードとして留保している可能性が指摘されている。
韓国への配慮、朝鮮半島情勢も影響か
一方、韓国については根本的な利害対立が少なく、今年に入って関係改善が進み、ハイレベルの往来も再開している。現在、朝鮮半島では緊張が高まっており、北朝鮮のロシア支援疑惑も浮上する中、中国による査証免除は韓国への友好的なジェスチャーとして受け止められている。 編集:高畷祐子
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