米大統領選の最終段階を迎え、世界の株式市場は固唾を飲んで見守っている。アナリストらは、トランプ氏が勝利した場合、米国株式市場は祝賀ムードで上昇が見込まれるものの、長期的には政策への懸念が残るとしている。一方、ハリス氏が当選した場合、逆の「短期安・長期高」のシナリオが予想されている。
通常、大統領選後の株式市場には祝賀相場が出現し、米国株も例外ではない。過去のデータでは選挙後1〜3ヶ月で2〜6%の上昇を記録している。しかし、あるテクノロジー株投資家はVOAに対し、地政学的リスクの不確実性から、今回は選挙後の上昇が見込めない可能性があり、特にトランプ氏当選の場合はその傾向が強いと匿名で語っている。
専門家たちはどう考える
台湾の投資顧問会社クォンタム・インターナショナルのピーター・クルツ戦略部長はVOAに対し、選挙後の株価上昇は確実で、上昇幅の大きさが問題だと指摘。ただし、短期的な上昇トレンドを見込む一方で、長期的な見通しには慎重な姿勢を示し、トランプ氏当選の場合は「短期高・長期安」の展開を予想している。
クルツ氏は「トランプ氏当選の場合、短期的な影響はポジティブだが、長期的にはネガティブとなる。法人税率引き下げは株式市場にプラスだが、長期的には政府の財政赤字拡大により、インフレや金利上昇の問題が生じる」と分析している。
香港のブラックウェル・グローバル・セキュリティーズのチーフアナリスト、ニエ・ジェンバン氏はVOAに対し、トランプ氏は米国経済の成長を強く刺激する傾向にあり、ダウ工業株30種平均は当選後に新高値を目指す可能性があるものの、「PER(株価収益率)が30倍を超える状況下では、44,000ポイント付近で頭打ちとなる」との見方を示している。
英キャピタル・エコノミクスのトーマス・マシューズ上級市場エコノミストも、米国株はハリス氏よりもトランプ氏当選に対して楽観的で、債券市場の長期金利もトランプ氏当選後に大きく反発すると予想。ただし、減税効果の剥落とともに、財政赤字、インフレ、「50-100ベーシスポイントの利上げ可能性」、関税などの課題が株価の重荷になると警告している。
米・4大銀行の見解は
一方、米ウェルズ・ファーゴ銀行は選挙後の米国株に対して悲観的な見方を示し、最近の報告書で勝者に関係なく下落を予想している。同行は以下4つのシナリオを提示:
1. ハリス氏とトランプ氏の得票数に争いが生じた場合、S&P500は2-5%の急落
2. トランプ氏勝利の場合、過激な財政政策により企業コストが上昇し株価下落
3. ハリス氏勝利の場合、失望売りでS&P500が2-3%下落
4. 米国債利回りの継続的上昇でS&P500が5700ポイントまで調整し、3%の下落
編集:佐野華美
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