中国人民解放軍東部戦区は「連合利剣-2024B」台湾包囲軍事演習を突如開始し、14日午前5時から同日午後6時30分まで、13時間足らずで終了した。この「迅速な展開と撤収」の演習は、どのような戦略目標を示そうとしたのか、また台湾にどのようなメッセージを送ろうとしたのか。そして「台湾防衛」を主張する米国は、「利剣B」実施時にどこにいたのか。
『台湾封鎖』能力を誇示し、台湾の経済と民心に打撃を与える
まず、「利剣A」と比較して、「利剣B」の主要な戦略目標は「台湾封鎖」の選択肢を表面化させることだった。「利剣B」は台湾に対する「包囲網」をより締め付け、一部の演習海空域は台湾本島により近く、兵力はより集中していた。また、金門、馬祖に対する包囲式演習から、金門、馬祖と台湾本島間の海空域封鎖演習へと変化した。
専門家は、解放軍がこれを台湾本島の全面包囲と金門、馬祖の「回復」後、台湾本島に対する第2段階の軍事行動を模擬していると分析している。具体的には、台湾島内の軍事力が金門、馬祖を奪回する機会を防ぎ、台湾本島への緊密な包囲を維持しながら、集中的な優勢兵力で台湾の重要軍事目標に対してより的を絞った攻撃を展開することを示している。
演習の具体的内容では、解放軍は初めて「重要港湾・水域の封鎖管理」を提示し、海軍力と海警力が同時に出動した。専門家の分析によると、中国海警編隊は台湾本島周辺海域で周航を行い、台湾東部の一区域から「島囲み」の全域へと拡大した。つまり、将来必要な場合、中国海警編隊が解放軍海空軍の台湾周辺海域封鎖を支援し、米国から台湾への武器輸送船の臨検・押収、台湾への石油・天然ガスなどのエネルギー輸送船への法執行モデルが検証されたという。
『実戦化』レベルが向上、戦闘機はすべて『実弾搭載』
実際、米国ワシントンのシンクタンク「戦略国際問題研究所」(CSIS)の「中国力」(China Power)グループは、2024年8月に「中国による台湾封鎖の可能性」(How China Could Blockade Taiwan)という報告書を発表した。その内容は、解放軍の軍事技術能力の進歩に基づき、台湾封鎖が可能になったこと、そしてそれが解放軍の戦役学に合致していることを指摘している。他国の台湾海峡介入への軍事的決意にばらつきがあることを考慮すると、封鎖は様々な効果を持つ可能性がある。食糧の50%以上とエネルギーの100%を輸入に依存する地域である台湾にとって、封鎖は台湾の経済基盤と民心に大きな打撃を与えるだろう。
米国は口頭で深刻な懸念表明、直近の空母はハワイに」
次に、「利剣B」の「実戦化」の程度がより高くなっている。東部戦区が公開した映像や写真を見ると、H-6K爆撃機やJ-10、J-16戦闘機はすべて実弾を搭載して参加している。
専門家は、演習中に解放軍の複数批次・複数機のH-6K爆撃機が、早期警戒機、電子妨害機、空母搭載機の支援のもと、迅速に予定空域に飛行して攻撃陣形を構築し、「敵港湾軍事目標に対して複数波の模擬連合打撃を実施した」と指摘している。この空からの封鎖と攻撃能力は、台湾側が以前想定していた解放軍海軍の封鎖モデルを超えており、解放軍の海空連合行動による台湾周辺海空域封鎖の戦力を示したという。
さらに、「利剣B」台湾包囲軍事演習の開始後、米国務省はマシュー・ミラー報道官の名で書面声明を発表し、解放軍の軍事的挑発が状況をエスカレートさせるリスクがあると直言し、解放軍が台湾海峡および台湾周辺で連合軍事演習を行うことに「深刻な懸念」を表明した。
しかし、「利剣B」実施時、解放軍の現役2隻の空母のうち、「遼寧」は台湾東部で演習に参加し、「山東」は南シナ海で待機していたのに対し、最も近い米空母「ジョージ・ワシントン」(USS George Washington CVN-73)はハワイにいた。2022年のペロシ訪台後の「台湾包囲」軍事演習時には、少なくとも米空母「ロナルド・レーガン」(USS Ronald Reagan CVN-76)がバシー海峡に接近し、「トリポリ」(USS Tripoli LHA-7)が沖縄付近にいて、いつでも前者と合流できる態勢だった。
なぜ今回、米空母は解放軍の演習範囲に近づかなかったのか。中国大陸国防大学の張弛教授は、一つは解放軍海軍「遼寧」空母編隊が第一列島線を出て西太平洋に進入したこと、もう一つは解放軍空軍爆撃機編隊が島嶼線を出て「遼寧」空母編隊と連合演習を展開したことを挙げている。彼は、中国空母の位置取りを見ると、咽喉要道を占め、堅固な海上の障壁を形成し、「外部阻止・内部圧迫」の戦略態勢を形成していると述べた。
日本の態度については、石破茂首相が14日の記者会見で、「台湾海峡、台湾周辺の平和と安全は、我が国だけでなく、地域にとって極めて重要な問題である。我が国は状況の推移変化を注視している」と、軽く応答するにとどまった。「台湾有事は日本有事」という言葉は石破茂の口からは出なかった。
編集:佐野華美
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