米国民の複雑な台湾観:独立支持と現状維持の矛盾
米国シカゴのシンクタンク「シカゴ・グローバル問題評議会」が8日に発表した調査結果によると、米国民の51%が米国は台湾に現状維持を促すべきだと考えていることが明らかになった。また、58%が台湾海峡での軍事衝突時に米軍を派遣し、中国と直接戦争になることに反対していることも判明した。
台湾への好感と慎重姿勢が共存
調査結果は、米国社会が全般的に台湾に好感を持ち、国際組織への参加や独立国家としての承認を支持している一方で、台湾問題に関しては一定の留保があることを示している。特に、米国が軍隊を派遣して台湾を防衛することへのコミットメントや、台北と北京の軍事衝突への介入に対しては消極的な姿勢が見られた。
現状維持派が過半数を占める理由
調査報告書は、このような理由から、過半数の米国民が米国は台湾に現状維持を促すべきだと考えており、独立や統一を支持する声は少数派であると分析している。
具体的な調査結果:米国民の台湾に対する複雑な姿勢
台湾の将来に関する見解
51%が米国は台湾に現状維持を促すべきと回答
36%が独立に向かうべきと回答
統一を支持したのはわずか4%
中国の武力行使時の対応
74%が米国は空輸で台湾を支援すべきと回答
59%が武器提供を支持
しかし、58%が米中戦争につながる軍隊派遣に反対
台湾支援に関する具体的な政策への支持
42%が台湾防衛のコミットメントを支持
59%が国際組織への台湾の参加を支持
62%が米台自由貿易協定の締結を支持
分析:矛盾する調査結果の背景
報告書の執筆者であるシカゴ・グローバル問題評議会の世論・外交政策部長クレイグ・カフラ氏は、一見矛盾する調査結果について興味深い分析を提示している。
中国との衝突回避が最優先
カフラ氏は、「なぜ過半数の米国民が台湾の独立を支持しながら、同時に現状維持を望むのか」という疑問に対し、簡潔に次のように説明している。
「米国民は中国との衝突を避けたいと考えています。中国の台湾侵攻の脅威がこの問題の中心にあり、戦争や暴力が政府の政策推進に対する社会の見方に影響を与えているのです。」
台湾の自己決定権を尊重
調査データは、一部の米国民が中国との戦争の影におびえながらも、台湾の独立追求を奨励し、独立国家として承認することを支持していることを示している。しかし、それによって衝突が引き起こされるかどうかは台湾自身が決定すべきだと考えている。
重要なのは、台湾と中華人民共和国の間で衝突が発生した場合、米国民は自国が直接巻き込まれることを望んでいないという点だ。
調査の概要:この調査は6月21日から7月1日にかけて、オンライン調査プラットフォーム「KnowledgePanel」を使用して英語とスペイン語で実施された。全米の18歳以上の成人2,106名が参加している。 編集:高畷祐子
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