奥多摩で台湾出身戦没者の慰霊行事 奉納演奏や参拝実施へ

2025-05-26 16:07
台湾出身戦没者慰霊碑。(画像/東京台湾の会提供)

太平洋戦争中に日本軍に従軍し、命を落とした台湾出身の戦没者を追悼する慰霊行事が、5月27日、東京都奥多摩町の奥多摩湖畔にある「台湾出身戦没者慰霊碑・慰霊塔」で実施される。主催は在日台湾人らによる「東京台湾の会」。慰霊碑前では清掃・焼香・献花が行われ、台湾の伝統楽器・二胡による奉納演奏も予定されている。

集合は午前11時40分、JR青梅線・奥多摩駅前。参加者は西東京バスで「峰谷入口」まで移動し、そこから徒歩で笠松展望園にある慰霊碑へ向かう。現地では音楽グループ「香花ハーモニー」が、日本統治時代の台湾民謡などを中心とした二胡の演奏を捧げる予定。

台湾は1895年から1945年まで日本の植民地下にあり、第二次世界大戦末期には本格的な徴兵・徴用が開始された。約20万人の台湾人が軍人・軍属として動員され、そのうち3万人以上が戦死したとされる。戦後長らく顕彰の機会が乏しかった中、2006年に日本人有志の手により慰霊碑が、2011年には慰霊塔が建立された。現在も日台の有志らが定期的に手を合わせ、静かな慰霊が続けられている。

主催者の簡憲幸(けん・けんこう)氏は「在日台湾原住民連合会」の活動にも関わり、日本各地で台湾の歴史や移民の足跡を伝える市民活動を行っている。長年にわたり慰霊碑の清掃や参拝行事の運営を担い、在日台湾人と日本社会との橋渡し役を果たしている。

また、本行事に関わる支援者の一人である山本幸男氏は、元「一般財団法人台湾協会」台湾連絡事務所長として、長年にわたり日台の文化・人的交流に尽力してきた人物。台北市日本工商会や台湾日本人会の幹部も歴任し、台湾社会との深い信頼関係を築いてきた。近年は慰霊碑を訪れる参加者に向け、戦争と台湾の歴史的背景を伝える案内役としても活動している。

台湾出身戦没者慰霊塔。(画像/東京台湾の会提供)
台湾出身戦没者慰霊塔。(画像/東京台湾の会提供)

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