広島原爆80周年式典 台湾初の出席通知へ 受け取れば参加意向

広島市は2025年8月6日に「平和記念式典」を開催する予定。写真は広島平和記念公園(資料写真、AP通信)

広島市が2025年8月6日に開催を予定している平和記念式典について、台湾への開催通知送付が検討されていることが明らかになった。『産経新聞』が15日報じたところによると、日本と台湾の間に正式な外交関係がない中でも、市は今回の式典通知を台湾側にも送る方向で検討を進めているという。

当初、台湾は通知対象リストに含まれていなかったものの、広島市は台湾側からの出席希望を考慮し、再検討する方針を決めた。

報道によると、広島市は今月中に通知対象を含む平和記念式典の概要を発表する予定で、市は台湾への通知について「検討中」との立場を示している。一方で、原爆投下から80周年となる節目の年であることを踏まえ、「広島の心声」である人類共存と繁栄の理念を幅広く伝えることを重視する姿勢を示しているという。

広島市は4月、従来の「招待」方式から「通知」方式に変更し、各国・地域の判断で出席を決められるよう改めた。通知対象は原則として日本に大使館を設置しているか、国連に代表を持つ195の国と地域に限定されており、日本政府が台湾を国と認定していないことから、台湾は当初通知対象になっていなかった。

こうした中、『産経新聞』によると、広島地域を管轄する大阪の台湾経済文化代表処の洪英傑代表は4月に書面で「通知を受け取ることができれば、台湾は今回の式典への出席意思がある」との意向を示した。『中央社』の報道では、洪代表は台湾に友好的な多くの広島市議が市議会で台湾支持を表明したことを挙げ、これにより台湾が広島平和記念式典に初めて招かれる見通しだと述べている。

広島平和記念式典は歴史的意義だけでなく、平和理念を発信する重要な象徴として位置づけられている。今回は台湾を通知対象に含めるかどうかが焦点の一つとなっている。

​編集:梅木奈実