論評:賴清德の価値選択、トランプ政治家に密着するのか?

米トランプ大統領はカタールからの「空中宮殿」の贈与を受け、仮想通貨での大儲けを公表、自身の株を宣伝するなど、自己中心的な政治家の性格を露呈している。(AP通信)

台湾の賴清德総統は『日経アジア』の取材に応じ、台湾の選択は価値の選択であり、国家の二強の間の選択ではないと述べた。これは民主制度を持つアメリカを意味している。しかし、アメリカのトランプ大統領が就任から100日後には、カタールからの贈物である「空中宮殿」を受け取り、仮想通貨で大きな利益を得、公然と自社株を推奨するなど、その自私な政治家としての性格が露わになっている。このようなトランプに台湾の価値選択を寄せるべきなのか?

トランプの「厚顔無恥」

トランプの厚顔無恥な行動は、常人とは異なっている。トランプ大統領はカタール王室から贈られた4億ドル(約新台湾ドル121億元)相当のボーイング747-8型ジェット機を大統領専用機「エアフォースワン」として使用することを打診し、倫理と安全に関する重大な懸念を引き起こしている。「バカだけが断る」とまで発言し、MAGAの熱狂的支持者さえ「カタールは公然たる贈賄だ!」と怒り心頭となっている。

1839年、アメリカの前大統領マーティン・バンビューレン(Martin Van Buren)は、モロッコのスルタンからライオン、馬、真珠などの贈り物を受け取ったが、そのような贈与を受け取ることが、アメリカ憲法の「報酬条項」に違反する恐れがあるため、受け取れなかった。憲法上、外国からの贈与を受け取るには、事前に議会の同意が必要である:「アメリカの給与職または信託職を担う者が、議会の同意なく、国王・王子・外国政府から贈り物・報酬・職位・称号を受けてはならない」。

カタール航空の機材。(AP)
カタール王室から贈呈された4億ドル相当のボーイング747-8型ジェット機を大統領専用機「エアフォースワン」として使用する予定のトランプ大統領。(AP)

バンビューレンはアメリカ憲法に従い、大人しく議会にこれらの贈り物の処理方法を問い合わせる書簡を送り、結果として贈り物を受け取ることができなかった。ライオンは動物園に、馬は売却され、真珠はスミソニアン協会に収蔵された。しかし、今のアメリカ大統領の権力はどこまでも広がっているようで、トランプは自由自在な振る舞いを見せる脱線馬のようだ。

トランプの「自在無限」

トランプの突然の行動変容は頻繁に見られ、その行動パターンは、映画『狂気の法則』で映像化された手法に似ている。トランプは三つの常套手段を用いる:「攻撃、拒否、常に勝利を主張」。第一は「攻撃」すなわち極限的な圧力の掛け方、第二は「否定」謝罪もしないし、誤りを真に転じるプリンシプル、第三は「常に自分の勝利を主張する」。事がどう進行しようとも、決して負けを認めないことだ。 (関連記事: iPhoneインド生産も不適切⁈ トランプ氏批判「アップルは中国関税回避ではなく米国製造に戻るべき」 関連記事をもっと読む

トランプは極限的圧力を加えた後、瞬時に大きくリターンを獲得した。彼は75ヵ国に対して「対等関税」の保留を発表し、発表後には米株が急上昇した。しかし発表の4時間前、トランプは自身のSNSで「今が買い時だ!」と自社の株式コード「DJT」を添えて投稿した。「トランプは公然と株を推薦している」と投資家たちは驚愕した。4時間後には、トランプは75カ国への関税を90日間一時停止すると発表し、すぐに株式市場は上昇した。

2025年4月2日、ホワイトハウスで新関税を発表するトランプ大統領。(AP)
2025年4月2日、ホワイトハウスで新関税を発表し、その直後に「発表停止」を宣言したトランプ大統領。(AP)