蔡英文氏、リトアニアで演説『小国でも脅しには屈しない』 欧州に民主連携を訴え

2025-05-13 13:02
前総統蔡英文が12日にリトアニアのビリニュス大学で特別講演を行った。(蔡英文オフィス提供)

台湾の前総統・蔡英文氏は12日、リトアニアのヴィリニュス大学で講演を行い、台湾が民主主義国家としての約束を堅持することを改めて表明した。また、権威主義の拡大に直面する中で、台湾と欧州が共に安全と自由の防衛線を築く必要があると強調した。さらに、同日にリトアニアを訪問中の米国下院の超党派議員団とも会談を行い、地域情勢や台米協力について意見を交わした。

演説の中で蔡氏は、リトアニアと台湾がともに権威主義の統治を経験した歴史を振り返り、1989年の「バルトの道」や台湾の戒厳令解除後の民主化の過程を引き合いに出し、両国の国民が自由のために代償を払ってきたことを強調した。

また蔡氏は、現在の民主主義国家が選挙介入、偽情報の拡散、軍事的威嚇といった多面的な脅威に直面していると指摘。ウクライナ戦争はその警鐘であり、台湾もサイバー攻撃や軍事的圧力を受けており、海底ケーブルなど重要インフラがたびたび妨害されている現状を明らかにした。

蔡氏は、「民主主義は完璧な制度ではないが、人権と自由を最も保障できる仕組みだ」と述べ、情報セキュリティやインフラ保護の分野で民主主義国家間の連携強化を訴えた。台湾はこれらの分野での革新的な取り組みや対応ツールを持っており、欧州の信頼できるパートナーとなる意思を表明した。

また、蔡氏は台湾とリトアニアの協力成果についても言及し、ウクライナへの支援、イノベーション産業への投資、そして学術機関同士の交流などを挙げた。さらに、「私たちは小さな国かもしれないが、脅しに屈することは決してない。なぜなら、共通の価値観が私たちを一つにするからだ」と力強く述べた。

同日、リトアニアを訪問していた米国下院の超党派議員5名が蔡英文氏と約30分間にわたり会談を行った。出席したのは、歳出委員会所属のケン・カルバート議員、ベティ・マッカラム議員、エド・ケース議員、ジェイク・エルジー議員、および交通・インフラ委員会所属のデイビッド・ラウザー議員らである。議員は台湾の民主主義に対する支持を表明し、今後も台米間のパートナーシップをより一層深化させていくことへの期待を示した。 (関連記事: 蔡英文氏がリトアニア訪問 フランス人観光客が「台湾の総統だ!」と感動の声と記念撮影 関連記事をもっと読む

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編集:梅木奈実

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