映画監督の蘇鈺淳氏は東京藝術大学大学院映像研究科を卒業後、日本で監督としての活動を続けている。彼女の創作スタイルは台湾と日本の文化を融合させ、人物の内的葛藤や感情表現に焦点を当て人間性の深い探求を示している。彼女は最近、《風傳媒》のインタビューで自身の撮影経験を語り、異国の地で言葉が通じなかったり、他人と異なるやり方に直面した際に、まるで自身の映画『走れない人の走り方』のように、努力を続ける信念を貫き、日本のこの地で自分の道を切り拓いている。
蘇鈺淳氏は2019年9月に日本に来訪し、最初は京都の語学学校で学び、2020年4月に東京藝術大学の編集分野の研究生となった。その後、2021年4月に監督分野に転入し、2023年に無事に卒業した。彼女は、コロナ禍の前後に日本に来たことを挙げ、パンデミックの影響を経験したと語っている。2020年初頭には京都に滞在していたが、感染症が広まり学校がオンライン授業に切り替わったため主にオンラインでの受講に切り掛え、その間は台湾に帰国しつつ『豬與兩個人的自助洗衣店』を撮影した。
持ち続ける情熱 著名監督・諏訪敦彥の啓発を受ける
インタビューで、蘇鈺淳氏は台湾から日本へ深く学び、映画業界へ進む過程を共有した。彼女は台湾の国立台北藝術大学を卒業し、卒業制作後も撮影機会を求め続けることを決めた。公視学生劇展への応募は成功しなかったが、映画創作への情熱を持ち続けた。最初、日本でワーキングホリデーに参加する計画を立てたが、受領証を紛失したため実現できず、再度申請するも落選した。熟考の末、日本の語学学校に進学し、東京藝術大学の入学を目指した。
インタビューで彼女は、東京藝術大学を選んだ理由として、著名監督・諏訪敦彥の作品に触発され、金馬影展で彼の特集を観て、東京藝術大学の背景を知り、同大学の監督分野を受験することに決めたと語った。最初の試験には合格できなかったが、諦めず編集分野を選び、後に監督分野に再挑戦し合格した。東京藝術大学での学びは、より協力的な雰囲気を感じさせた。大学時代、制作チームの細部を過剰に管理したため「失敗したコントロールフリーク」と批判された経験を振り返る。

過去の経験から学ぶ 名監督の言葉を引用「コントロールは愛を殺す」
蘇鈺淳氏は、この経験を通じて、映画創作には自分の考えに拘るのではなく、より多くの寛容と理解が必要だと認識したと言う。研究所での経験を通じて、プロフェッショナルな学生たちにそれぞれの分野で力を発揮させることを学び、彼女は諏訪敦彥監督の「コントロールは愛を殺す」という言葉に深く影響を受けたと語った。彼女は、「この変化は創作方法や観念に深い影響を及ぼし、学びのプロセスにおける重要な成長の一環であり、失敗から学んだものだ」と微笑みながら述べた。
最後に蘇鈺淳氏は、次の計画を明かし、今年の5月か6月に新作の撮影を開始する予定だ。この作品はPFFの奨学金支援を受けており、受賞監督に予算を提供し、企画をサポートしている。彼女はかつて助手を務め、他の監督の作品制作に参加した経験があったため、この機会を得て選ばれた。それは、日本に住む台湾人女優が主人公の新作で、映画の撮影と並行して、彼女の姉と義兄が日本で家を探すこと、及び母語以外で演技をするという挑戦に直面する物語が描かれる。今年の9月のPFF映画祭での初上映を予定している。
編集:佐野華美
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