トランプのアジア同盟国、残るは台湾だけ?親米の風向きが変わった日本、頼清徳政権は「安倍カード」に固執か

2025-05-09 13:06
インド太平洋戦略シンクタンクは4月28日に「2025国際政経フォーラム」を開催し、「安倍晋三の後継者」と見なされる日本の衆議員高市早苗は、日台欧豪印など自由民主主義国家が手を組んで協力し、準軍事同盟を形成することで共に防衛することができると述べた。(劉偉宏撮影)
インド太平洋戦略シンクタンクは4月28日に「2025国際政経フォーラム」を開催し、「安倍晋三の後継者」と見なされる日本の衆議員高市早苗は、日台欧豪印など自由民主主義国家が手を組んで協力し、準軍事同盟を形成することで共に防衛することができると述べた。(劉偉宏撮影)

トランプ米大統領による関税戦争は収まらず、さらに為替戦争が勃発し、東アジアの「親米」構造は静かに変わりつつある。心理的に台湾に最も近いとされる日本では、石破茂政権が中国にならって「屈しない」姿勢を打ち出し、トランプの関税政策を公然と批判。さらに「日本は重大な譲歩をするつもりはない」「国家利益を犠牲にしてまで米国との関税交渉を終わらせることはない」と強硬な態度を示した。同時に、日本の対中関係改善の動きは過去に例を見ないほど積極的である。

日本要人が相次ぎ北京訪問、民進党はいまだ安倍晋三頼み?

自民党と連立を組む公明党の斉藤鉄夫代表は4月21日、石破茂から中国指導部宛ての親書を受け取り、翌22日に訪中。自民党の森山裕幹事長は27日から29日にかけて訪中し、中国高官と関税戦争対策を協議、日中首脳の早期相互訪問の実現を目指した。公明党前代表の山口那津男と石井啓一は28日に訪中し、中国共産党中央政治局委員で天津市委書記の陳敏爾や党中央対外連絡部長の劉建超と会談した。

このように日中関係が熱を帯び、「対米連携」態勢が形成されつつある中、台湾外交部は「安倍晋三の後継者」とされる日本の衆議院議員・高市早苗が27日から29日まで台湾を訪問すると発表した。高市は28日、矢板明夫氏主催のインド太平洋戦略シンクタンク「2025国際政経フォーラム」で講演し、日・台・欧・豪・印など自由民主主義諸国による「準軍事同盟」の構築を提唱した。外交部長の林佳龍は同日、高市一行との会食で「非レッドサプライチェーン」の強靭化への期待を表明。頼清徳総統も高市訪問団を接見し、台日で「非レッドサプライチェーン」を共に構築したいと語った。

滞在中、高市は高雄での安倍晋三記念公園除幕式に出席し、「日台友好」に尽力する姿勢を強調した。さらに、同じ安倍派の衆議院議員で元経済産業相の西村康稔も直後に訪台し、5月5日に頼清徳総統と会談。両者は口を揃えて安倍晋三の名言「台湾有事は日本有事」を引用し、西村はさらに「台湾有事は世界有事だ」と拡大解釈を示した。

4月29日、中国大陸全国人大常務委員会委員長趙楽際(右)は北京で日本日中友好議員連盟会長、自民党幹事長の森山裕(左)と会見。(新華社)
4月29日、中国大陸全国人大常務委員会委員長趙楽際(右)は北京で日本日中友好議員連盟会長、自民党幹事長の森山裕(左)と会見。(新華社)

石破茂、「台湾有事論」に疑問 高市早苗は右翼色鮮明

現在、日本には二つの明確な路線が見て取れる。政権を握る石破茂と自公連立政権は、要人が次々と北京を訪問。一方、自民党内の安倍派は台湾に足を運び、安倍晋三の遺産を引き継ぐ姿勢を見せる。この二つの路線は、まるで並行世界のように、全く異なる世界観を形成している。

日本のベテランメディア関係者は「風伝媒」の取材に対し、「高市早苗が属する安倍派と石破茂は、前回の自民党総裁選で既に対立関係に引き裂かれている」と語った。また、高市早苗は日本の政界で濃厚な右翼保守色を帯びており、例えば最近日本社会で議論が始まった女性の夫婦別姓(選択的夫婦別姓)についても、高市は強硬に法改正に反対している。 (関連記事: 台湾・頼清徳総統、高市早苗氏と会談 「非紅色サプライチェーン」構築へ協力 関連記事をもっと読む

日中関係や歴史問題に関して、このメディア関係者は「高市早苗は依然として伝統的な右派の『反中』立場を堅持している」と指摘。現在、石破政権の支持率は決して高くないが、高市早苗の人気も安定しておらず、浮き沈みが激しい。7月に予定されている参議院選挙では、自民党にとって厳しい戦いになると見られ、高市は石破と総裁の座を競う有力候補の一人だ。

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