論評:まだ「中共同路人」でない者はいるのか?

『エコノミスト』は3年連続で台湾危機を取り上げた特集をリリースし、民進党陣営から「常習的に危機を煽っている」と批判されている。(謝金河フェイスブック)

ついに耐えかねたイギリスの『エコノミスト』週刊は、「台湾放棄の圧力機械」という表紙のストーリーを取り上げ、珍しく民進党陣営側翼から集団で攻撃を受けた。「緑の陣営の国師」などの批判者は、『エコノミスト』が3年連続で「台湾危機を売りさばくことに夢中だ」と述べている。民進党の膝反射的な認知戦略の論理に従えば、国際メディアは皆「中国共産党の共犯者」となる。しかし、問題を提起する者を解決すれば、台湾の現在の危機を解消できると本当に思っているのか?

試練は目前に、予想より早くやってくる

最新号の『エコノミスト』では、中華民国の国旗が圧力機械の下に置かれ、旗竿の先端はすでに曲がっている。側には英文で「この台湾の試練は、あなたが想像するより早くやってくる」と書かれている。さらに『エコノミスト』の表紙ストーリーでは、「台湾を巡る強大国の危機が迫っている」という記事で警告。中国はアメリカのはったりを暴露し、核戦争のリスクを冒すよりも、トランプは台湾を放棄するか、あるいは習近平と実質的に台湾を放棄する協定を結ぶかもしれないと述べている。

この表紙ストーリーは三つの主要な論点を提示。まず、トランプが再びホワイトハウスに戻ってきたが、アメリカの抑止力は失われつつある。トランプは世界中で貿易戦争を展開し、それが北京の地位を高めることに助けとなり、戦略の重点をヨーロッパからアジアに転換させた。トランプは米中対抗を外交の核心としているが、この貿易戦争は逆効果を生んでいる。トランプはアメリカの同盟国(台湾・オーストラリア・日本・韓国)を深刻に傷つけ、アメリカの安全保障同盟を崩壊させはしないが、台湾海峡戦争に巻き込まれる可能性に対して不安感を抱いている。

次に、中国共産党の対台湾戦略は武力侵攻に限らず、北京は「グレーゾーン」作戦を絶えず実行し、ゆでガエルのように各国の反応を鈍化させる。将来、同様の「ロシア・ウクライナ衝突」といった戦争の物語に直面し、反中攻撃を集中させて操作することはどんどん難しくなる。第三に、台湾内部の対立分裂や政治の長期的な機能不全が台湾を団結させて外敵を防ぐことが難しくしている。頼清徳政府は中国の浸透を打ち破る努力をしているが、その効果は逆効果となり、政治の極化を促進し、社会の分裂を深めて台湾が内部から団結と抵抗の決意を失うこととなっている。

《経済学人》封面故事:这个台湾测试,比想象中更近。(美聯社)
《エコノミスト》表紙の物語:この台湾の試練は、想像以上に近い。(AP通信)

「台湾放棄」「台湾懸念」を問わず、カラスの眼差しで見る

率直に言って、『エコノミスト』の論調は「台湾放棄論」までは言及せず、むしろ「台湾懸念論」である。この号の表紙ストーリーは、2021年の「地上で最も危険な場所」の報道を受け、その中共の「ボア戦略」の進行と、分裂した台湾社会との対峙による危機の深化を再度提示している。 (関連記事: 《エコノミスト》台湾放棄論を再提起:トランプは習近平に機会を与え、「実質的に台湾を放棄」する可能性も 関連記事をもっと読む

偶然にも、5月1日に『外交政策』(Foreign Policy)誌がカーギーニ国際平和基金会・シニアフェローのクリストファー・チヴィスとスティーブン・ワートハイムの記事として、「トランプは台湾を抑制すべきだ」(Trump Should Rein in Taiwan)を掲載。内容には、頼清徳氏が就任後、台湾の主権独立地位を強調し続けると、北京を怒らせ、緊張を高め、戦争リスクが増大する。トランプ政府は頼清徳を抑制し、台湾がアメリカを中国との戦争に巻き込まないようにすべきであると提案した。