「蕭美琴神話」崩壊か 米専門家が賴政権のトランプ巡る誤判断を痛烈批判

2025-08-11 17:20
2025年8月1日賴清德総統(右)、蕭美琴副総統(左)は、1日に「米国の相互関税政策への対応」記者会見を開いた。(写真/顏麟宇撮影)
2025年8月1日賴清德総統(右)、蕭美琴副総統(左)は、1日に「米国の相互関税政策への対応」記者会見を開いた。(写真/顏麟宇撮影)
目次

米国務省の元上級顧問クリスチャン・ウィットン氏がこのほど「台湾はいかにしてトランプを失ったか」と題する論考を発表し、台湾政界に衝撃を与えた。賴清徳政権の一連の外交失策を痛烈に批判し、トランプ氏当選時に即座に祝電を送らなかったこと、脱原発方針やニューヨーク経由の強行訪問、さらに対米政策が「グローバリズム左派」に過度に傾いたことなどが、台湾とトランプ陣営との距離を広げたと指摘した。

ワシントンの米国関係に通じた関係者は《風傳媒》に対し、この論考が賴政権にとって最大の致命傷となったのは、「蕭美琴神話」を打ち破った点にあると分析した。共和党保守派のウィットン氏が強い一撃を加えたのは、民進党がワシントンで「致命的な誤り」を犯したためであると述べた。

「蕭美琴神話」の崩壊?ワシントンで民進党への不信感が浮上

ウィットン氏は長年にわたり米共和党保守派の重要メンバーとして活動し、台湾の駐米機関とも密接な関係を築いてきた。ブッシュ(子)政権では国務次官補顧問や副特使を務め、トランプ政権一期目にはアジア太平洋担当国務次官補の有力候補と目されるなど、その影響力は小さくない。

米国事情に詳しい関係者は、この論考によって最も深く傷を負ったのは蕭美琴氏だと分析する。長年「ワシントンを最も熟知する台湾政治家」として売り込まれてきたが、実際にはトランプ氏側近との関係は平凡で、むしろ「グローバリズム左派」の象徴的存在として保守派とは相容れない立場にあったという。

「蕭美琴氏は単に運が良かっただけだ」。消息筋はそう指摘する。蕭氏がワシントン駐米代表に就任した時期は「順風期」に当たり、バイデン政権発足後は主に欧州問題に関心が向けられ、台湾にはほとんど注意が払われなかった。さらに、米中高官がアラスカで会談した際、中国共産党中央外事弁公室の楊潔篪主任が「中国を対等に見るべきだ」と激昂し、険悪な空気となったことで米国の対中感情は悪化。以降、バイデン政権はトランプ政権の対中政策を踏襲し、前副大統領マイク・ペンス氏が反中声明を発表するなど、米国の対中姿勢は一層強硬となり、その戦略的恩恵を台湾が受ける形となったのである。

蕭美琴(右)於去年3月18日抵達布拉格,對捷克進行為期3天的訪問,包括會見參議院議長韋德齊(Miloš Vystrčil,左)。近日卻傳出,當時蕭美琴車隊,疑似遭中國使館人員企圖發動「破壞行動」。(取自捷克參議院網站)
米国事情に通じた関係者は、副総統の蕭美琴氏が犯した致命的な誤りは、民主党と「近すぎる関係」を持ったことだと指摘している。(写真/チェコ上院公式サイトより)

しかし、蕭美琴氏は致命的な誤りを犯した。それは米民主党と「近すぎる関係」を築いたことである。関係者によれば、民進党は反原発や同性婚支持といった主張で米民主党の政策と一致しており、当時の副大統領カマラ・ハリス氏は自由主義的立場からDEI(多様性・公平性・包摂)や同性婚、移民政策を推進していたため、民進党政権との意思疎通は円滑だった。さらには、選挙前に民主党候補として出馬したハリス氏の当選に賭けていたという。

この関係者は、トランプ氏が勝利し、強い姿勢でホワイトハウスに復帰して共和党の極端な保守政策を推し進める中、民進党政権は態度転換が極めてぎこちなく、対米人事や政策を調整できなかったと指摘する。民進党の死刑廃止、同性婚、多様な家族形態の容認といった立場は、共和党極右保守派の考えとは真っ向から対立し、トランプ氏の二度目の政権運営という現実に柔軟に対応することができなかったのである。

最新ニュース
トランプ高関税と「新冷戦」 東大名誉教授が読む中国の勝算
張鈞凱コラム:父の日前日に72歳の父を殴打 台湾で広がる政治分断の衝撃映像
舞台裏》台湾インディーズ音楽界と民進党の深い縁 国民党と交わらない理由とは
トランプ関税に苦戦 台湾、関税引き下げ狙い巨額ロビー 頼清徳政権が直面する「想定外の壁」
中国、米中貿易協議でHBM解禁を要求 AI覇権争いに直結か
台湾文化イベント「TAIWAN PLUS」&文学展「魔幻台湾」、大阪で同時開幕 雨にも負けず3万人が熱狂
田中貴金属グループ、金・銀・プラチナが奏でるクラシック 前例なき音楽作品が配信開始!
台海衝突時に100万人退避は可能か 机上演習で浮上したシンガポールの「秘密カード」
幅わずか0.2ミリ!田中貴金属が史上最小テープ接点を開発
TAKANAWA GATEWAY CITY、100日で未来都市構想加速 2026年春グランドオープンへ
「すみっコぐらし」と「からぴち」が立体アートに!エンスカイの人気クラフト新作登場
台風11号ポードル、今夜中規模へ発達 台湾13県市で暴風率70%超 深夜に海上警報・上陸も
最重要同盟国トランプ氏の変節と傲慢 石破政権に広がる強い不満
米財務長官「相互関税は氷塊のように溶ける」 日米貿易協定で引き下げも示唆
ABABA総研調査】就活生の約9割が生成AI活用にメリット実感 ES作成や面接対策で効果
アニメ東京ステーションで夏休み特別上映会 ガッチャマンとコナンが登場
成田空港で「ディズニーフラッグシップ東京ジャパンツアー」千葉会場が開幕 限定グッズや新作ぬいぐるみも登場
民進党リコール騒動で台湾分裂 北京の思惑通りか、英紙が指摘
日本で中国人オーナーが突然の家賃2倍要求 日中の法律認識の違いが引き起こした混乱
ホテル椿山荘東京、三重塔移築100周年記念演出「涼風竹あかり」7月16日から開催 100個の竹まりと風車が夜空を彩る
旭化成など4社、食塩電解セル・電極の金属リサイクル実証を開始
アニメ東京ステーションにて『SPY×FAMILY』特別企画展を開催
ロサンゼルス豪邸から22人の赤ちゃん 中国人夫婦に代理出産・人身売買疑惑
フィリピン・マルコス大統領「台海有事なら必然的に巻き込まれる」 中国は強く反発
45人の記者が命の危険 イラン当局の脅迫で国連に緊急支援要請
日台関係で歴史的進展 台湾代表が初の平和記念式典に招待、林外交部長も極秘訪日
日本への憧れが人生を動かした 台湾出身インフルエンサー「Tiffany碰到日本」さんが語るリアルと信頼
年間821万人参拝 台湾一の人気は朝天宮や大甲鎮瀾宮ではなく荘厳な建築の寺院
ASICS、新感覚アクティビティ「DISCOVER. by ASICS」を6月4日から開催 光と音に包まれる没入型運動体験
台湾土産に新定番登場 外国人が絶賛、安くてユニークで地元でも人気沸騰の逸品
『エコノミスト』による「米中AI戦争」の分析:AI分野で後れを取る米国 ペンタゴン巨額投資で巻き返しなるか
眠れる断層が強震周期に接近 専門家が台湾の2.4倍規模巨大津波の危険性を警告
大阪・関西万博で「こども食堂」国際フォーラム むすびえ、韓国実践者らと社会の未来を議論
ラムセス大王展、来場者15万人突破 アン ミカさん登壇の記念トークイベント開催
「コメ離れ」進む中で価格は急騰 米店経営者らが警鐘――「『コメ』はいつまで主食か」
飛行機だけでなく!モバイルバッテリーの台湾鉄道・高速鉄道における新規定、誤った扱いで罰金の恐れ
トランプ関税がインドの「親ロ」を追撃、世界の石油価格高騰の恐れ! 『エコノミスト』警告:中国が漁夫の利を得る
中国が激しく反発!ジョンソン氏「台湾は国家と認識される資格がある」と発言 訪台の裏で動いたこの人物
英最新鋭空母「プリンス・オブ・ウェールズ」、8月下旬に東京寄港へ 日英防衛連携の象徴に
TAKANAWA GATEWAY CITYで1週間限定「ナイトサファリ」開催 XR×自動運転の近未来体験
世界陸上に合わせた文化イベント「TOKYOわっしょい」9月に東京・行幸通りで3日間開催
エキュート上野で「サマークリスマス」初開催!南国風ツリー&オーナメント作り体験も
日本初「ハリー・ポッター ショップ」旗艦店が原宿に誕生 「禁じられた森」再現&限定グッズも!
紙1枚でアニメ名シーンを再現 渋谷で人気の立体アート「ペーパーシアター」海外観光客が感動
OpenAIが「GPT-5」発表 博士級AIが無料で体験可能、推論力・正確性も大幅向上