世界のテクノロジー業界では、DeepSeekや千問(Qwen)、Kimiといった中国のAI(人工知能)モデルが、ベンチマークテストでChatGPTやClaudeを上回るのかどうかに注目が集まっている。しかし、その一方で、北京が描く戦略的な構想は十分に認識されていない。
AIデータテクノロジー企業の愛卡拉互動媒体(iKala)董事長(会長)、程世嘉氏は、台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』の番組『下班国際線(仮名:アフターワーク国際線)』のインタビューで、中国の狙いについて分析した。
程氏によると、これは単なる企業同士の製品競争ではない。大国間競争を背景に、中国がオープンソースモデルを大規模に推進し、AI時代の「新たな一帯一路」を構築しようとする動きだという。
過去10年間、中国の「一帯一路」構想は物理的なインフラを中心に展開されてきた。資金や建設チームを東南アジア、アフリカ、中南米、中東などの発展途上国に投入し、鉄道や空港、港湾、高速道路を整備することで、これらの国々の経済発展を中国のインフラを中心としたエコシステムに取り込んできた。
程氏は、AIをめぐるデジタルインフラ競争が重要な転換点を迎えるなか、最先端半導体やハードウェア製造をめぐる米国の規制に直面する中国にとって、ソフトウェアとAIモデルが包囲を突破し、国際的な発言力を広げるための重要な突破口になっていると指摘する。
物理的インフラからデジタルインフラへ 中国AIの「新・一帯一路」
程氏によると、米国による厳格な半導体規制の影響で、中国がハードウェアや半導体分野で自力で追いつくには、なお時間が必要だという。
クローズドソースモデルで正面から競争すれば、米国の巨大な資本力に対抗するのは難しい。そのため、中国のアルゴリズム開発チームはソフトウェア側からの突破を選び、先進的なモデルを全面的にオープンソース化し、モデルの重みも公開している。程氏は、こうした「オープンソースの大盤振る舞い」の戦略的な意図は明確だとみる。
まず、世界で数百万人に上る開発者に中国製モデルを基盤として採用してもらい、中国のAIアーキテクチャを各国企業に浸透させる。開発者と中国製モデルとの技術的な接続や連携が進めば、中国はさらに「データ標準、応用シナリオ、産業用ソフトウェア、国産半導体」を含むAIのフルスタック・エコシステム(Full-Stack Ecosystem)を輸出できるようになるという。

「これは極めて巧妙な突破戦略だ」と程氏は指摘する。グローバルサウスの国々が資金不足や政治的な要因によって、高価な米国製半導体やクローズドソースのAPIを利用できない場合、中国が提供する無料で高品質なオープンソースモデルは、AIを発展させるためのもう一つの選択肢となる。 (関連記事: 【新新聞】「5年で人類の知性超え」「破局リスク70%」マスク、元OpenAI研究者、DeepSeekから読むAIの未来 | 関連記事をもっと読む )
価格競争とオープンソース Airbnbはなぜ「千問」を採用したのか
こうした「AI新・一帯一路」の影響は、すでに欧米の先進企業にも及んでいる。















































