米国のドナルド・トランプ大統領による対イラン軍事作戦が長期化し、米海軍の空母運用を圧迫している。日本を拠点とする原子力空母「ジョージ・ワシントン」が太平洋を離れ、中東へ向かうことになり、西太平洋では一時的に米空母が不在となる見通しだ。中国が周辺地域で軍事的な動きを強めるなか、米軍のインド太平洋でのプレゼンスをめぐって懸念が広がっている。
AP通信が15日報じたところによると、「ジョージ・ワシントン」は中東で長期間にわたり展開している原子力空母「エイブラハム・リンカーン」と交代する見通しだ。「リンカーン」は当初5月に帰還する予定だったが、対イラン作戦を支援するため展開期間が延長された。艦内では乗組員のメンタルヘルスや物資補給をめぐる問題も指摘されている。
西太平洋から米空母が一時不在に
「ジョージ・ワシントン」が離れることで、西太平洋では米空母が一時的に不在となる。今後数カ月以内に米海軍が別の空母を派遣すれば、この状態は短期間で終わる可能性があるものの、終わりの見えない対イラン作戦が米軍の人員や装備に大きな負担を与えていることを示している。
米戦略国際問題研究所(CSIS)東南アジア・プログラムのグレッグ・ポーリング氏は、トランプ政権が西半球に次いで太平洋地域を重視するとしている一方、実際には中東から戦力を引き揚げるという従来掲げてきた方針とは「正反対」の行動を取っていると指摘した。
また、トランプ政権の予測しにくい政策運営に対し、太平洋地域の米国の同盟国は不安を感じているとし、中国にとっては、米国が別の地域に気を取られ、米国の同盟国やパートナー国に不満が広がる状況は好都合だとの見方を示した。
中国は米空母不在の「空白」を利用するのか
中国は台湾を自国領の一部と主張しており、米軍の地域での存在を中国の台頭を阻む要因とみている。
ただし、米空母が西太平洋を離れたことを理由に、中国がただちに台湾への軍事侵攻に踏み切るとみられているわけではない。
米海軍の元潜水艦乗組員で、現在はハドソン研究所の国防アナリストを務めるブライアン・クラーク氏は、空母の不在によって、中国が自国の力を誇示する機会が増える可能性があると指摘する。
クラーク氏によると、中国はこうした状況を利用し、フィリピン、日本、インドネシアなどに対して、西太平洋では中国の方が大きな力を持ち、米国には地域の安全を保証する能力がないとの印象を広げようとする可能性がある。
中国は今週、インドネシアとの海軍演習を実施したほか、日本やフィリピンに対しても軍事的な動きを強めている。南シナ海のスカボロー礁周辺では今月、中国軍が軍事演習を実施。先月には中国海軍のミサイル駆逐艦が沖ノ鳥島沖で実弾射撃訓練を行った。
一方、米特殊作戦軍のフランク・ブラッドリー司令官は、地域の同盟国に対し、米国の関与は変わらないとの姿勢を示している。 (関連記事: 米国防長官、イランに追加軍事行動を示唆 米メディアを「ごみ」と批判 | 関連記事をもっと読む )
ブラッドリー氏は14日、フィリピンのマニラを訪問し、米特殊作戦部隊がフィリピン軍との共同訓練をさらに強化する用意があると説明した。日本も訪問する予定だ。


















































