米中、互いに「決定打」なし 貿易戦争の限界、専門家が説く「持続的な緊張緩和」

2026年9月25日、ワシントンで会談する中国の習近平国家主席とトランプ米大統領。(AP)
2026年9月25日、ワシントンで会談する中国の習近平国家主席とトランプ米大統領。(AP)

トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は先週、ホワイトハウスで首脳会談を行った。中国問題の専門家として知られるジェシカ・チェン・ワイス氏は23日、米紙『ニューヨーク・タイムズ』への寄稿で、過去1年間の対立を通じ、米中双方に相手へ深刻な打撃を与える能力がある一方、どちらも相手に真の譲歩を強いることはできないことが明らかになったと指摘した。

両国が現在直面しているのは、冷戦時代の抑止メカニズムの新たな形ともいえる「相互確証的な経済混乱(mutually assured economic disruption)」だとし、これが両国による「持続的な緊張緩和(デタント)」構築の契機になり得るとの見方を示した。

ワイス氏は、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際関係大学院(SAIS)の米国・中国・グローバル問題未来研究所(Institute for America, China, and the Future of Global Affairs、ACF)の初代所長を務め、近刊『中国が求めるもの――それが世界に意味すること(原題:What China Wants: And What It Means for the World、仮訳)』の著者でもある。

同氏は「米中は新たな時代に入りつつある(The U.S. and China Are Entering a New Era)」と題した寄稿で、トランプ政権が昨年発動した関税と技術規制に対し、中国政府がレアアースの輸出規制で対抗した経緯を振り返った。こうした応酬は米中間の貿易休戦につながったものの、双方とも相手に真の譲歩を迫ることはできなかったとしている。

米中それぞれが握る強み どちらも「決定打」は打てず

ワイス氏は、北京とワシントンの双方が現在、相手に致命的な一撃を与えることはできないと理解していると指摘する。両国ともに、相手には容易に代替できない構造的な強みを握っているためだ。

米国は比類のない金融力を持ち、半導体設計、半導体製造に不可欠な重要設備、最先端の人工知能(AI)モデルで優位に立つ。

一方、中国は世界最大の輸出国であり、レアアースや重要鉱物の世界的な供給を主導している。これには、先端電子機器、自動車、兵器に不可欠な高性能磁石の生産も含まれる。米国で使用される医薬品も、中国で製造される化学物質や原料への依存度が高い。AI分野では、中国が安価で高性能な「オープンウェイト(open-weight)」モデルを提供しており、米国を含む世界各地で急速に普及している。

ワイス氏は、米中が持続的な緊張緩和の関係を構築できれば、その歴史的な意味は冷戦期の米ソ共存にも匹敵する可能性があるとみている。 (関連記事: 【米中首脳会談】トランプ氏「真に偉大な友情」 習近平氏は「トゥキディデスの罠」克服を強調 演説全文 | 関連記事をもっと読む )

冷戦時代には、核軍拡競争と「相互確証破壊(mutual assured destruction)」の可能性が、米ソ両国を戦争の瀬戸際から引き戻した。同じ論理は現在にも当てはまるが、米中を抑止しているのは「核抑止」ではなく、高度に相互依存した経済関係だという。

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