トランプ氏と習近平氏は24日、ワシントンで今年2度目となる首脳会談を行う予定だ。関税、レアアース、人工知能(AI)から台湾問題、イラン戦争まで、米中間のほぼすべての難題が交渉のテーブルに載せられる。
米中首脳会談を再び控えるこのタイミングで、米誌『フォーリン・ポリシー』は、「トランプ政権第2期最大の誤算は、中国を真に抑え込めなかったことにある」とする長編の分析記事を掲載した。
筆者のニコラス・ベクラン(Nicholas Bequelin)氏とワン・ヤーチウ(Yaqiu Wang)氏は、米側の失点の多くはそもそもワシントン自身が招いたものだと指摘する。トランプ氏が残す最大の外交的遺産は、むしろ「時間は中国の味方である」という習近平氏の確信をより強固にしたことかもしれないと論じている。
米『フォーリン・ポリシー』誌は17日、イェール大学ロースクール・ポール・ツァイ中国センターおよびアジア・ソサエティー米中関係センターの上級研究員ニコラス・ベクラン氏と、ペンシルベニア大学「米中関係の未来」プロジェクト研究員ワン・ヤーチウ氏による分析記事を掲載した。
両氏は、トランプ氏がホワイトハウスに復帰してから19カ月間、米国は最も強力な地政学的競争相手を前に、経済・技術・軍事から国際的な影響力に至るまで次々と失点を重ねてきたと指摘する。さらに警戒すべきなのは、その挫折の多くが北京によってもたらされたものではなく、ワシントン自身が招いたものだという点だとしている。
さらに皮肉なのは、北京がこうした好機を必ずしも巧みに生かしたわけではないにもかかわらず、それでもより多くの市場、より大きな影響力、そして台湾に圧力をかけるより大きな余地を手にしているという点だ。
イラン戦争の代償は、目に見える形ですでに表れている。米国は国際的に孤立し、世界経済はインフレ圧力にさらされ、トランプ氏の支持率も中間選挙を前に低迷している。
しかしベクラン氏とワン氏は、対中政策の失敗がもたらす影響はより長期的で、かつ見えにくいと指摘する。それゆえ、トランプ政権第2期における最も深刻な外交上の敗北は、米国の軍事力を消耗させ、世界的なインフレを押し上げているイラン戦争ではなく、むしろ対中政策にあるのではないかというのが両氏の見立てだ。
両氏は、トランプ政権が対中政策について一貫した明確な目標を打ち立てたことは一度もないと指摘する。
習近平氏が9月24日に再びワシントンを訪れ、トランプ氏と会談する時点で、19カ月前にトランプ氏がホワイトハウスに復帰した当時と比べ、中国は明らかに有利な立場を占めている。
北京は貿易戦争を耐え抜き、技術面での格差を縮め、重要なサプライチェーンへの掌握を強め、同時に台湾への圧力を強化し、ロシアおよびグローバルサウス諸国との関係もいっそう深めているという。
関税が露呈させた米国の弱点
トランプ氏は長年、対中貿易赤字を米国が損をしている象徴とみなしてきたが、ベクラン氏とワン氏は、トランプ政権第2期に再燃した関税戦争は、米国の対中経済依存を実質的に低下させてはいないと指摘する。
中国からの輸出がベトナム、台湾、メキシコなど第三国経由へと振り替わったため、サプライチェーンが中国から切り離されたわけではない。さらに重要なのは、北京がレアアースや磁石の輸出管理、農産物の調達といった手段を通じて、中国が多くの対抗手段を持つことを浮き彫りにした点だ。
トランプ氏はもともと関税によって米国の経済的実力を誇示しようとしたが、結果的には、米国の製造業が依然として中国由来の重要な投入財に大きく依存しており、米国の農家も同様に中国市場を必要としていることを北京に確認させることになった。
2025年10月の釜山での米中首脳会談後、トランプ氏は中国製品への100%追加関税という脅しを取り下げ、その代わりにレアアース、大豆、フェンタニル、輸出管理を巡る問題で一時的な休戦を得た。この一連の駆け引きが実際に露呈させたのは、米国が経済的圧力によって中国を動かせる限界だったと、両氏はみている。
トランプ氏が弱めた、自らの優位性
ベクラン氏とワン氏は、より長期的な問題は人工知能と技術競争の分野にあるとみる。
米国は現時点でなお中国をリードしているものの、中国はモデル性能、応用の普及、オープンウェイトモデル、産業用ロボット、製造規模といった面で急速に差を縮めている。
両氏はさらに、米中のAI・先端技術競争における本当の危険は、中国が突然米国を追い越すことではなく、米国が一方で中国を制限しようとしながら、もう一方で自らがもともと持っていた優位性を損なっていることにあると論じる。
トランプ政権は、バイデン政権期に構築された先端半導体の輸出管理を一貫して実行できておらず、中国企業が第三国を経由して規制対象の半導体を入手する抜け穴を迅速にふさぐこともできていない。
ワシントンは中国企業をブラックリストに指定し続けているが、北京は基礎研究、応用研究、製造プロセスの革新、そして米国の技術成果の取得といった手段によって追い上げを続けている。
さらに皮肉なのは、米国が同時に自国の長期的な競争力をも弱めている点だ。
ホワイトハウスが風力発電や電気自動車といった産業への支援を削減する一方、北京は電池、太陽光発電、電気自動車における優位性を拡大し続けている。
イラン戦争が奪うインド太平洋の戦力
米国がインド太平洋で長年掲げてきた戦略目標は、中国が地域覇権国となることを防ぎ、北京が台湾に対して武力を行使することを阻止することにある。
ベクラン氏とワン氏は、これには十分な兵力、信頼できる対台湾政策、そして正常に機能する同盟体制が必要だと指摘するが、イラン戦争はこれら3つの条件すべてを同時に蝕んでいるという。
トランプ政権は現在、大量の軍事資源をインド太平洋から他地域へ振り向けている。
米空母「ジョージ・ワシントン」が日本を離れて中東へ向かったことで、一時的に西太平洋に米空母が配備されない状態となった。さらにイラン戦争は、台湾海峡有事に不可欠な長距離精密ミサイル、防空システム、トマホーク巡航ミサイルを大量に消耗させている。
これと同時に、北京は2025年末以降、対台湾軍事行動を拡大させており、封鎖演習や米国製兵器への模擬攻撃を行い、台湾東部の排他的経済水域でも活動を続けている。
トランプ政権は台湾支持を掲げる一方、140億ドル規模の台湾向け武器売却を対中交渉の「カード」とみなしている。
ベクラン氏とワン氏は、これが北京に対して「台湾の安全もまた米中間の取引の一部になり得る」という危険なシグナルを送っていると論じる。
このほか、米国の同盟国の間でも、ワシントンの信頼性に対する疑念が高まっている。
トランプ氏は一方的に米韓合同軍事演習の縮小を決定し、関税問題を巡ってインドとの関係も悪化した。これを受け、地域諸国は北京との関係改善や戦略的な選択肢の拡大を模索し始めている。
両氏は、米国が依然として世界最強の軍隊を有し、中国も米国と同等のグローバルな戦力投射能力には遠く及ばないことは認めている。しかし問題は、米軍が世界規模の責任を同時に担わなければならない一方、中国は自国周辺に戦力を集中できるという点にある。
トランプ氏がより多くの兵力と弾薬を他の戦域に投入し、同時に台湾や同盟国が抱く米国のコミットメントへの不確実性を高めることは、客観的に見て北京が望む結果、すなわち、アジア諸国に「米国は頼りにならない」と認識させ、中国に対抗するコストをますます高いものにするという狙いと一致している。
米国自身が消耗させるソフトパワー
中国は長年、権威主義体制、人権侵害、「戦狼外交」に足を引っ張られ、国際的な魅力の面で米国と競うことは常に困難だった。
しかしベクラン氏とワン氏は、中国の国際的地位が相対的に改善したのは、習近平政権が突然自由化・穏健化したからではなく、米国自身のイメージが急速に悪化しているからだと強調する。
米国はまた海外援助を大幅に削減し、米国国際開発庁(USAID)を解体したことで、多くの国が「ワシントンは今もなお、世界的な発展、公衆衛生、教育の推進を自国の利益とみなしているのか」と疑念を抱き始めている。
さらに重要なのは、ワシントンが過去に中国の権威主義的な影響力を制約してきた制度的な手段をも解体しつつあるという点だ。
国務省の民主主義推進プログラムや全米民主主義基金(NED)への予算削減の動きにより、市民社会、独立系メディア、選挙監視プログラムも打撃を受けている。
自由アジア放送(RFA)の縮小は、中国語・チベット語・ウイグル語で北京の検閲を受けない情報を得る手段をさらに弱めることになる。
米国が自由民主主義の秩序を支え、権威主義政権を監視し、国際的な信頼を維持するために用いてきた制度を弱体化させればさせるほど、北京はより多くの活動の余地を得ることになる。
米国の失点、その多くは「自ら招いた」
ベクラン氏とワン氏は、中国が明らかに米国にとって最も強力な地政学的競争相手であり、対中競争はワシントンにおいて数少ない超党派の合意が残る議題であるにもかかわらず、トランプ政権は中国を安定した戦略的優先事項の位置に据えてこなかったと指摘する。
対中政策に一貫性を欠き、往々にして受動的な対応に終始する中、関税戦争はむしろ米国経済が中国の対抗措置に対していかに脆弱であるかを露呈させ、米国政府が動員できる政策手段を狭める結果となった。
両氏は、ワシントンの挫折の多くは、自ら招いたものだと指摘している。
さらに皮肉なことに、北京はワシントンが自ら差し出したこの機会を十分に生かしきれているわけでもない。
デイビッド・シャンボー(David Shambaugh)氏とスティーブン・F・ジャクソン(Steven F. Jackson)氏はかつて、中国が「またとない好機を浪費している」と評したことがある。
台湾への威嚇や南シナ海における主張は、米国の信頼性を疑う国々があったとしても、それらの国々を単純に中国側に押しやることにはならず、むしろ米中両大国を同時に警戒させる結果を招いている。
中国の経済改革が停滞する中、その巨大な輸出マシンは、ワシントンとの関係が疎遠な国々においてすら反発を招いているという。とはいえベクラン氏とワン氏は、中国が世界の支持を勝ち取らなくても、米国の後退から利益を得ることは十分に可能だとも指摘する。
習近平氏がより重視しているのは自身の安全保障と、中国の台頭を継続させる上で有利な国際環境の醸成だ。
この2点に限って見れば、中国の立場は19カ月前と比べて確実に好転しており、現在の中国はより多くの市場、より大きな影響力、そして台湾に圧力をかけるより大きな余地を手にしている。
ベクラン氏とワン氏は、トランプ氏が残す最も重要な遺産は、おそらく「時間は中国の味方である」という習近平氏の確信を裏付けてしまったことなのかもしれないと結論付けている。