川崎市の福田紀彦市長は2026年9月3日、日本記者クラブのシリーズ企画「なぜ今、特別市なのか?」の第1回ゲストとして登壇し、政令指定都市を道府県から独立させる「特別市」制度の創設と早期法制化の必要性について講演した。
政府の第34次地方制度調査会でも大都市制度のあり方が主要テーマとなる中、福田市長は、人口減少が加速する日本では地方の統治機構を現状のまま維持することは持続不可能だと指摘し、特別市が地域経済と日本経済を牽引する起爆剤になると強調した。
人口減少と東京一極集中 福田市長「地方統治の仕組みは限界」
福田市長は日本の現状について、2070年には人口が現在の7割に減少し、65歳以上が約4割を占めると説明した。
全国で744の自治体が「消滅可能性自治体」とされ、2045年には地方公務員の需要に対する供給充足率が78%にまで落ち込むとして、深刻な人材不足への懸念を示した。
また、資本金10億円以上の企業の52%が東京都に集中するなど東京一極集中が続く一方、日本経済全体は米国や中国、ドイツなどに後れを取り、停滞していると分析した。
1888年に現在につながる都道府県と市町村の二層制が形づくられてから135年以上が経過し、妥協の産物として誕生した政令指定都市制度も2026年で70年を迎えるとして、現行制度は限界に達していると述べた。
制度発足時に5市、約700万人だった政令指定都市は現在20市、約2600万人に拡大しており、社会経済状況が大きく変化する中、大胆な制度改革が不可欠だと訴えた。
政令指定都市の「二重行政」 117件の支障事例
現行の二層制がもたらす「二重行政」の弊害について、指定都市市長会が実施した調査では117件の支障事例が確認されたという。
具体例として、幼稚園は県、保育所は市が所管しているため、バス置き去り事故を受けた緊急点検の際、川崎市が一括して対応せざるを得なかった事例を挙げた。
さらに、交通安全対策では横断歩道や信号の設置を県警が、カーブミラーやガードレールの設置を市が担うため、一体的な整備ができない点を指摘した。
コロナ禍のワクチン接種では、神奈川県による医療従事者への接種が遅れた結果、一般市民への接種にも遅れが生じた事例を挙げ、危機事象の際にも生命に関わる対応を迅速に行えない構造的な課題があると説明した。
また、企業誘致などによって生じる法人関係税などの税収が県に流出することで、都市の成長に向けた直接的な再投資が阻害されていると語った。
「特別市」を5Gへのアップデートに例え 川崎市内634億円の経済効果を試算
こうした課題を解決する「特別市」は、国が行う事務以外をすべて単独で担う一層制の自治体で、福田市長はこれをスマートフォンの通信規格を5Gにアップデートするような「プラットフォーム改革」に例えた。 (関連記事: 約半年で医療事故8件、なぜ止められなかったのか 被害者の親族が「脳外科医 竹田くん」で問う病院の医療安全体制 | 関連記事をもっと読む )
川崎市が特別市に移行した場合の経済波及効果について、市内で634億円、市外を含む圏域などでも576億円に上り、雇用創出を含めて周辺地域にも大きな効果をもたらすと試算している。

















































