2026年9月11日、日本記者クラブで、次期駐日イスラエル大使のエマニュエル・ナヴォン氏が会見した。8月4日に着任したナヴォン氏はフランス出身で、国際関係論の博士号を持ち、学術界から外交の世界に転じた経歴を持つ。
会見冒頭、日本語であいさつしたナヴォン氏は、同日の日没からユダヤ教の新年を迎えることと、2001年の米同時多発テロ事件から25年に当たることに言及。日本とイスラエルについて、ともに平和を重んじる長い歴史を持つ文明国家だと強調した。
また、第二次世界大戦中に多くのユダヤ人を救った杉原千畝や小辻節三ら、日本の外交官や学者による行動にも触れ、両国の歴史的なつながりを振り返った。
ガザでの軍事行動「自衛の義務」と主張 ハマスの武装解除求める
中東情勢をめぐっては、2023年10月7日のハマスによるイスラエルへの攻撃について言及した。
ナヴォン氏は、約1200人が死亡し、251人が人質として連れ去られた事件の規模について、日本の人口に置き換えれば、1日で約1万5000人が殺害され、約3200人が拉致される規模に相当すると説明した。
イスラエル軍がガザ地区で展開している軍事行動については、自衛のために必要な行動だとの立場を示した。
また、ハマスが非戦闘員を「人間の盾」として利用していると主張し、厳しい市街戦の中でも、イスラエルは国際人道法を順守し、可能な限り犠牲を抑えるよう努めていると説明した。
さらに、世界食糧計画(WFP)の試算を大きく上回る食料や医療物資をガザ地区に搬入するなど、人道支援にも取り組んでいると主張。ガザ地区が置かれている苦境について、最終的な責任はハマスにあるとの認識を示した。
イスラエルにはガザ地区への駐留を続ける意図はないとする一方、撤退するためにはハマスの武装解除が不可欠だとの立場を改めて強調した。
イランを中東不安定化の要因と批判 核開発への警戒示す
ナヴォン氏は、中東地域を不安定化させる根本的な要因として、イランを強く批判した。
イランがハマスやヒズボラなどの武装勢力を支援し、イスラエルを取り囲んでいるとしたほか、核兵器保有に向けた動きを進めているとの認識を示した。
過去にイスラエルがイラクやシリアの原子炉を破壊した事例にも言及し、イランが核開発で一定の「閾値」を越えることを容認すべきではないと警告した。
また、ホルムズ海峡の安全確保やエネルギー安全保障の観点から、イランをめぐる問題はイスラエルだけでなく、日本を含む世界経済全体に関わる問題だと主張。民主主義国家である日本とイスラエルが連携を強化する必要性を訴えた。
国連やICCを批判 「政治闘争の手段として利用」と主張
国際機関についても厳しい見方を示した。
ナヴォン氏は、国際連合や国際刑事裁判所(ICC)が本来の原則から離れ、権威主義国家などによる数の力を背景に、政治的な対立の手段として利用されていると批判した。
特にICCがイスラエルに対して手続きを進めたことについて、国内の司法制度を優先する「補完性の原則」が十分に考慮されていないと主張し、法の支配を損なうものだとの見方を示した。
その上で、自由や民主主義を重視する国々が連携して対応する必要があると訴えた。
駐日イスラエル大使館前の抗議活動にも言及
ナヴォン氏は、駐日イスラエル大使館前で行われている抗議活動についても言及した。
こうした活動は日本国民全体を代表するものではないとの認識を示したほか、一部については外国から資金提供を受けているとの見方を表明。イスラエルに対する根拠のない誹謗中傷には、断固とした対応を取る方針を示した。
最後に、中東で平和を実現するためには、弱さを見せるのではなく、抑止力と強さを示すことが不可欠だと強調。「力による平和」の重要性を訴え、会見を締めくくった。
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編集:梅木奈実













































