世界の「環境危機時計」9時39分に 2年連続で悪化、最も深刻な「極めて不安」続く

旭硝子財団の2026年調査で、世界の「環境危機時計」は前年から6分進んで9時39分となり、軍事的緊張や国際協力の停滞を背景に、2年連続で危機感が高まった。(公益財団法人旭硝子財団)
旭硝子財団の2026年調査で、世界の「環境危機時計」は前年から6分進んで9時39分となり、軍事的緊張や国際協力の停滞を背景に、2年連続で危機感が高まった。(公益財団法人旭硝子財団)

公益財団法人旭硝子財団(島村琢哉理事長)は9月8日、第35回「地球環境問題と人類の存続に関するアンケート」の調査結果を発表した。

地球環境の悪化に伴い、人類の存続に対して抱く危機感を時刻で示す「環境危機時計」は、世界全体で9時39分となり、2年連続で前年から6分針が進んだ。

同時計では9時を過ぎると、最も深刻な「極めて不安」の領域に入る。世界全体では1996年以降、2000年を除いてこの高い水準が続いている。なお、日本は前年から9分戻り、9時30分となった。

環境危機時計は世界で9時39分 アフリカなどで大幅に針進む

同調査は1992年から毎年実施されている。2026年は4月から6月にかけて、世界210カ国の環境問題に携わる有識者約4万5000人に調査票を送付し、123カ国の1464人から回答を得た。

なお、今年は調査実施体制の見直しにより、中国および台湾では従来と同様の調査を実施していない。

地域別では、アフリカで52分、東欧・旧ソ連で27分、メキシコ・中米・カリブ諸国で20分、それぞれ前年から針が進んだ。東欧・旧ソ連は10時台に到達した。

一方、オセアニア、北米、西欧では17~25分針が戻ったものの、いずれも依然として深刻な10時台にとどまった。

自由記述では、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢などの軍事的緊張や紛争の長期化によって国際協力が停滞し、環境対策より軍事・安全保障が優先されているとの指摘が目立った。

「気候変動」が33%で最多 生物多様性への危機感も高水準

環境危機時計の時刻を決める上で念頭に置いた項目では、「気候変動」が33%で最も多く、「生物圏保全性(生物多様性)」が16%で続いた。この順位は9年連続となった。

項目別の時刻では、「生物圏保全性(生物多様性)」が9時52分、「気候変動」が9時45分となり、いずれも世界平均の9時39分を上回る強い危機感が示された。

年代別では、年代が高くなるほど針が進む傾向がみられた。一方、20代から50代でも2024年以降は針が進んでおり、若年・中間層でも危機感が高まっている。

脱炭素社会への転換、全項目で評価が低下

地球温暖化対策の現状認識では、脱炭素社会への転換について、「一般の人々の意識」「政策・法制度」「社会基盤」のすべての項目で評価が前年より低下した。

野生生物の生息地の保全・再生への取り組みについては、脱炭素社会への転換以上に進捗が遅れていると受け止められており、評価スコアもすべての項目で前年を下回った。

SDGs「達成度が高いと思うものはない」が25%で最多

国連の持続可能な開発目標(SDGs)について、2030年に達成度が高いと思う目標では、「達成度が高いと思うものはない」が25%で最多となり、「産業と技術革新の基盤をつくろう」「質の高い教育をみんなに」が続いた。

一方、達成度が低いと思う目標では、「貧困をなくそう」が35%、「人や国の不平等をなくそう」が31%、「気候変動に具体的な対策を」が31%となった。

また、環境問題を解決する上で最も重要な要素として、すべての地域で「政府の環境政策・リーダーシップ」が60~79%と最も多くの支持を集め、「国際協力・グローバルガバナンス」が続いた。

編集:梅木奈実

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