台湾への「一国二制度」案、中国の専門家らが12項目 解放軍駐留、非平和統一なら3~5年の「準軍事統治」
中国の学術界が提示した「一国二制度・台湾プラン」の厳しい条件に対し、台湾陸委会の梁文傑副主任委員は全項目の受け入れを拒否する姿勢を示した。(撮影/楊騰凱)
中国はこのほど、専門家を招集した台湾への一国二制度導入プランをテーマとするシンポジウムを開催し、12項目の合意事項をまとめた。その中には、中国中央政府による台湾駐留人民解放軍の派遣、台湾の教科書の抜本的改訂のほか、台湾に対し3~5年間の「準軍事統治」を実施し、期間中の台湾独立派に対する責任追及などが含まれた。これに対し、台湾で対中政策を統括する大陸委員会(陸委会)の梁文傑副主任委員(副主委)は、これら中国側の主張について「台湾の政府と人民は一つたりとも受け入れない」と強調した。
香港メディア「中評社」の報道によると、「香港・マカオにおける一国二制度の実践と台湾プランの制度設計および有効なガバナンス」と題した座談会が9月12日、香港大学北京センターで開催された。同座談会は香港一国二制度研究院、香港一国二制度青年フォーラム、中央民族大学台港澳研究センター、深圳大学港澳基本法研究センターの共催によるもので、両岸(中台)関係、香港・マカオ情勢、法学、政治学などを専門とする20名以上の専門家が参加した。
最終的に、出席した学者らは「一国二制度・台湾プラン」の文明的基礎、主要原則、制度内容、およびガバナンスの枠組みなどについて12項目の合意に達した。
中国学術界が提示した極めて厳しい条件
「一国」の定義について:「一国二制度・台湾プラン」における「一国」とは中華人民共和国を指す。これは国際法および憲法上ですでに確定しており、「一つの中国」の呼称について議論する余地や条件はもはや存在しない。
台湾における民主的な選挙について:台湾の行政長官や立法委員(国会議員)の直接選挙による選出は認める。ただし、「愛国者による台湾統治」を実効的に担保する制度と運用メカニズムを構築する。
人民解放軍の駐留について:中国中央政府は台湾における人民解放軍の駐留を堅持し、台湾の武装を解除する。
台湾の終審権(最終的な司法権)について:国家主権、安全保障、国防、および外交問題にかかわる終審権は中央に帰属する。その他の一般的な民事、刑事、商事などの終審権は台湾特別行政区に帰属する。
香港に倣った「台湾版国家安全維持法」の施行について:台湾特別行政区における国家安全の維持に関する法制度および運用メカニズムは、「台湾特別行政区基本法」の一つの章として組み込み、別途「台湾特別行政区国家安全維持法」を制定することはしない。
| 項目 | 中核領域 | 要点 | 具体的な措置と詳細 |
|---|
| 合意 1 | 制度の位置づけ | グローバルな政治ガバナンスの革新 | 五千年にわたる中華文明の叡智を結実させ、世界的な政治的革新として、長期的に堅持し、完全なものとする必要がある。 |
| 合意 2 | 適用アプローチ | 平和的・非平和的手段の両方を採用 | 将来の海峡両岸の統一が平和的か非平和的かを問わず、「一国二制度」を断固として実施する。 |
| 合意 3 | 前提と「一つの中国」 | 中華人民共和国が唯一の主権国家 | 国家主権の維持を前提とし、「一つの中国」の呼称に関する議論は行わない。中央が全面的な管轄権を有する。 |
| 合意 4 | 権力と国家の安全 | 権力は中央が授権 | 台湾のあらゆる権力は中央からの授権による。国家安全維持のメカニズムは『台湾特区基本法』の独立した章に直接組み込む。 |
| 合意 5 | ガバナンス体制 | 行政主導と愛国者による台湾統治 | 「行政主導」と「法治」を実践し、「愛国者による台湾統治」を保障するメカニズムと運用体系を構築する。 |
| 合意 6 | 過渡期の統治 | 非平和的手段による統一の場合は「準軍事統治」を実施 | 非平和的統一の場合、3~5年の過渡期を設け準軍事統治を実施し、急進的な台湾独立派の首謀者の刑事責任を追及する。 |
| 合意 7 | 軍の駐留と武装 | 中央の軍駐留、台湾の武装解除 | 中央が法に基づき台湾に軍を駐留させる。台湾の既存の軍事部隊を解散させ装備を没収する。台湾同胞は法に基づき志願兵として入隊できる。 |
| 合意 8 | 行政区画と政党 | 行政長官と立法委員の直接選挙 | 直轄市を廃止し、県・市または6大地区に再編する。政党は基本法を順守しなければならない。行政長官、立法委員、県・市長は直接選挙を採用できる。 | 。 |
| 合意 9 | 教育改革 | 脱反共・脱植民地化教育 | 教科書を抜本的に改訂し、愛国主義と法治教育を推進し、国民教育を徹底する。 |
| 合意 10 | 対外交流 | 民間レベルの国際交流権を留保 | 中台統一後、台湾特別行政区は法に基づき国際社会と貿易や文化などの民間交流活動を行うことができる。 |
| 合意 11 | 台湾の新たな戦略的位置づけ | 台湾に5つの戦略的機能を持たせる | 台湾を国家安全保障上の東側の防壁、浙江・福建・台湾大湾区(グレーターベイエリア)の拠点、アジア太平洋地域における経済センター、ハイテク拠点、文化交流センターとする。 |
| 合意 12 | 立法の推進 | 基本法制定の早期着手 | 国家統一を巡る情勢の進展に鑑み、『台湾特別行政区基本法』の制定に速やかに着手することを提案する。 |
かつて中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会の葉剣英・元委員長が1981年に提示した「葉九条」では、台湾に対し「高度な自治権を享受し、軍隊を保持できる。中央政府は台湾の地方事務に干渉しない」と約束した。また1983年に、当時、中国の最高指導者だった鄧小平氏が示した「統一後、台湾は独自の軍隊を持つことができるが、大陸(中国)の脅威となってはならない。大陸から台湾への人員派遣は行わず、軍隊はもちろん行政人員も派遣しない。台湾の党、政、軍などのシステムはすべて台湾自身が管理する」という方針と比較しても、今回、中国の学術界がまとめた合意事項が極めて厳しい内容であることは明白だ。
陸委会「台湾は一つたりとも受け入れない」
陸委会は17日に定例記者会見を開き、梁副主任委員が議事進行役を務めた。
会見の席上、梁氏は「香港一国二制度研究センターなどの20人以上の専門家らによってまとめられたこれら主張について、台湾の政府および人民は一つたりとも受け入れることはない」と明言した。
さらに同氏は、「これらの主張における最も根本的な問題は、台湾に対する軍事統治の実施、中央の軍派遣・駐留、台湾の武装解除を求めている点だ。その上で、台湾において脱反共・脱植民地化教育、すなわち思想改造を行い、『愛国者による台湾統治』を実行しようとしている。端的に言えば、香港のシステムをそのまま台湾に持ち込もうとしているに過ぎない」と指摘した。
最後に梁氏は、「台湾の人民がこれらを一つたりとも受け入れることはないと確信している。改めて強調するが、台湾の民主主義と自由は、台湾の人民が長年にわたる闘争の末に獲得したものであり、我々自身の手で守り抜かなければならない」と強い口調で締めくくった。
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