大正大学地域構想研究所客員教授で、日本経済研究センター理事・研究顧問を務める小峰隆夫氏が、フォーリン・プレスセンターのオンライン記者会見に登壇し、人口減少時代における「スマートシュリンク(賢く縮む)」という地域構想の選択肢について見解を示した。
日本の人口減少を止めることは事実上困難だとの認識に立ち、無理な背伸びをせず、住民のウェルビーイング(幸福度)の維持・向上を最優先とした社会経済の再構築が求められていると指摘した。
「スマートシュリンク」とは 人口減少を前提に「賢く縮む」
小峰氏によると、スマートシュリンクの要点は三つある。
第一に、日本の人口減少は止められないという現実を受け入れること。第二に、過去の人口規模に戻すことを目指す振興策ではなく、住民のウェルビーイングを維持する、身の丈に合った地域づくりを進めること。第三に、経済成長とデジタル技術の活用によって「賢い縮小」は十分に可能だという点だ。
かつては「縮む」という言葉の否定的な響きから、自治体の首長らに敬遠されがちだったという。
しかし近年は、全国紙での連載や、政府の「経済財政運営と改革の基本方針」において、少子化対策などの抑制戦略と、社会経済を再構築する適応戦略の両輪が示されるなど、社会全体の基本的な考え方として急速に浸透しつつあるとした。
合計特殊出生率1.14 「希望出生率」も1.8から1.6へ低下
日本の人口減少は、予測を上回る速度で進んでいる。
最新データでは合計特殊出生率が1.14まで低下。若者の結婚意欲の低下も重なり、希望がすべて実現した場合の「希望出生率」も、コロナ禍前の1.8から1.6へ下がったという。
小峰氏は、人口1億人の維持や出生率1.8といった非現実的な目標を見直し、まずは希望出生率である1.6を短期的な目標とし、結婚や子育てに優しい社会を構築することで、長期的に1.8を目指すという現実的な政策への転換を提言した。
人口減少そのものは避けられないため、国民の福祉を損なわない社会を築くことが最終的な活路になるとの考えを示した。
人口が減っても経済は縮小するとは限らない
一方、人口減少が直ちに経済の縮小を意味するわけではないと指摘した。
2010年から2025年にかけて、日本の総人口が減少する中でも、実質GDPや1人当たり名目GDPは大幅に増加している。
特に都道府県別のデータでは、人口減少が著しい地域の方が、人口が増加している地域よりも1人当たり県民所得の伸び率が高いという結果も出ているという。
これは、人口が減少する地方であっても、取り組み方次第で高い所得の伸びを実現できる可能性を示している。
デジタル技術やコンパクトシティを活用 自治体のスマートシュリンク
各自治体がスマートシュリンクを実践する上では、減少する人口と、維持され続ける社会資本との不一致が課題となる。
この調整には、広域連携やコンパクトシティ化に加え、デジタル技術の活用が不可欠だとした。
オンライン診療やオンライン教育による行政サービスの効率化、人工知能(AI)の活用、ドローンやセンサーを利用したインフラ管理などが具体策として挙げられる。
岡山県美咲町では、小規模多機能自治体として住民自身が地域運営に参画する工夫がみられる。
また、山梨県早川町では、老朽化した温泉施設を閉鎖し、そこで浮いた予算を活用して、住民からの要望が強かった町営コンビニを設置。住民の満足度を高めるといった事例も生まれている。
日本の人口問題は「第4のフェーズ」へ
小峰氏は最後に、日本の人口問題に対する認識について、単に高齢化や少子化への対策を講じる段階から、人口減少そのものを受け入れながら幸福を追求する「第4のフェーズ」に入ったとの見方を示した。
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編集:梅木奈実













































