米シンクタンク「スティムソン・センター」の専門家で、北朝鮮分析サイト「38ノース」で分析に携わるマーティン・ウィリアムズ氏が、日本外国特派員協会(FCCJ)で記者会見し、北朝鮮における最新のテクノロジー事情について説明した。
経済的な困難や国際社会からの制裁が続く中、北朝鮮では平壌などの大都市を中心に、デジタル経済が急速に発展している実態が明らかになった。
北朝鮮でスマートフォン26ブランド 中国製端末に独自ソフト
ウィリアムズ氏の分析によると、北朝鮮国内ではスマートフォンの普及が著しく、現在26種類のブランドが流通している。
価格帯は200~600ドル程度の中価格帯が主流で、ハードウェアの大部分は中国で製造されている。
一方、内部のソフトウェアは北朝鮮独自の仕様に厳格にカスタマイズされており、政府のデジタル署名がないメディアは再生できず、海外のWi-Fiネットワークへの接続も遮断されるなど、強力な情報統制の仕組みが組み込まれているという。
独自アプリ1500種類超 QRコード決済や医薬品注文も
スマートフォンの普及に伴い、国内のアプリ市場も活況を呈している。
現在、1500種類を超える独自アプリが確認されており、その半数はゲームやエンターテインメント関連が占めているという。
また、「サムフン(SAMHUNG)」など複数の電子マネーアプリも登場しており、QRコード決済による商品の購入や税金の支払い、公共保健機関を通じた医薬品の注文などが可能となっている。
こうした技術の導入によって社会インフラの効率化が図られる一方、ウィリアムズ氏は、利用者の行動履歴を政府が把握し、統制を強化する手段としても機能していると指摘した。
電子決済普及の背景に「国民の外貨吸収」
北朝鮮政府がスマートフォンや電子決済システムの普及を容認・推進する背景について、ウィリアムズ氏は、国民が保有する外貨を継続的に政府の経済システムへ取り込む狙いがあると分析した。
通信料の支払いや特定製品の購入には、米ドル、ユーロ、人民元などの外貨が必要とされており、これまで国民が家庭内に蓄えていた外貨を政府の経済システム内に還流させる仕組みが構築されているという。
IPTV「マンバン」は約20チャンネル 海外映画やサッカーも
メディア環境にも変化が生じている。
「マンバン(Manbang)」と呼ばれるIPTVサービスでは現在、約20チャンネルが提供されている。
語学教育やスポーツ番組のほか、ロシアや中国、東ヨーロッパの古い映画、さらにはディズニー・ピクサーのアニメーションや海外のサッカーリーグなどのコンテンツも放送されている。
ただし、これらのコンテンツについて、正規のライセンスを取得して放送している可能性は極めて低いとウィリアムズ氏は指摘した。
平壌と農村部で大きなデジタル格差 電力供給にも差
こうしたテクノロジーの恩恵を十分に受けられるのは、平壌など大都市の住民に限られており、農村部との格差は依然として深刻だという。
大都市では夜間にも多くの照明がともるようになっている一方、農村部では日常的な電力供給さえ十分ではなく、ソーラーパネルで蓄電池を充電しながら生活を維持している状況が続いている。
ウィリアムズ氏は、北朝鮮のテクノロジーブームを支える資金源には依然として不透明な部分が多いとした上で、閉鎖国家の実態を把握するためには、衛星画像分析などの技術を活用した継続的な監視と議論が不可欠だと強調した。
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編集:梅木奈実













































