人口減少社会における民放ローカル局の再編と地域メディアの多角的役割

人口減少による市場縮小を受け、民放ローカル局は「1局2波」容認という歴史的な転換点を迎え、組織維持から地域メディア機能の担保へと舵を切ることが求められている。(写真/Getty Images提供)
人口減少による市場縮小を受け、民放ローカル局は「1局2波」容認という歴史的な転換点を迎え、組織維持から地域メディア機能の担保へと舵を切ることが求められている。(写真/Getty Images提供)

東京財団政策研究所の村上圭子上席フェローは、人口減少社会における地域メディアの現状を分析する論考を公開し、経営環境が深刻化する民放ローカル局の再編と統合をめぐる政策動向を明らかにした。

国内の民放ローカルテレビ局122局の売上は過去20年間で減少傾向にあり、2024年度には約半数の局の売上が50億円以下にまで落ち込んでいる。特にキー局の系列に属する109局は、放送広告収入の9割以上を在京キー局からの「ネットワーク配分金」に依存しており、デジタル展開や地域事業による収益確保に苦戦している実情がある。

「1局2波」容認とマスメディア集中排除原則の緩和

​こうした状況を受け、総務省の検討会は4月初旬、同一放送対象地域内で一つの放送局が二つのチャンネルを運営することを可能にする「1局2波」の容認や、マスメディア集中排除原則の緩和を盛り込んだ第4次取りまとめ案を公表した。

これまで放送業界では、多様な視点の報道を確保するための「多元性・多様性・地域性」という放送三原則に基づき、経営主体の集中が厳しく制限されてきた。しかし、地方銀行が1990年代末の132行から2025年には97行にまで減少するなど他業界で再編が進む一方で、放送業界は既得権益やネットワーク構造により、制度発足から約70年間、大規模な統合が行われてこなかった歴史がある。

「1県4波」からの転換と、組織から「機能」維持へのシフト

​今回の規制緩和の背景には、地上波放送の相対的な地位低下がある。かつては情報格差の解消を目的に「1県4波」の整備が進められたが、現在はインターネットや衛星放送の普及により、地域住民が情報にアクセスする手段は多角化している。

総務省の調査では、1局2波の導入による劇的な経費削減を疑問視する声も根強い。しかし村上氏は、経営基盤の弱い複数の主体が存続し続けるよりも、強い主体が複数の波を効率的に運営することで、多様性や地域性を維持する方が視聴者にとって有益である可能性を指摘している。

今後の焦点は、組織の維持そのものではなく、地域メディアとしての「機能維持」に移行するとみられる。災害時の避難情報やライフライン報道、選挙を通じた地域の民主主義の堅持、SNS上の不確かな情報の真偽確認など、地域メディアが担う役割は多岐にわたる。

地域プロモーターとしての新たな価値創造

村上氏は、福島中央テレビや南海放送、コミュニティFMのPitch FMといった実例を挙げ、地域プロモーターやサポーターとしての新たな価値創造が不可欠であると強調した。

今後は系列や地域の枠を超えた、実効性のある経営再編に向けた主体的な判断が、各放送局に強く求められている。

編集:小田菜々香

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