【揭仲コラム】中国が台湾・賴総統の外遊を阻止する思惑

国家安全会議(国安会)の呉釗燮秘書長(右)と総統府の潘孟安秘書長は記者会見を開き、頼総統の外遊日程の中止について説明した。呉秘書長によれば、セーシェル、モーリシャス、マダガスカルの3カ国が事前通告なしに飛行許可を取り消したという。(中央社)
国家安全会議(国安会)の呉釗燮秘書長(右)と総統府の潘孟安秘書長は記者会見を開き、頼総統の外遊日程の中止について説明した。呉秘書長によれば、セーシェル、モーリシャス、マダガスカルの3カ国が事前通告なしに飛行許可を取り消したという。(中央社)

各界の注目を集めた鄭氏と中国の習近平国家主席による会談(鄭・習会談)が、4月10日午前に北京で開催された。非公開協議を前に行われた習氏の公開発言では、各方の予想に反して「平和的統一の共同追求」や「一つの中国原則」への直接的な言及がなく、「外部勢力の干渉反対」という言葉すら口にされなかった。これは同日午後に同じ場所で行われた馬英九前総統との会談(馬・習第2回会談)とは対照的である。さらに、鄭・習会談の直後に中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)が両岸(中台)の交流協力を促進する10項目の政策措置を「権限を授与されて発表」した。台湾政府がこれに肯定的な反応を示さなかったとはいえ、両岸関係には久しく見られなかった緩和のムードが漂った。

しかし、この緩和ムードは長くは続かなかった。頼清徳総統のエスワティニ訪問において、中国の介入によりセーシェル、モーリシャス、マダガスカルの3カ国が頼総統の専用機に対する飛行許可を急遽取り消し、訪問日程の延期を余儀なくされたのである。これにより、台湾海峡の緊張は再び高まることとなった。

中国の台湾問題における指導原則

頼総統と同じ与党・民進党の蔡英文前総統は、2023年にエスワティニへの訪問を無事に成功させている。それゆえ、鄭・習会談が終了して間もない時期に、中国が民間航空および飛行の安全を「武器化」するに等しい強硬手段に打って出て、頼総統の訪問を阻んだことは、外部に衝撃を与えただけでなく、その意図に多くの疑問を抱かせた。台湾の民衆が鄭・習会談後の平和的な雰囲気を感じ始めた矢先に、中国が不要とも思える強硬姿勢を突如として示せば、台湾社会の反発を招き、ひいては国民党の選挙情勢にも悪影響を及ぼす可能性がある。これは中国にとっても得策ではないという見方である。

しかし、鄭・習会談後に訪れた稀有な平和的雰囲気を顧みず、頼総統の訪問を阻害するという中国の行動は、台湾や西側諸国には十分に理解されていない「台湾問題に関する中国の指導原則」に基づき下された決断とみるべきである。

中国指導部は現在も台湾問題において「平和的統一」を最優先の選択肢としているが、2014年に台湾社会で勃発したひまわり学生運動や、2016年の総統選および立法委員選における国民党の惨敗(中央政権と議会多数派の同時喪失)を経て、一つの認識を形成するに至った。それは、善意の示唆や経済的インセンティブの提供だけでは「平和的統一」の実現を確保できず、その過程で主導権を握り、台湾の独立追求に不利な国際的構造を徐々に形成することで、台湾民衆の選択肢を狭める必要があるという認識である。最終的には、北京の提示する方案と条件に基づく「平和的統一」が唯一の選択肢であると台湾側に思い込ませることを狙っているのだ。 (関連記事: 【舞台裏】鄭麗文氏の台頭で国民党に異変 盧秀燕氏の「2028年総統選」に暗雲か 関連記事をもっと読む

この認識により、中国指導部は今後の対台湾工作において、かつてのように台湾民衆の感情を過度に気にかける必要はないと考えるようになった。さらには「現在は『ソフトな台湾独立(柔性台独)』が誤りであると証明する時期にあり、中国は様々な強制的手段を通じて、その路線が行き詰まることを台湾の民衆に知らしめる必要がある。そうすれば民衆の思想も変化する。台湾人民の反感を招くことを恐れる必要はなく、これは必ず経るべきプロセスである」とすらみなしているのである。

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