台湾の頼清徳・総統は22日、アフリカの国交樹立国であるエスワティニを訪問する予定だったが、出発前夜に延期を発表した。経由予定だったセーシェル、モーリシャス、マダガスカルの3カ国が、直前になって飛行許可を取り消したためだ。これを受け、欧州連合(EU)、英国、米国は相次いで懸念を表明し、空域管理や飛行情報区(FIR)の運用が政治目的で利用されるべきではないとの立場を示した。
頼総統は当初、22日朝にチャイナエアライン専用機でエスワティニへ向かう予定だった。しかし、総統府は21日夜に緊急記者会見を開き、総統府の潘孟安秘書長が訪問延期を発表した。3カ国が予告なく飛行許可を取り消したため、国家安全保障チームの評価を踏まえ、安全面を考慮して延期を決定したという。頼総統の代わりに、エスワティニで行われる国王即位40周年および国王の58歳の誕生日を祝う一連の式典には特使を派遣する方針とした。
台湾の国家安全保障当局は、飛行許可取り消しの背景について、中国が3カ国に対し、債務免除の撤回、融資停止、さらなる経済制裁といった経済的圧力を用いて許可取り消しを求めたとみている。
EUと英国、「空域管理は政治目的で使うべきでない」
EUは現地時間21日夕方、報道官を通じて見解を示した。各国は自国領空に対する主権を有するものの、関連する決定は透明性と予測可能性に基づいて行われるべきであり、航空安全と運航の安定を最優先にすべきだと指摘した。その上で、こうした判断は政治目的を達成する手段として用いられるべきではないと強調した。
またEUは、「シカゴ条約」の枠組みの下で、国際民間航空の安全かつ秩序ある、予測可能な運航が維持されることを重視していると表明した。
英国も22日、同様の懸念を示した。英国在台弁事処(BOT)のルース・ブラッドリージョーンズ代表(駐台大使に相当)はフェイスブックで、飛行許可の取り消しによって頼総統のエスワティニ訪問が延期されたことは憂慮すべき事態だと指摘した。さらに、中立的で予測可能な空域管理は、航空安全と、世界経済を支える日常的な往来の維持に不可欠だとし、空域管理に関する判断は政治目的ではなく、安全と安定を最優先に行うべきだと述べた。
米国務省「国際空域の管理権限は中国政府の政治的道具ではない」
米国務省も22日、報道官を通じて懸念を表明した。報道官は、複数の国が飛行許可を取り消し、台湾総統のエスワティニ訪問を妨げたとの報道について懸念していると述べた。
その上で、関係国は中国の要求に応じ、台湾高官による通常の外遊の安全と尊厳を損なったと指摘した。さらに、これらの国が管理するFIRには、自国領空をはるかに超える国際空域が含まれているが、その管理責任の目的はあくまで航空安全の確保であり、中国政府の政治的道具として利用されるべきではないと強調した。 (関連記事: 台湾・頼総統のエスワティニ訪問が急遽延期 3カ国が上空通過許可を撤回、背後に中国の「経済的威圧」か | 関連記事をもっと読む )
台湾の中央通信社によると、米国務省報道官は今回の件について、中国が台湾とその国際的支持者に対して威嚇を行い、国際民間航空の仕組みを悪用し、国際的な平和と繁栄を脅かした新たな事例だと批判した。さらに、「北京に対し、台湾への軍事、外交、経済面での圧力をやめ、有意義な対話に転じるよう求める」と述べた。













































