台湾の頼清徳総統は22日、アフリカで唯一の外交関係国であるエスワティニを訪問する予定だったが、出発直前に延期を決めた。その理由は、エスワティニに向かう航路上にある3つの島しょ国が、いったん発給していた上空通過許可を撤回したためだ。これに対し、台湾の林佳龍外交部長(外相に相当)は21日夜、外交部が最後まで調整を続けたものの、総統と訪問団全員の安全、そして飛行の安全を最優先に判断した結果、延期を決めたと明らかにした。その上で、中国による干渉と圧力を厳しく非難した。
台湾総統府は13日午前の記者会見で、頼総統が訪問団を率き、22日から26日の日程でエスワティニを訪問すると発表していた。外交部の呉志中政務次長は同日、安全、尊厳、快適性、利便性の原則に基づいて外遊を計画しており、中東を経由しないルートでエスワティニに向かうと説明していた。
しかし出発直前の21日午後6時、総統府は急きょ記者会見を開き、潘孟安秘書長が総統府声明を発表。訪問を延期し、エスワティニの「双慶」(国王ムスワティ3世の誕生日、および即位40周年を祝う)国家行事には別途、特使を派遣すると明らかにした。
林外交部長「中国の行為は国際秩序に対する挑戦」
林氏はフェイスブックへの投稿で、セーシェル、モーリシャス、マダガスカルの3カ国が、すでに発給していた上空通過許可を土壇場で撤回したと説明した。その上で、外交部は最後まで各方面との調整を続け、エスワティニ側にも事情を説明したが、総統と訪問団全員の安全、さらに飛行の安全を最優先に考え、訪問延期を決断せざるを得なかったとした。
また、中国が政治的影響力を用いて国際民間航空の正常な運用に干渉し、飛行情報区(FIR)を政治化、さらには「武器化」しているに対し、外交部として厳重に抗議すると表明。こうした行為は台湾に対する圧力にとどまらず、国際航空の安全や飛行の自由、ルールに基づく国際秩序に対する挑戦だと批判した。
林氏はさらに、台湾は主権国家であり、2300万人の台湾の人々には世界へ足を踏み出す権利があると強調。「いかなる権威主義的な威圧も、台湾が世界とつながろうとする決意を変えることはできない。台湾はもともと世界の一部だ」と訴えた。あわせて、エスワティニ政府や、今回の調整で支援にあたった友好国、理念を共有する国々に謝意を示し、「こうした手段は今回が最後ではないだろう。圧力に直面するほど、台湾はより冷静に、より毅然として尊厳を守り、一歩ずつ世界へ向かっていく」と述べた。
台湾側「中国が経済的圧力」
台湾メディア『風傳媒』は先に、国家安全保障当局者の話として、台湾側と友好国が把握している情報によれば、中国がセーシェル、モーリシャス、マダガスカルの3カ国に対し、巨額の債務免除の撤回や融資停止、追加的な経済制裁などの「経済的威圧」を通じて圧力をかけ、台湾総統専用機の飛行情報区通過を認める許可を撤回するよう求めたと報じた。3カ国は強い圧力の下で、事前の予告もなく許可を取り消したという。
21日夕方に総統府が開いた記者会見では、国家安全会議の呉釗燮秘書長も、台湾側は国際慣行に従ってすべての関係国から飛行許可を取得していたと説明。その上で、セーシェル、モーリシャス、マダガスカルが突然許可を撤回したのは極めて異例だと述べた。
また、外交部の呉志中政務次長も、前記3カ国は中国からの強い圧力を受け、自国の主権に基づく判断を変更せざるを得なかったとの見方を示した。経済が各国にとって重要であり、3カ国が中国に強く依存している事情には理解を示しつつも、中国の行為は他国の内政や主権への干渉にあたると批判した。
マダガスカル当局者「一つの中国」原則に基づく判断
ロイター通信によると、マダガスカル外務省当局者は、台湾からの上空通過申請を拒否したことを認めた上で、マダガスカルは「一つの中国」しか認めない外交方針をとっていると説明した。また、この決定は自国領空に対する主権に基づいて行われたものだと主張した。
一方、ロイターはセーシェル政府がコメントを拒否し、モーリシャス側は回答していないと報じている。
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編集:平松靖史















































