海自護衛艦が台湾海峡通過、中国は「挑発」と反発 鹿児島沖に現れた中国艦2隻の狙いは

防衛省統合幕僚監部が公開した中国海軍のルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(133)とジャンカイII級フリゲート(577)の画像。(写真/防衛省統合幕僚監部より)
防衛省統合幕僚監部が公開した中国海軍のルーヤンIII級ミサイル駆逐艦(133)とジャンカイII級フリゲート(577)の画像。(写真/防衛省統合幕僚監部より)

海上自衛隊の護衛艦「いかづち」が17日、台湾海峡を通過した。中国側が「意図的な挑発」と強く反発する中、19日には鹿児島県沖で中国海軍の艦艇2隻が確認され、警戒監視にあたった海自の最新鋭護衛艦「やはぎ」と同じ海域を航行した。防衛省統合幕僚監部は20日、現場の映像を公表しており、南西諸島周辺での日中間の緊張の高まりをうかがわせている。

海自護衛艦、約10カ月ぶりに台湾海峡通過

​日本政府関係者や日中関係筋によると、海自護衛艦「いかづち」は17日、台湾海峡を通過した。海自艦艇による同海峡の通過は2024年9月、2025年2月および2025年6月に続く4回目で、前回からは約10カ月ぶりとなる。2025年10月の高市内閣発足後、さらに同11月に高市早苗首相が国会答弁で「台湾有事は日本の存立危機事態に関わる」と述べて以降、海自艦が再びこの海域を通過したのは初めてだ。

「いかづち」は台湾海峡通過後も南下を続けた。防衛省統合幕僚監部によると、同艦は4月20日から5月8日までフィリピンで行われる多国間共同演習「バリカタン2026」に参加する予定で、今回の航行は単なる象徴的な通過ではなく、南シナ海や西太平洋方面での訓練航程の一環に位置づけられている。

一方、日本政府は「いかづち」の台湾海峡通過を公式には発表しておらず、複数の政府関係者への取材を通じて明らかになった。公表方法を含め、日本側が慎重な姿勢を保っていたことがうかがえる。

関係者によると、前回から通過までの間隔が長く空いた背景には、中国側の反発を踏まえた日本側の慎重な判断があったという。高市首相の国会答弁が北京の強い反発を招いた後、東京では、政治的緊張が高い局面で同様の航行を繰り返せば、中国側に「日本が台湾有事への武力介入を示唆している」との世論戦に利用されかねないとの懸念があったとされる。

そのため、日本側は通過の頻度を抑えつつ、時機を慎重に見極めていたとの見方が出ている。もっとも、日本政府内では、台湾海峡通過は国際法上の「航行の自由」に基づく正当な活動であり、この基本姿勢は変わっていないとされる。米軍も同様の立場から、艦艇による台湾海峡通過を継続している。

中国は「意図的な挑発」と反発

​中国側は、日本艦の台湾海峡通過に強く反発した。中国外交部の郭嘉昆報道官は17日の定例記者会見で、日本側の行動を「意図的な挑発」と批判し、すでに日本側に強く抗議したと明らかにした。

郭氏は、「台湾は中国の領土であり、中国は台湾海峡に主権と管轄権を有する」との従来の立場を改めて示した上で、中国軍は「法と規則に基づいて必要な措置を取った」と説明した。さらに、高市首相の国会答弁にも言及し、日本側の台湾問題をめぐる動きは「過ちの上に過ちを重ねるものだ」と批判。中日関係の政治的基礎を損ない、中国の主権と安全を脅かすものだと反発した。
(関連記事: 中国空母「遼寧」が台湾海峡を通過 海自艦の航行受け対抗の意図か 関連記事をもっと読む

高市政権発足後、「台湾有事」と「存立危機事態」を結びつける発言をめぐって日中関係は冷え込みが目立っており、今回の「いかづち」の航行が両国間の緊張をさらに高める可能性があるとの見方も出ている。

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