トップ ニュース 米イラン「無期限停戦」も緊迫続くホルムズ海峡 トランプ氏は中国の軍事支援を非難、イランは武力による封鎖突破を示唆
米イラン「無期限停戦」も緊迫続くホルムズ海峡 トランプ氏は中国の軍事支援を非難、イランは武力による封鎖突破を示唆 2026年4月21日、ホワイトハウスの国宴場(ステイト・ダイニング・ルーム)で開催されたNCAA全米チャンピオンの祝賀行事に出席したトランプ米大統領。(写真/AP通信)
トランプ米大統領は21日、停火協議の期限が数時間後に迫る中、イランとの停火合意を「無期限」に延長すると発表した。ロイター通信 によると、この措置は戦争終結に向けた和平交渉を継続させるためのものであり、7週間に及ぶ米イラン戦争は休戦状態が維持され、和平への道が模索されることとなった。しかし、米軍によるイランの港湾および海岸線の封鎖は依然として解除されていない。テヘラン側は今回の延長に公式な回答を避けているが、イラン国営メディアは「停戦を求めたことは一度もない。武力で封鎖を突破する」と強調。イランの国連大使も「封鎖解除こそが交渉継続の前提条件だ」と述べている。
強硬発言から一転、パキスタン仲介で延長決断 今年2月28日、米国とイスラエルの共同攻撃によって始まった中東戦争は7週目に突入し、ホルムズ海峡の封鎖に伴い世界経済は停滞を余儀なくされている。トランプ氏は「無期限休戦 」を宣言する直前、CNBC の取材に対し、一時的な休戦の維持には「消極的」であると語り、米軍はすでに「準備万端だ」と威嚇していた。
また、米国が交渉において圧倒的に優位な立場にあると強調し、最終的には「偉大な取引(a great deal)」に達するだろうと予言していた。しかし、この強硬発言の直後、トランプ氏は声明を発表。仲裁役を務めるパキスタンの要請を受け入れ、「イランの指導者と交渉担当者が統一された提案を提示できるまで」攻撃を差し控える方針を固めた。
トランプ氏の歩み寄りに対し、パキスタンのシャバズ・シャリフ首相 はSNSを通じて謝意を表明。「停戦延長の要請を寛大に受け入れ、外交努力を継続させたトランプ大統領を高く評価する」と述べた。シャリフ首相は、両国が停戦を遵守し、イスラマバードで予定されている第2ラウンドの交渉で包括的な「和平合意」が成立し、衝突が恒久的に終結することへの期待を寄せた。
一方、ロイター通信は、今回の決定を「直前の脅しから一転して後退した最新の事例」と指摘している。トランプ氏はこれまで「イランの全発電所を爆破する」と繰り返し脅迫しており、こうした言動はグテーレス国連事務総長らからも強い非難を浴びていた。
封鎖は継続、ホルムズ海峡問題はなお宙づり 脆弱な停戦合意は維持されているものの、米軍によるイラン経済の「締め付け」が緩む気配はない。トランプ米大統領による停戦延長の宣言は米国側の単極的な決定であり、現時点でイランやイスラエルがこれに同意するかは不透明だ。
トランプ氏が繰り出す「アメとムチ」の外交攻勢に対し、イランの最高指導者は沈黙を保っているが、国営メディアは「イランは停戦延長など求めていない。武力によって米軍の封鎖を突破する」との強硬姿勢を繰り返している。
「奇襲のための時間稼ぎ」イラン側は冷ややかな反応 ロイター通信によると、イランのガリバフ国会議長に近い陣営は、トランプ氏の声明を一蹴している。ガリバフ氏の顧問であり、主席交渉官の顧問も務めるマハディ・モハンマディ氏は、「トランプ氏の声明には何の重みもない。本質的には、奇襲を仕掛けるための時間稼ぎ、すなわち『緩兵の計』に過ぎない」との声明を発表した。同氏は米側の封鎖を継続的な軍事侵略と定義し、「イランが主導権を握る時が来た」と強調した。
一方、トランプ氏は、米伊の停戦はイラン側が「統一された和平案を提出するまで」継続するとし、「いかなる状況でも交渉を完結させる用意がある」と自信をのぞかせている。しかし、第2回交渉の具体的な日程や開催の是非については、依然として不透明な状況が続いている。
「中国からの贈り物」を米軍が拿捕 トランプ氏は停戦延長の発表に先立ち、CNBCのインタビューで、 強硬な発言を連ねた。「米軍は戦う準備ができている」「停戦延長の可能性は極めて低い」「私は決断を急いでおらず、時間はいくらでもある」と述べ、この4〜5週間で米軍の物資補給が完了し、膨大な弾薬を保有していることを強調。さらに、「我々はホルムズ海峡を完全にコントロールしており、開放することはない」と断言した。
また、トランプ氏は「テヘラン側も備蓄を補充した可能性がある」と指摘し、中国がその背後で弾薬の補給を支援していることを示唆した。同氏は「昨日、我々はある船を拿捕した。そこには芳しくないもの、いわば『中国からの贈り物』が積まれていた」と暴露している。
中国側は関与を全面否定 香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト によると、中国によるイラン支援の説は、ヘイリー前国連大使が最初に提起したものだという。これに対しトランプ氏は当初、「おそらくそうだろうが確信はない。習近平主席とは合意ができていると思っていたが、それが戦争というものだ」と述べていた。
中国外交部 は一連の疑惑を全面的に否定。「当該の貨物船は外国籍の旗を掲げていた。悪意のある憶測や誇張された報道には反対する」と表明した。また、駐米中国大使館も「中国は軍事製品の輸出を慎重かつ責任ある方法で管理しており、デュアルユース(軍民両用)物資の輸出も厳格に規制している」と強調している。
米代表団の派遣見送り、トランプ氏の「本気度」に疑念 同紙は、トランプ氏がかつて空爆を辞さない強硬姿勢を見せたものの、再び譲歩したことで主導権がテヘラン側に移ったと分析。軍事力を行使してまでイランにホルムズ海峡を開放させるというトランプ氏の決意は、現時点では希薄であるとみられている。
「封鎖解除が前提」イラン側の強気な構え イランのアミール・サイード・イラバニ国連大使は20日、米海軍による海上封鎖が解除されない限り、交渉再開はあり得ないと強調した。イラバニ氏は、次回の協議がイスラマバードで開催される見通しを認めつつも、封鎖の継続は停戦合意違反であると主張。「封鎖解除こそが交渉継続の前提条件だ」と改めて表明した。また、今回の紛争は米国によって引き起こされたものだと断じた上で、「米国が政治的解決を求めるならば、我々には準備ができている。しかし、戦いを望むのであれば、イランも同様に準備ができている」と牽制した。
時間を「武器」にするイラン、鍵を握る中国の動向 中東情勢に詳しいブルッキングス研究所のスザンヌ・マロニー副所長 は、「イランは時間を武器に交渉のチップを引き上げようとしている」と指摘する。イラン側には油田の稼働を維持したいという動機があるものの、米軍の封鎖によりタンカーの出航が阻まれているため、国内の備蓄能力は限界に近い。そのため、主要な支援国である中国が、世界経済への長期的な打撃を懸念してテヘランに合意を促す圧力をかける可能性があるという。
市場の不確実性と原油価格の急騰 しかし、マロニー氏は、イラン指導部がトランプ氏ほど合意を急いでいない可能性についても触れており、これが迅速な解決を妨げる要因となっている。市場では停戦への期待が後退し、ホルムズ海峡の封鎖継続に対する失望感が広がった。国際的な指標となるブレント原油先物価格は、21日の取引で大半を1バレル=95ドル 前後で推移していたが、トランプ氏の宣言後に不透明感が強まり、99ドルまで急騰した。
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