東アフリカの島国セーシェルのバリー・フォール外務・在外自国民担当相はこのほど、中国大使館との間で正式な「開発協力協定」に署名した。協定には、中国側が1億人民元(約23億円)の無償資金を供与する内容が盛り込まれており、韓正・中国国家副主席が3月の訪問時に示した支援方針を具体化するものとなる。
署名式後のあいさつで、中国の林楠駐セーシェル大使は、中セ両国には時代や国際情勢の変化を経ても揺るがない長年の友好関係があると強調した。さらに、両国関係は近年「戦略的協力」へと格上げされ、観光、貿易、保健、教育、インフラ整備、国防、民間交流など幅広い分野に及んでいると説明した。
African Union (AU) Commission Chairperson H.E. Mahmoud Ali Youssouf this morning Joined H.E.@TayeAtske, President of the Federal Democratic Republic of Ethiopia to address the inaugural meeting of the Africa–China#Entrepreneurs meeting (CAES) in Addis Ababa.
— African Union (@_AfricanUnion)April 21, 2026
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一方、フォール氏は、今回の協定締結が両国の国交樹立50周年に当たる歴史的な節目であり、同時にセーシェルの独立50周年とも重なる重要なタイミングだと述べた。セーシェル政府は、この資金を国家開発計画に組み込み、社会住宅の整備、食料安全保障の強化、国家安全保障・防衛、エネルギー転換計画、重要インフラ整備などに重点配分する方針だ。

中国の対アフリカ政策、5月から新段階へ
実際、中国がアフリカ大陸で進める関与強化は、新たな段階に入ろうとしている。2026年5月1日から、中国のアフリカ53カ国向けゼロ関税措置が発効する予定だ。セーシェルがこの時期に無償支援を受け、あわせて対中関係が戦略的協力の段階へ進んだことは、2026年後半のインド洋地域の地政学に新たな重要変数を加える可能性がある。
アフリカ連合(AU)では、マフムード・アリ・ユスフAU委員会議長の主導のもと、AUの対中代表であるアルハジ・サルジョ・バー氏が率いる北京駐在使節団が、4月23日から24日にかけて北京で年次会議を開く。会議の中心テーマは、「中国のゼロ関税措置をいかに活用し、アフリカの発展と繁栄につなげるか」だ。
この2日間の会議は、単なる外交行事ではない。中国のゼロ関税政策が正式に始まる前に、アフリカ各国が対応を調整する最後の場という意味合いも持つ。


通関時間を最大3日に短縮へ
中国商務省は3月、アフリカ諸国からの輸入品に対する「グリーンチャネル」制度をさらに拡充する方針を示していた。従来、アフリカ産の生鮮品は煩雑な検疫手続きのために輸送中の損耗が問題となっていたが、新制度では通関時間をこれまでの7~14日から、最長でも3日程度まで短縮できる見通しだ。
もともと中国がアフリカ向けに実施してきた優遇措置は、主として後発開発途上国(LDC)を対象とするものだった。しかし今回、ゼロ関税の適用範囲は5月から53カ国にまで拡大される。これは、実質的にアフリカのほぼ全ての国を対象にする措置と言える。
例外は1カ国のみだ。現在も中華民国(台湾)と外交関係を維持するエスワティニ王国だけが対象外となる。言い換えれば、エスワティニを除くアフリカ諸国の対中輸出品は、今後、原則として関税免除の恩恵を受けることになる。
経済特区や地域供給網の構築も議題に
AUは、各加盟国がこの新制度による利益を最大化できるよう支援する方針だ。同時に、加盟国間で地域産業チェーンの構築をどう進めるか、農産品加工や製造業の生産能力をどう高めるか、さらに戦略性を持った経済特区をいかに整備するかといった点についても議論を深める見通しだ。
ゼロ関税措置を単なる輸出拡大策にとどめず、各国の産業高度化や貿易拡大につなげられるかどうか。中国による関税優遇は、アフリカ諸国にとって新たな経済機会であると同時に、対中関係のあり方を改めて問う材料にもなりそうだ。
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編集:平松靖史 (関連記事: 中国、アフリカ53カ国に関税ゼロ待遇を適用へ 台湾と国交ある1カ国のみ「除外」、戦略的影響力の強化狙う | 関連記事をもっと読む )


















































