米軍はなぜイラン政権を倒せなかったのか 1万3000回超の空爆が示した「技術優位」の限界

2026年の第30回環太平洋合同演習(リムパック)に参加するため、真珠湾に寄港した米海軍の航空母艦「セオドア・ルーズベルト」。甲板には米軍の主力戦闘機であるF/A-18「スーパーホーネット」が多数駐機している。(写真/中央社提供)
2026年の第30回環太平洋合同演習(リムパック)に参加するため、真珠湾に寄港した米海軍の航空母艦「セオドア・ルーズベルト」。甲板には米軍の主力戦闘機であるF/A-18「スーパーホーネット」が多数駐機している。(写真/中央社提供)

トランプ米大統領が今年2月に「壮絶な怒り(エピック・フューリー)作戦」を発動して以降、米軍は従来の航空優勢を背景に制空権を掌握し、イランの標的に対して1万3000回を超える攻撃を行った。それでも、米軍の圧倒的な火力はテヘラン政権の打倒にはつながらず、イラン側の反撃を抑え込むこともできなかった。

イランは周辺国に数千発のミサイルと数千機の無人機(ドローン)を発射し、米軍も多数の軍用機を失ったほか、複数のレーダーが被弾した。ホルムズ海峡の主導権もなおイラン側が握っている。トランプ氏は現在、イランとの和平交渉に踏み切り、経済制裁の解除にも動いている。あらゆる指標で米国がイランを上回るにもかかわらず、なぜ米国は戦争目的を達成できなかったのか。

米シンクタンク「新アメリカ安全保障センター(CNAS)」で執行副総裁を務めるポール・シャーレ氏は、米外交専門誌『フォーリン・アフェアーズ』で、米軍が長年依拠してきた技術的優位が低下しつつあると指摘する。米国がステルス技術や精密誘導兵器で圧倒的な先行を保っていた時代とは異なり、現代の戦争を大きく変えつつある二つの中核技術、すなわちドローンと人工知能(AI)は、もはや米国だけの強みではなくなっている。

ブッシュ(子)政権とオバマ政権下で米国防総省に勤務し、米陸軍としてイラクとアフガニスタンへの派遣経験を持つシャーレ氏は、今回のイランとの衝突について、米国が「新時代の戦争」の現実に初めて本格的に直面したケースだと分析する。安価なドローン技術とAI能力の普及により、小国であっても大国に挑む手段を手にし、米軍の後方基地を直接攻撃して人的被害を出し、高価な軍用機を破壊することが可能になった。

イランによる中東の米軍基地へのミサイル攻撃では、1機3億ドルとされるE-3早期警戒管制機「セントリー」が破壊され、米軍の現役E-3機は15機にまで減少した。さらに、イランのミサイルはKC-135空中給油機5機や複数の地上レーダーにも命中した。

ドローンは戦争の力学だけでなく、戦争の経済性も大きく変えた。ペルシャ湾などでは、安価なドローンやミサイルが高額な軍事資産を破壊する事例が相次いでいる。ウクライナは自爆型無人水上艇と対艦ミサイルを活用し、ロシア黒海艦隊に大きな打撃を与え、2年間で13隻の艦艇を沈めた。30万ドル程度の無人艇が、数億ドル規模の軍艦を行動不能に追い込む時代になっている。

米国を悩ませるドローン量産の壁

シャーレ氏は、米国が依然として世界最強の軍事力を持つことを認めたうえで、新技術によって定義される戦争の時代において、米軍は十分な準備ができていないと警告する。国防総省は、低コストのドローンと迎撃システムをより多く生産し、AI競争の要請に適応しなければならない。
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AI時代においては、データを掌握せず、計算資源を確保せず、AIモデルの運用方法を学ばなければ、戦争に勝つことはできない。戦場での優位性を維持するためには、米軍が軍種ごとの文化的な壁や官僚的な障害を克服し、民間企業との連携を深め、軍事力を評価する新たな指標を見いだす必要がある。そうでなければ、米国は自らの優位性を失いかねない。

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