トップ ニュース 頼清徳政権に追い風か、試練か トランプ氏が署名した「アメリカ・ファースト武器移転戦略」の全貌と、野党・国民党への圧力
頼清徳政権に追い風か、試練か トランプ氏が署名した「アメリカ・ファースト武器移転戦略」の全貌と、野党・国民党への圧力 2026年1月27日、米国のドナルド・トランプ大統領は、アンドルーズ統合基地で大統領専用機エアフォース・ワンに搭乗し、アイオワ州へ向かった。(写真/AP通信)
トランプ米大統領はこのほど、米国製武器の供与先リストの優先順位を見直す行政命令に署名した。国防費支出が高く、戦略的重要性の高い国家を優先する方針だ。米国の専門家は、台湾にとってプラスの展開であると分析する一方、台湾の立法院(国会)で関連予算が可決されることが「前提条件」になると釘を刺した。
「早い者勝ち」から「戦略的パートナー優先」へ トランプ氏は6日、「アメリカ・ファースト武器移転戦略(America First Arms Transfer Strategy)」を確立する命令に署名した。新戦略の下、米国は以下の条件を満たすパートナーに対し、軍事装備の売却や移転を優先する。
自国の国防能力向上に投資していること 米国の計画や作戦において重要な役割、または地理的優位性を持つこと 米国の経済安全保障に貢献していること ロイター通信によると、長年、米国の対外有償軍事援助(FMS)は原則として「先着順(早い者勝ち)」で納入されてきたが、今回の行政命令はワシントンの武器輸出政策における劇的な転換を意味する。
米識者「台湾は優先資格を持つが、支払いが必須」 行政命令は特定の国名を挙げていないが、米国の学者は取材に対し、台湾は「優先パートナー」の資格を満たすはずだとの見方を示した。
台湾の国防問題に詳しいジョージ・メイソン大学のマイケル・ハンゼッカー(Michael Hunzeker)准教授は、中央社の取材に対し「全体として、この新戦略は台湾にとって前向きな動きだ」と評価した。これまでは、米国の複数の同盟国が同じ兵器システムを発注した場合、メーカーは必ずしも米政府の政策優先度に基づいて生産・納入するわけではなかったからだ。
ハンゼッカー氏は、昨年12月に発表された総額110億ドル(約1兆6000億円)規模の対台湾大型武器売却案も、この新戦略の思考に基づいて交渉された可能性が高いと指摘。これにより武器の引き渡しが加速すると見られるが、「台湾の立法院が支払い予算を可決すること」が絶対条件だと強調した。
頼清徳政権のコミットメントと立法院の壁 ハンゼッカー氏は、懸念点として台湾国内の政治情勢を挙げる。台湾はトランプ政権の「国家安全保障戦略(NSS)」において重要な位置を占めており、頼清徳政権も国防支出の大幅増を公約しているため、ワシントンが認定する「優先リスト」に入る条件は揃っている。
ホワイトハウスが昨年12月に発表したNSS報告書でも、「台湾に対する紛争の抑止」は米国の優先事項であり、「台湾海峡の現状を一方的に変更するいかなる行為も支持しない」と明記された。また、台湾への注視の理由は、半導体生産における支配的地位に加え、第2列島線への直接的なアクセスを提供し、北東アジアと東南アジアを分断する戦略的要衝である点が強調されている。
しかし、米政府および議会は、台湾の立法院において恒常的な国防予算や特別予算が野党によって阻止されている現状に不満を抱いているという。ハンゼッカー氏は、トランプ氏の今回の行政命令が立法院への圧力となり、予算通過を促す可能性があると分析する。
予算不成立なら「優先リスト」除外のリスクも 「110億ドルの武器売却案は、台湾が支払うという前提で合意されたものであり、次期案件も同様だ」。ハンゼッカー氏はそう述べた上で、トランプ政権は「防衛負担の分担(バーデン・シェアリング)」を重視し、同盟国に相応の責任を求めていると指摘。「もし台湾が武器購入費を賄う予算すら通過させられないなら、米政府は台湾を『優先リスト』から外す可能性がある」と警告した。
米国会議員からも最近、台湾の野党が8年間にわたる総額1兆2500億台湾ドル(約5兆8000億円)規模の国防特別条例案を阻止していることへの懸念が相次いでいる。
これに対し、最大野党・国民党は「合理的な軍事購入予算は支持する」と反論。「米国在台協会(AIT)は民進党政権の情報に惑わされず、実情を米議会に伝えてほしい」とし、民進党政権が軍人の給与改善などの予算を適正に計上するよう米議員からも働きかけるべきだと主張。それらがなされれば、野党として直ちに国防予算を審議すると表明している。
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