トランプ氏が高市首相を「異例の全面支持」、3月訪米要請も市場は「財政リスク」を警戒

2025年10月28日、東京・元赤坂の迎賓館で日米首脳会談を行い、署名式に出席した高市早苗首相とトランプ米大統領。(写真/AP通信提供)
2025年10月28日、東京・元赤坂の迎賓館で日米首脳会談を行い、署名式に出席した高市早苗首相とトランプ米大統領。(写真/AP通信提供)

米国のドナルド・トランプ大統領は、伝統的な外交慣例を破り、SNSを通じて日本の高市早苗首相への「全面的な支持」を表明した。同時に、3月に高市氏をワシントンへ招待し、ホワイトハウスで会談する意向を示した。

ロイター通信』によると、トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、高市首相とその連立政権の施政方針を高く評価。「彼女と、彼女が代表する尊敬すべき連立政権に対し、全面的かつ完全な支持を与えることを光栄に思う」と投稿した。

これは、歴代米大統領が他国の選挙に介入しないという慣例を覆すものであり、オルバン・ハンガリー首相やミレイ・アルゼンチン大統領など、海外の右派指導者と連携を深めるトランプ氏の近年の傾向を反映している。

「サッチャー」目指す初の女性首相、300議席獲得なるか

​日本憲政史上初の女性首相である高市氏は、英国の「鉄の女」サッチャー元首相に触発されたという保守派だ。今回の衆院選において、各種世論調査は高市氏率いる自民党と、協力関係にある日本維新の会を合わせ、衆議院(定数465)で300議席を獲得する勢いと予測している。この圧勝シナリオが実現すれば、執政基盤は盤石なものとなり、高市内閣は将来にわたり安定した政権運営が可能になる。

日本の国会議員選挙のポスター掲示板の前を通行する人々。(AP通信)
国会議員選挙のポスター掲示板の前を通行する人々。(写真/AP通信提供)

みずほ銀行の地政学アナリスト、坂本明日香氏は市場の反応についてこう分析する。「高市氏の勝利は既定路線と見られているが、トランプ氏からの『お墨付き』は日本社会に小さくない反響を呼ぶだろう。企業から見れば、トランプ氏との関係改善や個人的な信頼関係はポジティブなシグナルだ。一般市民の間でも、トランプ氏は一部の西側諸国よりも意外なほど人気がある」

北陸地方の金沢で暴風雪に見舞われる様子。(AP通信)
北陸地方の金沢で暴風雪に見舞われる様子。(写真/AP通信提供)

日本政府はトランプ氏の支持表明への直接的なコメントを避けたものの、記者会見では3月19日の訪米招待を受けたことを認め、「日米同盟の強固な関係を再確認する重要な契機になる」と歓迎の意を示した。

対中強硬姿勢と「5兆円の税収減」に潜むリスク

​一方で、課題も残る。高市氏はかつて国会で「台湾有事」への対応に言及し、日中間の緊張を高めた経緯がある。トランプ氏は2025年11月、米中貿易の安定を優先するため、中国を過度に刺激しないよう個人的に釘を刺したと報じられている。選挙で圧勝し政治的フリーハンドを得た高市氏が、防衛力強化を推し進めれば、中国との摩擦が再燃するリスクもある。中国はすでに彼女の政策を「軍国主義への回帰」と批判している。

2026年1月27日、東京で開催された合同選挙集会にて、聴衆に挨拶する日本維新の会の吉村洋文代表(左)、高市早苗首相、日本維新の会の藤田文武共同代表。(AP)
2026年1月27日、東京で開催された合同選挙集会にて、聴衆に挨拶する日本維新の会の吉村洋文代表(左)、高市早苗首相、日本維新の会の藤田文武共同代表。(写真/AP通信提供)

また、国内経済への懸念もくすぶる。高市人気は健在で、彼女の愛用するバッグやピンク色のペンが飛ぶように売れる現象も起きているが、金融市場の視線は冷ややかだ。公約に掲げた「食料品消費税の一時停止」は、一般消費者には歓迎されているものの、投資家にとっては「世界最大の債務国が、年間約5兆円の税収穴埋めをどう行うのか」という懸念材料でしかない。この財政規律への疑念から、ここ数週間で日本国債が売られ、円相場も乱高下している。

選挙結果にはまだ不確定要素がある。若年層の高市支持は厚いが、彼らの投票率は伝統的に低い。さらに、日本の冬特有の天候リスク、各地を襲う暴風雪が、投票率を押し下げる可能性も残されている。

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