台湾の国防特別予算案が依然として立法院(国会)で足踏み状態にある中、米国からの武器調達に関しては今年、大きな進展が見られる見通しだ。顧立雄(コ・リツユウ)国防部長(国防相)はこのほど、今年の年度総予算が順調に可決されれば、米国製主力戦車「M1A2T」の全数が年内に引き渡される予定であると明らかにした。
さらに、高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」、対艦ミサイル「ハープーン」、無人機「MQ-9B」および「ALTIUS 600」、自律型攻撃ドローン「スイッチブレード300」、F-16用偵察ポッド「MS-110」、対戦車地雷散布システム「ボルケーノ(Volcano)」、そして第三世代陸軍戦術通信システムなどが、今年中に順次、台湾へ引き渡される見込みだ。
「演習から実戦への転用」警戒、非対称戦力を強化
顧部長はメディアとの懇談会で、国防予算と装備調達の課題について言及した。中国共産党軍が軍事演習を実戦へと転換する可能性が高まっていることを受け、台湾軍は現段階において「非対称戦力」、「防衛レジリエンス(強靭性)」、「予備戦力」、および「グレーゾーン事態への対処能力」の強化を建軍・備戦の重点に据えていると説明。これに対応するため、二つの特別予算案を提出している。
顧部長によると、「国家安全強靭性予算」は一部削減されたものの可決済みだ。もう一つの柱である1兆2500億台湾元(約5.8兆円)規模の特別条例は、国内自主製造と対外購入(FMSおよび商用)を並行して進める計画だ。特に国防産業の育成と「非紅供給網(脱中国サプライチェーン)」の必要性を考慮し、無人機21万機、無人艇1,000隻余りを国内で自主製造する計画が含まれている。これにより、中国製サプライチェーンの浸透を防ぎ、重要システムや部品の供給安定性と品質管理を確保する狙いだ。
米台共同開発と国内弾薬生産の拡大
顧部長は、全体的な軍備能力の向上を目指し、米台共同研究開発を通じて新興技術を導入し、先進的な作戦概念を取り入れる方針を示した。また、各兵器工場の弾薬生産ラインの新設・拡張や生産能力のアップグレードを推進し、重要弾薬の生産・備蓄能力を強化する。これにより、戦備在庫の需要と訓練による消耗を満たすだけでなく、4,000億台湾元を超える生産額と9万人の雇用機会を創出するという、国防需要と経済効果の両立を目指す。
「自主国防」の進捗:勇鷹号、潜水艦、個人装備
主国防の進捗について、顧部長は以下の通り説明した。
- 空軍:国産高等練習機「勇鷹(Yung Yin)」は、2026年末までに計66機の生産を完了する計画で、これまでに52機が引き渡されている。
- 海軍:「国艦国造(自主建造艦)」政策に基づき、新型救難艦、高性能艦艇、軽フリゲート艦、高速機雷敷設艇などの建造を継続。国産潜水艦(IDS)のプロトタイプ艦については、順次試験を実施しており、安全性が確認され次第、後続の検証および引き渡し作業を進める。
- 個人装備: 新型ライフル「T112」の生産効率を向上させるほか、新型戦闘用ベスト(ボディアーマー)は昨年3万セットの納入を完了しており、今年はさらに6万セットを生産し、年末までに部隊へ配備する予定だ。
対米調達の加速:「NATOプラス」待遇の効果
米国からの武器調達について、顧部長は、世界のサプライチェーンが回復傾向にあることに加え、米政府が効率改善に向けた多角的な施策を講じていると説明した。例えば、武器輸出管理法の改正により、台湾は「NATOプラス(NATO加盟国+日韓豪イスラエル等)」と同等の武器売却待遇を享受できるようになり、行政手続きが加速しているという。現在、対戦車ミサイル「TOW 2B」、携帯式対戦車ミサイル「ジャベリン」、近接防御火器システム「ファランクス」など、多くの調達案件が予定通り順次引き渡されている。
顧部長は重ねて強調した。「今年の年度予算さえ通過すれば、M1A2T戦車の全数受領に加え、HIMARS、ハープーン、各種無人機、ボルケーノ地雷システムなど、台湾防衛の要となる装備が今年中に続々と到着することになる」
台湾ニュースをもっと深く⇒風傳媒日本語版 X:@stormmedia_jp
編輯:佐野華美
(関連記事:
【台湾視点】TSMCの3ナノは高市首相に「恵みの雨」か 選挙戦最終盤、魏会長の訪日は「神の一手」
|
関連記事をもっと読む
)
中国語関連記事


















































