台湾初の「中国出身」国会議員に解職の危機 国籍放棄できぬ特殊事情と「安保リスク」の壁
台湾初の中国出身議員・李貞秀氏の「二重国籍」問題に対し、内政部や民進党・陳培瑜氏らは安保リスクを理由に国籍放棄を強く迫っており、日本の蓮舫氏や石平氏の事例にも通じる「国家への忠誠義務」が問われる事態となっている。(写真/顏麟宇撮影)
台湾民衆党の比例代表名簿に基づき繰り上げ当選し、台湾史上初の中国籍配偶者(陸配)出身の立法委員(国会議員)となった李貞秀氏の就任を巡り、憲法および国籍法に関わる「二重国籍」論争が激化している。
李氏は4日、党団記者会見に出席し、政府機関の要求に従い補足資料を提出する意向を示したが、所管する内政部(内務省)および与党・民進党は、「公職者の二重国籍は認められない」とする強硬な姿勢を崩していない。
国籍法を所管する内政部は、公職者の二重国籍禁止を規定した国籍法第20条を根拠に、「就職日から1年以内に原国籍の喪失を証明しなければ、法に基づき解職となる」との最終通告を行っている。
内政部の董建宏次長は「法規に解釈の曖昧な余地はない」と断言。劉世芳・内政部長(内相)も、李氏側が「中国政府は中華民国を認めていないため、国籍離脱手続きを受け付けない(=手続き不可能)」と主張している点について、「中国当局のウェブサイトにも離脱申請の窓口は存在しており、相手が受け取らないというのは理由にならない」と一蹴し、法的手続きの履行を強く求めた。
与党・民進党(DPP)からは、国家安全保障上のリスクを懸念する声が相次いでいる。 民進党の陳培瑜・立法委員は4日、この問題について言及し、「ベトナムやインドネシアなど他の外国籍配偶者は、公職就任前に苦労して原国籍を放棄している」として公平性を強調した。
陳氏は、李氏が外交・国防委員会への所属を希望している点に触れ、「中国籍を保持したまま台湾の機密情報に触れることは、重大な安全保障上のリスクである」と批判。「中華民国憲法における『一国二区』」を盾に国籍放棄の不可能性を主張する李氏に対し、「宣誓時に中華人民共和国の法統も認めているのか」と論理的矛盾を指摘し、証明書を取得できないのであれば辞職すべきだと迫った。
これに対し李氏は、4日の会見後の取材で「関係機関から補足資料の要求があれば、規定に従い提出し協力する」と述べ、あくまで法的手続きに応じる姿勢を強調した。また、過去の台湾入国時に中国のパスポートではなく「入台通行証」を使用したと説明し、自身と台湾との結びつきの強さを訴えた。
この国籍と忠誠を巡る議論は、台湾国内にとどまらず、近隣国である日本の政治状況とも比較されている。 かつて日本でも民進党(当時)の蓮舫代表が「二重国籍」問題で政治的求心力を失った事例がある一方、中国四川省出身で日本に帰化し、中国共産党体制を批判して日本の民主主義を擁護する評論家の石平氏のように、出自に関わらず明確な政治的忠誠を示すことで受け入れられている例もある。
台湾政界では、李氏の事例が単なる出自の問題ではなく、「法的に単一国籍であるか」および「どの国に忠誠を誓うか」という、公職者としての資質を問う核心的な問題として捉えられている。
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