【解説】国籍取得「10年」へ延長検討も、民間は支援に沸く 高市政権の「厳格化」が生む新たな商機

東京出入国在留管理局。(写真/黃信維撮影)
東京出入国在留管理局。(写真/黃信維撮影)

日本政府は外国人政策を巡り、在留審査や日本国籍取得の条件を厳格化する基本方針を近く取りまとめる。高市早苗首相は2026年1月23日に開催される関係閣僚会議でこれを公表する方針で、永住資格取得時の日本語能力要件の新設や、国籍取得(帰化)における居住要件を現行の「5年」から「10年」へ延長する案などが検討されている。

また、税や医療費の未払いがある場合に在留更新を認めない措置や、外国人が地域社会で孤立しないよう日本語や社会慣習を学ぶプログラムの創設も盛り込まれる見通しだ。これに先立ち、政府の有識者会議は1月14日、外国人への日本語教育や社会規範習得プログラムの早期創設を求める意見書を小野田紀美外国人政策担当相に提出しており、不動産取得に関する法整備の検討も提言している。

共通テストにも登場、高まる社会的関心

こうした政治的な動きと呼応するように、社会全体で「在留外国人」への関心が高まっている。1月17日に実施された2026年度大学入学共通テストの「公共」では、在留外国人の国籍別推移や在留資格の内訳を読み解く問題が出題された。これはグローバル化が進む日本社会の現状を如実に反映しており、岡山県では昨年6月末時点で在留外国人数が初めて4万人を突破するなど、地方を含めた全国的な人口動態の変化が背景にある。

政府は「引き締め」、民間は「支援拡充」

政府が制度の厳格化と統合政策を進める一方で、民間企業では在留外国人の生活や就労を支えるサービスの拡充が相次いでいる。手続きが複雑化すればするほど、それを支援するソリューションの需要が高まるからだ。

出入国在留管理庁の在留申請オンラインシステムが今年1月に刷新されたことに伴い、関連する業務支援システムのアップデートが進んでいる。株式会社CROSLANは特定技能管理クラウド「SMILEVISA」に新機能を追加し、いろはな株式会社もビザ申請管理システム「irohana visa」を新仕様に対応させた。これにより、企業や支援機関は複雑化する申請業務の効率化と正確なデータ連携が可能となり、制度改正への迅速な対応が図られている。

採用・金融サービスも「外国人特化」へ

​労働力不足が深刻化する中、採用や金融面での支援も活発化している。Guidable株式会社は1月15日より、在留外国人に特化した採用代行サービス「Guidable RPO」の提供を開始した。複雑な在留資格の確認や日本語能力の見極めを代行することで、企業の採用工数を削減し、機会損失を防ぐ狙いがある。

また、金融包摂(ファイナンシャル・インクルージョン)の観点からは、株式会社オリエントコーポレーション、クラウドローン株式会社、株式会社YOLO JAPANの3社が連携し、永住者を対象とした最大1000万円のローン商品「YOLOパーソナルローンサポート」の提供を始めた。これにより、これまで金融サービスへのアクセスが困難だった在留外国人の自動車購入や教育資金のニーズに応える。

Renxa株式会社が実施した調査によると、在留外国人が日本で生活する上で「手続きの複雑さ」や「言語の壁」を大きなハードルと感じており、特に留学生は住まい、就労者は医療支援を求めていることが明らかになっている。

政府による「厳格な制度設計(ハードル)」と、民間による「生活・就労インフラの整備(サポート)」という両輪が、2026年の日本における外国人との共生社会の行方を左右することになる。 (関連記事: 【解説】在留外国人395万人突破の裏で進む「厳格化」 人手不足と排外感情の狭間で揺れる日本社会 関連記事をもっと読む

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​編集:小田菜々香​

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