「台湾モデル」で米国進出、産業空洞化の懸念を一蹴 鄭麗君・行政院副院長「これは拡張であり、移転ではない」

関税交渉の結果を説明する行政院副院長・鄭麗君氏。左から、AIT(アメリカ台湾協会)執行理事のイングリッド・ラーソン氏、米通商代表部(USTR)のグリア大使、ハワード・ラトニック米商務長官、鄭氏、楊珍妮政務委員、駐米代表の俞大㵢氏。(行政院提供)
関税交渉の結果を説明する行政院副院長・鄭麗君氏。左から、AIT(アメリカ台湾協会)執行理事のイングリッド・ラーソン氏、米通商代表部(USTR)のグリア大使、ハワード・ラトニック米商務長官、鄭氏、楊珍妮政務委員、駐米代表の俞大㵢氏。(行政院提供)

米東部時間15日、米台関税交渉の総括会議が終了した。「対等関税の15%への引き下げ(MFN税率への上乗せなし)」、「台湾の半導体・ハイテク企業による対米直接投資2,500億ドル」、「半導体および派生製品の通商拡大法232条関税における最優遇待遇の取得」、そして「サプライチェーン投資協力の拡大とAI戦略パートナーシップの深化」といった主要目標が確定した。

これほど大規模な対米投資が、台湾のサプライチェーンを「丸ごと」米国へ移転させ、実質的な産業空洞化(hollowing out)を招くのではないか。メディアからの懸念の声に対し、交渉を率いた行政院(内閣)の鄭麗君・副院長は記者会見で、「いわゆる『台湾モデル』による対米協力は、産業の『移転』ではなく、台湾ハイテク産業の『延伸と拡張』である」と明確に否定した。

鄭副院長は、「台湾モデル」によるサプライチェーン協力の最大の戦略目標は、台湾のハイテク産業を世界へ拡張させることにあると強調する。「過去数年、台湾の半導体企業は海外での投資・拠点を拡大してきたが、それと並行して国内の総生産額も成長を続けている」 鄭副院長は具体的なデータを提示した。

  • 2023年:4.3兆台湾元
  • 2024年:5.3兆台湾元
  • 2025年:6.5兆台湾元(約30兆円)

このように、国際展開を進めながらも、国内産業の規模はむしろ拡大している事実を指摘。「多くのハイテク企業は、顧客や市場のニーズ、そして自社の成長戦略に基づいて国際展開を行っているが、同時に本土(台湾)への投資も拡大し、根を下ろし続けている」と述べた。政府としても「対台湾投資拡大プラン2.0」を推進し、これを後押ししている。

鄭副院長は、自身が普段からインフラ、人材、水・電力といった国内投資環境の整備に奔走している経験に触れ、「台湾企業が国内投資を継続しているのを目の当たりにしている」と語る。 その上で、産業が強大化し世界へ打って出る際、企業側も政府のサポートを求めていると説明した。

「台湾モデル」の核心は、実は産業界との対話の中から生まれたものだという。 企業側から「投資計画を進める際、政府による融資や信用保証の支援が欲しい」という要望が出されたことが発端だ。企業が海外で孤軍奮闘(単打独闘)するのではなく、政府がインターフェース(仲介役)となり、米国との協力モデルを構築する。これが今回の合意の背骨となっている。

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