米台「新合意」の全貌:関税15%は上乗せなし、半導体は「枠内免税」へ 5000億ドルの投資MOUも締結

2026-01-17 17:45
米台間の相互関税を15%に引き下げ。写真はドナルド・トランプ米大統領(写真/AP通信提供)
米台間の相互関税を15%に引き下げ。写真はドナルド・トランプ米大統領(写真/AP通信提供)

米台間の対等関税交渉がついに決着した。台湾行政院(内閣)は16日、交渉チームが米東部時間15日に米国側との総括会議を終え、「対等関税15%(MFN税率への上乗せなし)」、「半導体および派生製品の通商拡大法232条関税における最恵国待遇の取得」、そして「サプライチェーン投資協力の拡大と米台AI戦略パートナーシップの深化」といった主要目標を確認したと発表した。同時に、駐米国台北経済文化代表処(TECRO)と米国在台協会(AIT)が米商務省にて投資MOU(覚書)に署名したことも明らかにした。

投資家にとって、この「新たなコンセンサス」の核心は、単に関税率を有利な条件に持ち込んだことだけではない。より重要なのは、半導体やAIサプライチェーンが最も懸念していた「232条(安全保障に基づく輸入制限)の不確実性」を低減させた点にある。 大手証券の富邦投顧(Fubon Investment)は、今回の成果を以下のように分析している。

  1. 対等関税:現行の20%から15%へ引き下げ、かつ最恵国待遇(MFN)税率への上乗せ(スタッキング)は行わない。
  2. 半導体分野:対米投資を行う企業には一定の「免税枠」が付与され、枠外であっても最恵国税率が適用される。

「15%・上乗せなし」が意味するもの:日韓欧と競争条件を「平準化」

いわゆる「15%・MFN上乗せなし(Non-stacking)」とは、平たく言えば「15%の対等関税に、既存のMFN税率をさらに加算する計算方式は採らない」ということだ。「税金に税金を重ねる」二重課税のような事態が回避されたことになる。富邦投顧はこの効果について、「台湾がEU、日本、韓国といった主要な競争相手とほぼ同等の税率基盤に立つことになった」と指摘する。

一般産業界にとって、この取り決めの最も直接的な意義は、工作機械やハンドツールなど対米輸出を主とする台湾産業が、税負担の構造的不利によって競争力を削がれるリスクが減ることだ。これにより、顧客が注文を他の同盟国のサプライチェーンへ切り替える動機を低下させる効果も期待できる。

半導体の「枠内免税」をどう読み解くか 鍵は232条の今後と投資戦略

市場が最も注目していた半導体分野については、米国側がすでに232条調査を開始し、関税賦課へ動き出していた背景がある。富邦投顧の1月14日のレポートによると、米国は一部の輸入半導体、製造装置、派生商品に対して「25%」の関税を課すと発表していた。ホワイトハウスも今後、より広範な半導体製品への課税を示唆しているが、米国内での半導体生産や特定のサプライチェーン工程に投資する企業には、優遇関税措置が適用される可能性があるとしていた。 (関連記事: TSMC米工場「5棟追加」か 台湾株先物3万1000突破、関税15%で合意報道 関連記事をもっと読む

この文脈において、台湾が勝ち取った「最恵国待遇」と「枠内免税(配額免税)」は、市場心理を圧迫していた「不確実性」を事前に封じ込める意味を持つ。たとえ米国が将来的に232条の適用範囲を拡大したり税率を変更したりしても、一定条件下で台湾に最恵国待遇を与えるという約束があるため、対米投資やサプライチェーン構築の予見可能性が高まるからだ。なお、「免税枠」の具体的な規模や、枠外に適用される優遇税率の詳細については、米国の今後の正式発表を待つ必要がある。

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