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北京観測》中国、「言葉だけの好景気」に見切り 若者の香港預金殺到、2026年「資産封鎖」への警戒感 新型コロナウイルスのパンデミック収束から3年が経過する中、中国共産党指導部は度重なる会議において「経済光明論」の重要性を強調し続けている。(写真/AP通信)
新年早々、中国政府は景気回復のペースを加速させようとしている。年初から各地で相次いで打ち出された消費促進策や個人向け信用貸付の刺激策からは、今年1年の経済運営において、単に実績を上げるだけでなく、「いかに宣伝するか」という広報戦略が重視されていることが見て取れる。
中国共産党の宣伝部門を統括する蔡奇・政治局常務委員は6日、北京で「全国宣伝部長会議」を招集した。会議の最大の目玉は、「経済発展には言葉を尽くし、世論効果を放出して人々の消費を刺激せよ」という方針だ。会議では「経済宣伝を重要事項と位置づけ、世論への対応と誘導を強化し、イデオロギー工作の責任を徹底する」ことが確認された。また、従来通り習近平思想の学習深化や国際発信能力の強化も指示された。
新年にあたり、中国各界は所得改革や消費回復に向けた実効性のある措置が高層部から示されることを期待していた。しかし、この会議から発信された内容は、まさに「絵に描いた餅(画餅)」や、根本解決にならない「気休め」に近いものと言わざるを得ない。
停滞する経済と過熱する宣伝、中国庶民の無力感 有力経済誌『財経』は、この会議の直前、上海首席経済学者金融発展センター戦略研究所の趙健所長による「経済温度差の謎」と題する記事を掲載した。この記事は、2025年から2026年初頭にかけて中国経済に存在する「マクロデータとミクロの実感」との間の巨大な乖離(経済温度差)について論じている。
内容は、昨年の主要経済指標は辛うじて達成されたものの、その強靭性と持続性には大きな問題があり、最大の課題は消費能力が現在の経済発展政策を支えきれていない点にあるとしている。
趙氏は記事の中で、「貿易黒字は1兆ドルを超え、上海総合指数は17%、創業板指数は50%上昇したというのに、なぜ庶民の生活は苦しいままなのか」と問いかけた。さらに「個人の体感は主に、バランスシート(資産の縮小)とキャッシュフロー(手元の現金の多寡)によって決まる」との見解を示した。
この記事は公開されるや否や体制内で大きな注目を集めたが、わずか数時間で宣伝部門によって緊急削除された(画像参照)。
中国メディア「財経」の『経済温差の謎』に関する記事が削除された際のスクリーンショット。(写真/Weiboおよび財経公式サイト提供) 趙氏の指摘と現実を照らし合わせると、庶民が生活苦を感じる最大の要因は可処分所得の少なさにある。加えて、地方官僚が経済実績を繕うために数字を操作し、中央銀行がその地方データに基づいて物価動向を判断している弊害もある。「大環境が悪い(景気が悪い)」という言葉は、昨年、中国の人々が頻繁に口にする口癖となった。
野菜価格の高騰、台北との比較で広がる嘆き こうした状況下、中国のSNSでは、台湾に嫁いだ中国人女性が台北の市場を歩く動画が投稿され、コメント欄には大陸のユーザーからの書き込みが殺到している。これらのコメントと国家発展改革委員会のデータを比較すると、一級・二級都市におけるトマト、卵、白菜などの価格上昇が顕著であることがわかる。現在、北京の市場ではトマト500グラム(中国の1斤)が約8~9元(約160~180円)で販売されている。
例年、元旦から春節(旧正月)にかけて、各地の商務局はスーパーマーケットなどを対象に「野菜バスケット価格補助(菜籃子工程)」計画を打ち出すが、今年実施されるかは不透明だ。
経済がこれほど内向きに閉塞(インボリューション/内巻)する中、共産党指導部も事態を認識してはいるものの、昨年末の経済工作会議から半月近くが経過しても、各地の市民の目には、政府による所得向上策の実質的な動きは何も映っていないのが現状だ。
インフレ常態化と人民元安への懸念 中国の若者が資産保全で「香港の外資系銀行」へ殺到 政府系の経済学者の間では、現在の中国は依然として「低物価」での推移であるとみなされており、消費データを底上げするために、中央銀行や国家発展改革委員会に対して「物価引き上げ」を促す提言もなされている。しかし、実際の感覚としては、昨年11月に中央銀行が所得向上改革案を打ち出してからわずか3か月足らずで、人民元の実質的な購買力は低下し続けている。手元の資金をいかに保全するかが、現在の中国の若者にとって最大の懸念事項となっている。
物価上昇が常態化しつつある中、人民元安への懸念から、中国の若者たちが資産を守るために「香港の外資系銀行」へ資金を移す動きが加速している。
乖離する「公式見解」と「庶民の実感」 一部の政府系経済学者は、現在の中国本土が「低物価」モードにあるとし、消費データが全体的に押し下げられているとの見方を示している。これに基づき、中国人民銀行(中央銀行)や国家発展改革委員会に対し「物価引き上げ」を促す提言を行っている。
しかし、実体経済の感覚は異なる。昨年(2025年)11月に人民銀行が所得改革による振興策を打ち出してから3ヶ月も経たないうちに、人民元の実質購買力は低下の一途をたどっている。「手持ちの現金の価値をいかに保全するか」が、今、中国の若者にとって最大の関心事となっているのだ。
暗号資産から「香港の銀行」へ その中で最も確実な手段とされているのが、「自ら香港へ渡航し、人民元を預金するか、米国株や香港株で運用する」という方法だ。
香港上海銀行(HSBC)が今年(2026年)1月1日から、総資産残高が1万香港ドル未満の口座に対して月額100香港ドルの管理手数料(口座維持費)を徴収し始めたことも、この動きに拍車をかけた。昨年のクリスマス前後には、手数料導入前の口座開設を目指す中国本土の若者が香港の街頭に溢れかえった。彼らの多くはコストを抑えるため、ホテルではなくユースホステルに宿泊したり、マクドナルドや通関ロビーで夜を明かしたりしており、その光景は香港市民の間でも議論を呼んだ。
資本規制の強化と駆け込み需要 こうした突発的な変化の背景には、中国当局による為替管理と越境資金流動への規制強化がある。
中国人民銀行が昨年第4四半期に発表した規定により、2026年1月1日から越境送金業務が厳格化された。1回あたり5,000人民元、または外貨で1,000米ドル相当以上の送金を行う場合、銀行窓口での本人確認および関連証明書類の提出が義務付けられたのである。この規制は、富邦華一銀行、玉山銀行、国泰世華銀行、彰化銀行など、大陸に進出している台湾系銀行にも適用される。
これに加え、以前から進められている中国籍居住者の海外所得に対する課税強化などの要因も重なり、「外資系銀行への預金」は、多くの若者にとって香港旅行の最優先ミッションとなっている。
「経済光明論」の唱和と、脆弱な経済基盤 ゼロコロナ政策の終了から3年、中国共産党指導部は多くの会議で「経済光明論(中国経済の先行きは明るいとする論調)」の重要性を強調してきた。
党機関紙『人民日報』は本日、「鐘才平」(中央財経政策評論を意味するペンネームとされる)の署名記事『因地制宜做好経済工作(実情に合わせて経済活動を適切に行う)』を掲載した。これは今月6日の宣伝工作会議の内容を解説したものと見られる。記事では「ビジネス環境の最適化」や「地方経済発展の内生的動力の強化」に重点が置かれているものの、その大半は地方官僚に対し経済発展における「地雷原」を避けるよう求める警告や規律の問題に終始しており、地域の実情に即した具体的な発展策にはほとんど触れられていない。
現段階において、中国の家計資産の大半は銀行預金に向けられている。昨年末時点で、中国の家計現金備蓄は過去最高水準に達した。9月には家計預金が約3兆元増加し、過去6ヶ月で最大の伸び幅を記録、預金総額は記録的な160兆元に達した。しかしその一方で、預金利回りは低下し続けている。
このような状況は、中国指導部に対し「預金金利を引き下げ、現金の流動性を高める必要がある」という明確なシグナルを突きつけている。
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