台湾のドローン(UAV)大手、銘旺科技(Ming Wang Technology)は1月13日、台湾無人機協会と共同で「ドローン産業サプライチェーン・ソリューションフォーラム」を開催した。席上、銘旺科技の周維昆会長は、東南アジアで第2の規模を持つ国との間で高度な協力合意に達したことを発表。2026年から2027年にかけてドローンの長期供給および戦略的提携を推進する計画を明らかにした。銘旺が世界市場に発信するメッセージは極めて明確だ。それは「信頼できるサプライチェーンは、信頼できるパートナーから生まれる」というものである。

「台湾がコア、東南アジアが前線」の新戦略
「独自のAIフライトコントロール技術で、新たな戦術基準を定義する」。周会長はそう力説し、「グローバル技術とローカルの融合(Global Tech, Local Empowerment)」戦略を掲げた。提携先の東南アジア諸国における人的・物的資源を深く統合することで、サプライチェーンの強靭(レジリエンス)化を実現。強力な電波干渉などの極限環境下でも任務を正確に遂行できる、代替不可能な「実戦価値」を証明していく構えだ。
今回の合意により、銘旺はドローン産業の「先導役」として、東南アジア市場の重要な橋頭堡を築くことになる。AI制御、エネルギー・バッテリー、複合材料など、台湾が誇るコア技術を持つ企業を結集した「台湾ドローン国家チーム」として、複製・拡張が可能で、かつ長期的な収益が見込めるソリューションパッケージを共同で輸出していく。
周会長はこの戦略配置をこう表現する。「台湾がコアを作り、東南アジアの大国が前線を担い、世界を市場とする」
明確な「脱中国サプライチェーン」というポジショニングと国際的な実績を武器に、国防の自主性を支える柱として、また友好国にとっての信頼できるパートナーとしての地位を確立する狙いだ。

米中対立は好機、TSMCとNVIDIAの恩恵を「翼」に
フォーラム後、台湾ドローン産業の未来について問われた周会長は、地政学的な視点から自信を覗かせた。 「米中二大国が角逐する今、その狭間にある台湾には『脱中国サプライチェーン』を構築する絶好の好機が訪れている」 台湾には航空宇宙材料、アビオニクス統合、バッテリー産業など、多くの「隠れたチャンピオン企業」が存在する。中国と「量」や「価格」で勝負する必要はない。これらを統合すれば、台湾は非中国サプライチェーンの中でリーダーシップを発揮できるという分析だ。

さらに、台湾にはTSMC(半導体製造)とNVIDIA(台北へのAIセンター設立予定)という圧倒的なテクノロジーの優位性がある。周会長は、未来のドローンは「空飛ぶエッジコンピューティングセンター」になると定義する。「これからの勝負は『速度』だ。なぜ台湾に勝機があるのか。それは、台湾製ドローンの『脳(チップ)』が他より賢く、反応速度も速いからだ。これこそが、世界レベルの競争力となる」

軍事だけではない、「Tech for Good」の民生活用
ドローンといえば軍事利用が注目されがちだが、周会長は「ドローンの本質は『テクノロジーによる善行(Tech for Good)』と『効率化』にある」と強調する。
- 災害救助:消防士よりも先に危険区域へ進入し、3Dモデルを構築して救助隊の安全を確保。
- 農業・インフラ: 灌漑や播種、あるいは高コストで危険な送電塔やソーラーパネルの洗浄・点検。
- 物流: 離島や僻地への物資・医療品輸送。
これら高付加価値な民生用途こそが、今後の産業発展の要となる。

フォーラムの最後には、銘旺科技の葉泳蘭CTO(最高技術責任者)が登壇。サプライチェーンや生産拠点の建設計画について解説したほか、実際に撮影されたノーカット映像を公開し、同社製品の性能をアピールした。また、ドローンの心臓部とも言えるバッテリーについても、最適な型番とのマッチングにより実用性を大幅に強化していると説明し、技術的な優位性を裏付けた。
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編集:梅木奈実

















































