舞台裏》台湾・台中市長選、国民党の亀裂は「台北の想像以上」か 民進党は総統級ブレーン投入で攻勢、何欣純氏擁立で先行

台中市長選をめぐり、民進党は国民党陣営に先んじて選挙態勢を整え、各派閥と良好な関係を築いている立法委員の何欣純氏を候補として擁立した。(写真/柯承惠撮影)
台中市長選をめぐり、民進党は国民党陣営に先んじて選挙態勢を整え、各派閥と良好な関係を築いている立法委員の何欣純氏を候補として擁立した。(写真/柯承惠撮影)

2026年の台中市長選挙に向けた動きが加速する中、与野党の陣営構築には明確な差が表れている。民進党側は党内の調整をいち早く完了させ、現職立法委員の何欣純氏を台中市長候補に擁立することを決定した。党内初選の手続きを経なかった主な理由は、党中央が地方の実力や組織の動員力、選挙戦の安定性を評価した結果、候補者を早期に確定させることで選挙戦の主導権を握り、内部抗争による全体戦略への影響を避ける狙いがあったためだ。党関係者は、何欣純氏の強みは各派閥と良好な関係を維持している点にあると指摘する。

対照的に、国民党の台中市長候補は現時点で決まっておらず、党内の競争は「コップの中の嵐」の様相を呈している。立法院副院長の江啓臣氏と立法委員の楊瓊瓔氏の両名が、すでに公認争いに名乗りを上げている。党内では、調整による公認候補の決定か、あるいは正式な初選メカニズムを通じるべきかで意見が分かれており、地方支部は旧正月前の調整完了を望んでいるものの、明確な方向性は定まっていない。しかし、国民党の不透明感は直ちに民進党の勝利を意味するわけではない。台湾中部の情勢は2028年の総統選を左右するため、民進党には「負けられない、あるいは大敗は許されない」という圧力がある。そのため、何欣純氏は総統級のスタッフを陣営に招き入れ、重量級の「台中チーム」を作り上げることに全力を挙げている。

20181124-國民黨台中市長候選人盧秀燕總部開票現場,國民黨立委江啟臣、前立委楊瓊瓔接受媒體聯訪。(顏麟宇攝)
国民党の江啓臣氏(左)と楊瓊瓔氏(右)はいずれも台中市長選への意欲を示している。(写真/顔麟宇撮影)

蔡英文氏の元スピーチライターが合流 李拓梓氏による「友情支援」

『風傳媒』の取材によると、民進党内でも屈指の知日派であり、『時代を変えた日本人』や『日本史を変えた総理大臣』などの著書を持つ、蔡英文前総統時代の「筆頭スピーチライター」こと李拓梓氏が、何欣純氏の支援に乗り出したことが明らかになった。関係者によると、李氏は台中政界に広い人脈を持つが、現在は本職があるため、正式なチーム加入ではなく「友情支援」という形で、議論へのアドバイスなどを通じて何氏を支えているという。

李氏は、2016年の蔡氏の初外遊時にその才能を現した。当時、チャイナエアライン(中華航空)の客室乗務員に対して放った「あなたたちを孤独にはさせない」という言葉や、パラグアイでの華僑晩餐会で地理的イメージを用いて台湾と世界の距離を縮めたスピーチなどは、いずれも同氏の手によるものだ。基層の秘書からキャリアをスタートさせた李氏は、陳明文元立法委員らの国会秘書、民進党世論調査センター副主任、国家安全会議専務委員などを歴任。2016年には40歳に満たない若さで総統府文書チームの組長に就任し、民進党若手世代の重要ブレーンと目されてきた。政治実務だけでなく、長期にわたりコラム執筆も続けており、政策への深い理解と温かみのある文章を兼ね備えた重要な幕僚として党内で高く評価されている。 (関連記事: 舞台裏》習近平氏との会談は実現するのか?鄭麗文・国民党主席の「自信」に党内から疑問の声 関連記事をもっと読む

蔡氏の2期目に入り、かつての筆頭幕僚であった姚人多氏が公職を離れると、李氏はさらに存在感を強めた。コロナ禍の2020年に行われた蔡氏の国慶節演説でも主筆を務め、かつて「リトル姚人多」と呼ばれた時代を経て、独自の文筆家としてのスタイルを確立させた。

李拓梓。(楊舒媚攝)
幕僚出身の李拓梓氏(中央)は蔡英文氏の総統2期目において主要なスピーチライターを務めた。(写真/楊舒媚撮影)
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