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舞台裏》9年ぶり「国共フォーラム」が再開へ 国民党・鄭麗文主席の狙いと「92コンセンサス」希薄化の背景を読み解く 国民党の鄭麗文主席(右)が「国共フォーラム」の再開を決定。国民党の蕭旭岑副主席(左)が代表団を率いて出席する予定だ。(写真/劉偉宏撮影)
『風傳媒』の取材によると、9年間にわたり中断していた「国共フォーラム(国民党と中国共産党の定例協議)」が再開されることが決定した。国民党の蕭旭岑(しょう・きょくしん)副主席が党シンクタンクの専門家らを率いて中国を訪問する予定だ。これは、国民党の鄭麗文(てい・れいぶん)主席が就任以来、中台関係の融和と和解を推進するための「第一手」となる。再開のニュースが広がる中、鄭麗文氏は10日、メディアの合同取材に応じ、詳細を説明した。この取材内容は極めて重要であり、3つの主要なポイントに集約される。2026年に向けて国共両党が巻き起こす中台交流の動きは、大きな注目を集めることになりそうだ。
国共フォーラムは2005年に開始された。当時の国民党主席・連戦(れん・せん)氏が中国を訪問する「平和の旅」を行い、当時の中国共産党総書記・胡錦濤(こ・きんとう)氏と会談。両党間の定期的な意思疎通プラットフォームを構築することで合意したことがきっかけだ。最後に行われたのは2016年11月で、当時の国民党主席・洪秀柱(こう・しゅうじゅう)氏が訪中し、習近平(しゅう・きんぺい)総書記と会談した。これまで計11回開催されたが、2016年以降は民進党による政権運営が続いたことや、国民党内部で対中政策を再検討する声が上がったことなど、複雑な要因が重なり、9年間にわたって停滞していた。
2005年4月、国民党の連戦主席が訪中し、共産党の胡錦濤総書記と会談。「連胡会談」の最大の影響は、両党が「92コンセンサス」を中台関係の基礎と位置づけたことにある。(写真/郭晋瑋撮影)
鄭麗文氏、国共フォーラム再開へ 発言に見る「3つの重点」 関係筋によると、鄭氏は停滞していた国共フォーラムの再開に強い意欲を示している。具体的な運営面について鄭氏は、再開が実現したとしても、過去のように単に双方の指導者が握手を交わし、儀礼的に持論を述べるだけの形式的な手法では、もはや国民の共感を得ることは難しいと強調した。鄭氏が目指すのは、中台双方がそれぞれの統治における成功体験を交換し、交流の成果が中台の民衆に直接還元されることだ。
現在、国共フォーラムは1月27日から29日にかけて北京で開催されるとの情報が流れており、鄭氏に対してもメディアからの質問が相次いでいる。鄭氏は公開取材において再開のニュースを否定しておらず、出席メンバーなどの詳細を詰めている段階であるとみられる。
また、『風傳媒』の取材では、国共フォーラムの再開は「確定」していることが明らかになった。10日の取材における鄭氏の発言から、フォーラムの枠組みと背後にある政治的意図が浮き彫りになっている。発言の重点は以下の3点だ。第一に、中国側が国共フォーラムの再開を通じた中台関係の改善に積極的な関心を示していること。第二に、敏感な「92コンセンサス」などの政治的トピックによる衝撃を和らげるため、フォーラムの内容に「専門性」を持たせること。第三に、国民党が築いた橋渡しを通じて、民進党にも中台交流の道筋を示すことである。
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国共フォーラムの再開が決定。蕭旭岑副主席が代表団を率いて出席する予定だ。(写真/顔麟宇撮影)
中国側の極めて強い交流意欲 9年間にわたり沈黙していたフォーラムが再開へと動き出したのは、鄭氏の強力な後押しに加え、中国側の姿勢が大きく関わっている。鄭氏は10日の取材で、就任以来、中国側との意思疎通は非常に円滑であり、相手側から「誠意」と「善意」が示されていると感じていると述べた。
関係者によると、鄭氏の言葉通り、今回のフォーラム再開に向けた交渉過程において、中国側の態度は予想以上に積極的であったという。中国側も中台交流において突破口を開き、関係が「軍事的危機の懸念」や一部の独立派による否定的な世論操作だけに終始することを避けたい考えだ。そのため、今回の国共両党の意向は一致しており、事前の協議において大きな困難はなかったとされる。
「専門性」の強調で政治的摩擦を回避 国民党内部では、フォーラム再開の検討にあたり、「92コンセンサス 」や「台湾独立反対」という共通の政治的基礎を避けることは不可能であると認識する一方で、民進党による政治的な攻撃を回避することにも細心の注意を払っている。こうした攻撃は、交流の成果を無に帰すだけでなく、国民党中央と2026年の統一地方選挙を控える地方首長との間に亀裂を生じさせる恐れがあるからだ。
今回のフォーラム再開に向けた協議において、中国側は交流の突破口を開くべく極めて積極的な姿勢を見せている。鄭麗文氏と習近平氏(写真)による「鄭習会談」が実現する可能性も低くないとみられる。(写真/AP通信提供)
鄭氏は10日の取材で、中台平和のための「新たな道」を切り開きたいとの考えを示した。この「新たな道」とは、国共フォーラムを「専門的」な領域の交流にフォーカスさせることで、92コンセンサス などの政治的課題の影響を薄める狙いがある。統独論争から脱却し、実務的な統治経験の交換を通じて、中台の民衆の距離を縮めることを目指している。
そのため鄭氏は、フォーラムで協議される可能性のあるテーマとして「防災」「気候変動」「ゼロカーボン」「エネルギー」「少子化」「高齢化」などを例示し、すでに党シンクタンクによる研究に着手していることを明かした。
例えば「防災」分野において、地震や台風の被害が多い台湾は豊富な経験を持っており、中国側にとっても有益な知見を提供できる立場にある。フォーラムは、台湾が一方的に中国の経験を学ぶ場ではない。蕭氏が率いるチームには、過去の国民党政権下で閣僚を務めた実務家らが加わる可能性が高く、党幹部だけの実務にとどまらない構成になると予想される。これら専門分野の意見交換を実利ある政策へとつなげることで、政治的トピックが台湾社会に与える衝撃を緩和することが重要視されている。
民進党への「道しるべ」としての国共フォーラム また鄭氏は、中国側が「92コンセンサス 」および「台湾独立反対」の基礎の上に、緊迫する中台情勢を緩和し、対話と交流を開始することを望んでいると指摘した。さらに、これは民進党にとっても決して困難なことではなく、民進党が「台湾独立綱領を撤廃」し、「92コンセンサス に立ち戻る」ことさえできれば、他に付帯条件はないと強調した。
鄭氏の発言には、今回の論壇再開が民進党政府に対する「道しるべ」としての意味合いも含まれている。一定の条件を満たせば民進党も中国との交流を開始できるというメッセージだ。
国共フォーラムの開催背景を説明し、民進党政府に道しるべを示す鄭麗文氏。(写真/顔麟宇撮影)
しかし、民進党が自らの政治路線を放棄することは事実上不可能だ。鄭氏が提示した条件は、民進党にとっては極めて困難な要求と言わざるを得ない。
したがって、この発言には民進党への示唆という側面がある一方で、本質的には台湾の有権者や米国に対し、中台対話を再開し軍事的リスクを低減できるのは国民党だけであるというアピールを含んでいると分析される。
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