舞台裏》習近平氏との会談は実現するのか?鄭麗文・国民党主席の「自信」に党内から疑問の声

2026-01-08 14:15
台湾・国民党主席の鄭麗文氏(写真)が就任後、中国への訪問と習近平氏との会談を計画していると数回発言。写真は「連・胡会談20周年活動」に出席する鄭麗文氏。(写真/柯承惠撮影)

台湾・国民党の鄭麗文(チェン・リーウェン)主席が就任して以来、同党と中国共産党との信頼関係修復に全力を注ぐ中、彼女が訪中して習近平総書記と行う「鄭・習会談」の行方が、党内外で大きな関心事となっている。

民進党の頼清徳政権は、国民党が立法院(国会)で国防特別予算を執拗に阻止している背景には、鄭氏が北京で習近平氏に会うための「交換条件」があるのではないかと繰り返し疑義を呈してきた。これに対し鄭氏は、「92年コンセンサス」と「台湾独立反対」以外に前提条件はないと否定。さらに最近では、「2026年上半期にまず訪中して習近平氏と会談し、その後に訪米する」という構想を度々公言している。

異例の「公言」と自信

中国人民解放軍が「正義使命-2025」と称する台湾包囲軍事演習の開始を宣言した2025年12月29日、鄭氏はラジオ番組の独占インタビューに出演した。この極めて敏感なタイミングにもかかわらず、彼女は臆することなく持論を展開し、「2026年上半期の北京訪問はずっと心に描いていたことだ」と明言した。北京訪問を米国訪問より優先させる理由について、習氏との会談には重大な戦略的意義とメッセージ性があり、国際社会の注目を集めることができるからだと説明している。

さらに、国民党の李乾龍(リー・チエンロン)副主席兼秘書長も、「鄭・習会談は2026年3月に行われる可能性がある」と発言し、情報をさらに具体化させた。鄭氏は即座にこの具体的な時期を否定したものの、党トップ層が訪中に向けて極めて積極的かつ確信めいた態度を見せていることから、党内外では「国民党と中国共産党の間ですでに暗黙の了解があり、2026年6月末までの会談実現は既定路線ではないか」との見方が広がっていた。

共軍2025年底對台發動「正義使命」圍台軍演,鄭麗文未避諱談及訪中規劃。(資料照,取自解放軍東部戰區網站)
中国人民解放軍が2025年末に台湾を包囲する形で「正義使命-2025」演習を実施する中、鄭麗文氏は中国訪問の構想について言及することを避けなかった。(写真/中国人民解放軍東部戦区の公式サイト提供)

鄭麗文氏の強気な言動に違和感 国民党内から漏れる懸念

しかし、中台関係に精通した国民党内の関係者の間では、2026年上半期の「鄭・習会談」実現に対して、当初の楽観論から慎重論へと空気が変わりつつある。その理由は、鄭氏らの会談に向けたアピールがあまりにも「高らか」すぎるからだ。これは、国共トップ会談の調整は極秘裏に進めるという過去の慣例に全くそぐわない。

ある国民党の元党務幹部は次のように指摘する。「習近平氏は総書記であると同時に国家主席であり、その日程は綿密に計画され、数ヶ月前から決定されている。機密レベルも最高等級だ。米国のトランプ大統領との電話会談でさえ、早期に対外発表されることは稀だ。ましてや習氏との対面会談ともなれば、北京側との詳細な事務折衝が不可欠であり、もし本当に『脈あり』で議論が進んでいるなら、鄭氏も国民党も破談を避けるために慎重に口を閉ざすはずだ」 (関連記事: 舞台裏》台湾・苗栗で「県政の主導権争い」鍾東錦氏が国民党・鄭麗文主席に揺さぶり 民衆党の頼香伶氏を副県長に起用し「苗栗は自分が仕切る」 関連記事をもっと読む

北京の沈黙と「個人の期待」

この元高官は現状をこう分析する。「鄭氏が公然と習氏との会談意欲を語り、時期まで指定しているという事実は、逆に言えば国共両党間で正式な交渉が始まっていないことを露呈している」。つまり、鄭氏が個人の期待を一方的に語っているに過ぎないというのだ。

北京側もこのメッセージを認識しているはずだが、「鄭・習会談」のメリットとデメリットを天秤にかけている段階であり、彼女の希望に応えるかどうかは未定とみられる。実際、中国の対台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室(国台弁)の反応は保守的だ。「92年コンセンサスの堅持と台湾独立反対の立場であれば、交流強化を歓迎する」という原則論を繰り返すのみで、具体的な確約の兆候は見られない。また、鄭氏の意向は、張栄恭氏や蕭旭岑氏といった両岸事務担当の副主席を通じて既に北京へ伝えられている可能性はあるものの、北京高層部の判断要因は国民党側の想定よりはるかに複雑であると推測される。

「話が決まれば口をつぐむ」のが中台の流儀

中台関係に詳しい別の国民党関係者も、過去の事例を挙げて疑問を呈する。2005年の連戦氏による「連・胡会談」、2015年の朱立倫氏による「朱・習会談」、そして馬英九前総統によるシンガポールでの「馬・習会談」や2024年の「馬・習会談(第2回)」に至るまで、両岸の指導者会談はすべて、水面下での長期間にわたる隠密な交渉を経て実現した。

双方が対外発表を行うのは、日程が完全に確定してからである。さらに、国民党トップの北京入りが決まったとしても、胡錦濤氏や習近平氏といった最高指導者といつ会えるかは、会談の数時間前まで確定しないことが常であった。

この関係者は、「鄭氏や李氏が会談を話題作りとして公に語っているうちは、まだ何も具体化していない証拠だ」と断言する。「いつか鄭氏らが記者からの質問に対し、言葉を濁したり、話題をそらしたりし始めた時こそ、会談に向けた交渉が真に進展しているサインだろう」と分析している。

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